第17回生悦住賞に村田良治氏、穂積豊氏
超硬工具協会(理事長=田中啓一氏)がこのほど第17回生悦住(いけずみ)賞の受賞者を発表した。受賞されたのは村田良司氏、穂積豊氏の2名。
この賞は故生悦住貞太郎氏(元ダイジェット工業会長)が、1978(昭53)年に傘寿を迎えられ、また、 超硬工具協会創立30周年にあたることを記念し、生悦住基金が設けられたことが始まりである。
本賞は、①会員で草の根的に功労のあった人、②会員内外を問わず業界発展に貢献された人を顕彰するために制定された表彰制度である。
表彰式は第92回定時総会に併せて6月5日、浜松町東京會舘で行われる。
◎村田良司 氏 (元、東京理科大学教授)
生年月日:1935(昭和10)年11月4日
年 齢:満76歳
略 歴:
89年4月 ~ 93年3月 超硬工具JIS専門委員会委員 4年0月
93年4月 ~ 08年3月 超硬工具JIS専門委員会委員長 15年0月
95年4月 ~ 08年3月 ISO国内対策委員長 13年0月
06年4月 ~ 07年3月 経済産業省3Rシステム化可能性
調査委員会委員長 1年0月
(10年3月 東京理科大学理工学部機械工学科教授を退職される)
■功績の内容
氏は、1958年(昭33年)に、通商産業技官(上級職)に任官。工業技術院機械試験所にて主任研究官、生産システム課長、機械加工課長等を歴任され、主として切削工具関係を担当され、当会の標準化策定(CIS(団体規格)、超硬工具関係JIS規格、ISO規格などの制定、改正)を長年にわたり指導された。90年に東京理科大学教授に就任され、その活動は同会に限らず、精密機械学会(現、精密工学会)では各種委員長、理事等を歴任。一般財団法人機械振興協会では加工技術データファイル事業を推進され、同時に切削工具の摩耗及び寿命に関する研究(東京大学工学博士の学位取得)をはじめ多数執筆され、理論面からも機械関連団体の技術を支えられた。さらに、日本の機械工具業界初の国際規格「超硬ボールエンドミル」を提案、膨大な各国の調査資料と周到な準備により、欧米の委員の賛成を得、成案させた。
また、05年(平17)年頭からタングステン価格の過去にない急騰を受け、06年経済産業省による3Rシステム化可能性調査委員会(超硬合金スクラップのリサイクルシステム)の委員長に就任され、報告書をまとめられリサイクルの重要性を各界に提言された。
◎穂積 豊 氏 (元、株式会社タンガロイ)
生年月日:1950(昭和25)年7月1日
年 齢 :満61歳
略 歴 :
81年7月 ~ 82年 6月 CIS規格原案作成委員 1年0月
82年7月 ~ 84年 6月 技術委員 2年0月
92年1月 ~ 93年 6月 技術委員 1年6月
93年7月 ~ 95年 6月 技術委員長 2年0月
95年7月 ~ 97年 6月 技術委員 2年0月
95年1月 ~ 98年11月 超硬工具ハンドブック編集委員長 3年10月
93年4月 ~ 95年 3月 日本工業標準調査会臨時委員 2年0月
(09年6月 株式会社タンガロイを退職される)
■功績の内容
氏は、81年(昭56)7月に、CIS(協会団体規格)の制定改正原案の作成に携わったことが端緒となり、以来20年にわたり同会の技術関係の施策を中心に提言、推進された。技術委員長在任中、現在毎回80名近くの会員技術者の参加のもと開催されている技術交流(発表)会を当時の理事長とともに企画立案され、技術小委員会において2年弱の周到な準備と計画により、当時はなかなか技術内容の開示をためらう企業が多いなか、95年7月に第1回開催を28社55名と予想以上の参加を得て実施するに至った。さらに、同会創立50周年記念行事の一環として、会員内外から再版発行要望の高かった超硬工具ハンドブック全面改訂版を編集委員長として、取りまとめられるなど会員から要望の高かった予てからの技術的課題を解決された。
また、93年から95年まで同会を代表して、日本工業標準調査会臨時委員として国内標準化に貢献、また、材種選択基準、刃先交換チップ関係のISO会合に積極的に出席され、日本の意見を国際規格に反映することに尽力された。