東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻の高井まどか教授の研究チームが中空型針状センサによるデジタルヘルスケア社会の未来像に向けた取り組みを発表
2024年12月15日

東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻の高井まどか教授の研究チームが、このほど、工学系研究科に設置された社会連携講座「装身型生化学ラボシステム」にて、優れた生体適合性、長期安定性をもつ最先端のポリマーハイドロゲルを埋め込んだ「中空型針状センサ」を開発し、デジタルヘルスケア社会の未来像に向けた取り組みを発表した。
これは、細胞間質液をターゲットとして、通常の注射針より微細な針にセンサを組み込み皮膚に貼って間質液中のグルコース(ブドウ糖)やイオンといったバイオマーカーを連続的に検出することを実証したもので、微細な構造を光や熱を活用して加工する〝リソグラフィー技術〟を活用し、ポリ乳酸を長さ1,000ミクロン、先端の孔直径 50ミクロンの中空型針状構造に成形した後、ポリ乳酸に金めっきを施すことで、針の中空内部を電極としている。
ポリ乳酸とは、生分解性を持つ合成ポリマーで、主にトウモロコシなどの再生可能資源から作られることから、環境に優しいプラスチックとしても広く使用されており、生体適合性があるため医療分野でも利用されている。

東京大学大学院工学系研究科に設置された社会連携講座「装身型生化学ラボシステム」に参画している三洋化成では、「連続的に変化する身体の情報を知る技術が疾患の予防や行動変容につながる」として低侵襲かつ安定的に間質中の臨床バイオマーカーを計測するシステムの事業化を目指している。同じく参画しているHondaでは、2050年に二輪・四輪が関与する交通事故死者ゼロを目指しており、健康・隊長データと運転行動リスクとの関係性を分析している。