日本工作機械工業会 自動化を普及・促進するための3Dマトリックスソフトをリリース!
日本工作機械工業会(会長=稲葉善治 ファナック会長、以下日工会)は、このほど製造現場の⾃動化を普及・促進するため、⾃動化に必要な⼯作機械や周辺装置の仕様や機能を3D マトリックス形式でまとめたソフトウエアを同会ホームページ上にリリースした。社内で⾃動化について検討を⾏う際や、ユーザとの⾃動化の打合せを⾏う際に、このソフトウエアを利⽤すれば同⼀指標に基づいた意⾒交換を⾏えることにより、効率的かつ効果的な⾃動化の実現が期待できる。
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https://jmtba.or.jp
生産システム自動化レベルの基準
このソフトを開発するにあたり、日工会では「少⼦⾼齢化や慢性的な労働⼒不⾜が深刻な課題となっており、これらの課題に対処するためには、⽣産性の向上や効率化が不可⽋であり、その⼿段として⽣産⾃動化が注⽬されている。当会では、製造現場におけるデジタル化やIoT 化、スマートマニュファクチャリングの実現に向けて、⼯作機械ユーザの⾃動化
要求への対応や、⼯作機械メーカの⾃動化への取組みの底上げを図る⽬的で、今後製造される⼯作機械を対象として、機械、周辺装置を含む⽣産システムについて、システムの規模や省⼈化・無⼈化の⾃動化レベルに応じた⼯作機械及び周辺装置の仕様・機能の指針を策定致し、3次元マトリックス形式の表記にまとめた。」としている。
今回、生産システムの自動化レベルの基準を設け、日工会では、自動車の自動運転のように自動化レベルの基準を定義し、工作機械メーカ、ユーザ双方が自動化に取り組む指標を示すことにした。
それによると、生産システムの自動化レベルを1~5の5段階に分け、生産工程の主体が「人」か「システム」かで分けて定義付けた。同工業会によると、「自動化の根ベルト技術的難易度は必ずしも一致したものではなく、技術の進歩により変化すると考えられる。なお、全ての生産工程を「人」が作業する状態を「レベル0」とし、今回の自動化レベルの基点としている。
●レベル1:ワーク等搬送の⾃動化
⽣産準備の⼀環として、AGV(⾃動搬送装置)、AMR(⾃⽴⾛⾏搬送ロボット)等を⽤いて、⼯作機械本体の近くに⼯作物、⼯具、治具等を⾃動的に配置する等、加⼯前に⾏う諸作業の⾃動化を⽰している。
●レベル2:加⼯の⾃動化
チャック⽖や⼯具情報の⾃動登録、加⼯プログラムの⾃動作成等の加⼯⼯程に直接関係する⽣産準備や加⼯状態の⾃動確認、⼯具刃先の⾃動確認、切屑の⾃動認識と⾃動清掃等、加⼯⼯程中の諸作業の⾃動化を⽰している。
●レベル3:検査の⾃動化
機械からのワークの⾃動取り出し、ワークの⾃動搬送、機内外の⾃動計測等、検査に関する諸作業の⾃動化を⽰している。
●:レベル4品質保証の⾃動化
検査データを分析し、分析結果を「加⼯」に修正指⽰し、修正に基づいた「加⼯」を⾃動実⾏することを⽰している。
●レベル5:完全⾃動化
全ての⽣産⼯程が、「システム」によって稼働し、「⼈」が全く介在しない状態を⽰している。
3次元マトリックスソフトの概要
日工会では下記の要領で3次元マトリックスソフトを整理している。
■第1軸:施設規模
・機械単体
・SMC(シンプルマシニングセル)
・FMC(フレキシブルマシニングセル)
*SMCは機械1台+ロード・アンロード装置1台を想定。FMCは機械複数台+ロードア・アンロード装置を複数台想定。
■第2軸:生産工程
生産設備、加工、検査、保守の4つの大きな分類。(ここでは保守の定期検査は含まれない。)
■第3軸:自動化レベル
レベル1:ワーク等搬送の⾃動化
レベル2:加⼯の⾃動化
レベル3:検査の⾃動化
レベル4:品質保証の⾃動化
レベル5:完全⾃動化
3次元マリックスソフトのキューブの各⾯にカーソルを合わせてクリックすることで、各⽣産⼯程と各施設規模の⾃動化レベルの指標となる仕様や機能の詳細が表⽰される。また、仕様や機能は、ハード系(メカ系、電気系、物理系等)機能、ソフト系(通信、情報のやり取り等)機能、情報(ソフト系で⽤いる情報・データ等)系機能と分けて表⽰される。