牧野フライス製作所 5軸制御横形マシニングセンタ「a500iR」の販売を開始

 

 牧野フライス製作所は、このほど5軸真制御横形マシニングセンタ「a500iR」の販売を開始した。

 同社によるとこの機種は、「近年、労働人口の減少、国際情勢によるサプライチェーンの見直し、カーボンニュートラルへの対応など、急激に変化する事業環境への対応が求められていることから顧客ニーズも多様化し、従来よりも更なる生産性の向上、新しい価値の創出を迫られています。この様な背景のもと、省人化・工程集約へ対応する新たな5 軸加工機を開発致しました。5 軸加工機でも高い加工精度と俊敏性を犠牲にしない機械構造を採用し、幅広い業種・従来機よりも大きな対象加工物において高能率な加工を提案致します。」と意気込みをみせる。

幅広い業種に貢献

 「a500iR」の主なメリットは、①高い生産性の機械構造、②確実な切りくず処理、③経済性/環境への配慮、④作業性、⑤自動化対応――――だ。

 機械本体構造は、同社部品加工機として長年の出荷実績がある「a-nx」シリーズの信頼性のある機械構造を採用し、5軸加工で高い加工精度と俊敏な動作を実現するために、B軸ロータリテーブル上にC軸ロータリテーブルを搭載する構造を採用している。加工反力を効率的に受けるスラントコラム構造と高剛性B/C軸ロータリテーブルの組み合わせにより、高い加工能力を実現する。また、B軸の旋回範囲を-110~+180°まで広く確保し、複雑な加工形状に対応、工程集約に寄与する。

 さらにB、C軸を構成する素材、ベアリング、パレット把持部の剛性を強化することで、工作物寸法積載質量の制約を改善し、従来よりも幅広い業種・材質の加工が可能となった。また、パレットクランプを従来機2点から4点へ拡大し、重い工作物の高能率な加工を実現した。C軸ロータリテーブル内部には変形調整機構を内蔵することにより、工作物の質量に応じてテーブルの変形(傾き)を改善し重量工作物積載時にも高い加工精度を実現する。(特許取得済み)


 主軸は、同社部品加工機「a-nx」で実績のある14,000回転主軸を採用している。14,000回転までの立ち上がり時間を1.6秒~1.2秒に高速化(従来比25%向上)、高速回転時の出力40%アップ、低速でのトルクも向上した。これにより、非切削時間・切削時間が短縮され、鋳物の重切削やアルミの削り出し加工等で生産性の向上に寄与する。また、従来機よりもストロークを拡大し、重い工作物の加工を可能とする一方、俊敏性も従来機に対して向上させた。

 さらに、工具長510mmの長い工具を使用することが可能で、深物の工作物への加工や深穴加工が可能となり工程集約に寄与し、加工能力については4軸横形マシニングセンタ同等を実現している。5軸加工機では犠牲になりがちな加工能力を堅牢な機械構造と抗豪勢なB/C軸テーブルを用いることで改善した。

 切りくず処理にも工夫がなされており、加工室内を洗浄するシャワークーラント、テラス洗浄クーラントに加え、切りくずが堆積しやすいC軸ロータリテーブル下部にクーラントを流し、切りくずを洗浄する。除去された切りくずはテーブル直下のセンタトラフへ運ばれ、速やかに機外へ排出される。

環境負荷低減! 自動化にも貢献

機械構造

 eSTABILIZER(厳密な工場空調がない環境においても安定的に高い加工精度を実現する機械制御機能)、省エネルギー機能(各補器類の運転を最適化)を搭載し、工場での空調にかかる消費電力、補器類含む機械自体の消費電力を削減するうえ、作業性にも配慮したつくりになっている。

 加工中のパレットをテーブルが垂直に把持する機械形態でありながら、パレット交換したワークの段取り位置ではパレットが水平状態となり水平段取りが可能。搭載可能な工作物が従来機よりも大きく、重くなったもののクレーンを使用した工作物や治具の搬出入が可能で、容易に工作物の設置・脱着が行える仕組みである。

また、自動化へも対応しており、長時間の連続運転、5 軸加工による工程集約に対応するため、標準仕様での工具収納本数を従来機の60 本から90 本に増強している。パレット上への油空圧供給(スルーパレット油空圧供給)によるワーク把持、パレット搬送システム、パレットマガジンにも対応し、自働化・省人化に寄与する。
 

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