アマダ DXの推進と次世代の人材育成の強化に向けた社員教育施設「アマダ・テクニカルエデュケーションセンター(ATEC)」を開設

 

  アマダ(社長:山梨貴昭氏 本社:神奈川県伊勢原市)の本社内に新たな社員教育施設「アマダ・テクニカルエデュケーションセンター(ATEC)」を開設し、11月21日に披露および「ビジネスモデルの進化に伴う販売・サービスのDX推進と次世代の人材育成の強化」をテーマに発表会を開いた。

ATEC設立の3つのキーワード

あいさつする山梨社長

 山梨社長は、あいさつの中で、「DXの推進と次世代の人材育成を一層強化することで時代に即したビジネスモデルの構築を図っていく。その取り組みのひとつとしてATECを開設した。ATECはお客様向上の未来を支える次世代エンジニアの教育の場をコンセプトとし、国内外のお客様の製造現場に貢献できる人材の育成を目指していく。」と開設の目的を説明した。

 同社ではアマダグローバルイノベーションセンター(AGIC)のイノベーションラボで顧客との競争による未来の加工技術の推進や、製造においてDXを活用したグローバル生産体制の構築などビジネスモデルを進化させているが、今回は販売とサービスにおける新たな取り組みについて発表の場を設けた。

 山梨社長は、「世界規模の労働者不足や技能継承の問題に対して製造業では自動化への対応が急務となっている。私たちがお客様に社会課題についてアンケートをとった結果、特に課題となっているのは人材であり、なかでも若手を中心とした中堅リーダー、工場長や現場責任者といった管理職クラスの不足感を多く感じていることが分かった。」と説明し、「中堅リーダーや管理職の生産技術、業務に対する工数の不足、スキルの不足などにより、お客さまの経営自体が強い危機感を持たれている。それによってお客さまの会社の効率の改善、QCDの改善や作業方法の見直しが行われず効率が低下をする、さらにはお客さま自身が成長、継承を考えられているなか、マシンソリューションっていうのは日進月歩で進化している。」と述べた。

 今回のATECの設立には具体的に3つのキーワードが示された。

 (1)顧客の課題の解決スピードの加速。現在の直販・直サービスの体制をデータに基づくデジタル営業に進化させ、営業とサービスの現場効率をさらに強化する。

 (2)お客さまの生産をサポートするアフターサービスの拡充。顧客の工場を熟知したアマダのフィールドエンジニアが生産技術までも支援、DXを推進し、現場効率の最大化を目指す。

 (3)上記の2つを実現するための、アマダ全社員、エンジニアリング力を強化する。ATECで、国内外のお客さまの製造現場に貢献できる人材を育成するとともにグローバル全社員のエンジニア化を推進し、顧客の課題について早期解決と、満足度のさらなる向上を目指す。

DXを活用した販売とサービス

意気込みを示す田所専務

 田所雅彦専務取締役からDXを活用した販売とサービスの説明があった。それによると、「製造側のDXとAPEX(アマダ・プロダクション・エンバイロメント・トランスフォーメーション)と合わせて直販・直サービスの要望に対応するADMS(アマダ・DXマネジメント・ソリューションズ)を構築した。」と発表があった。これによりアマダグループでは全社フローバルでデジタトランスフォーメーションによる企業の構造改革を進めて100企業を目指すとしている。また、人材不足により足りない工数を補うため、「従来型のビジネスプロセスを見直すとともに、課題の全てをデジタルテクノロジーで動かしていくとともに従来にはなかった現場を支援する新たな機能を実装することで案件獲得の自動化や商談リードタイムの短縮を実現していく。個人のスキルを強みとしていた従来のビジネスモデルをデジタルテクノロジーによって変革し、時代の変化にも柔軟に対応できる組織営業を構築していく。」と意気込みを示した。

課題を想定し先手を打ったATECによるビジネスの創造

人材育成の必要性を話す福田上席執行役員

  同社では、グローバルで100カ国33の現地法人の中に約40万台が納入されている。それらのサポートをしているサービスエンジニアは約1700名。この全員がメーカー直のサービスを行っている。なお、2018年からIoTを使い、8000台のマシンが現在つながっており、このスマートファクトリーのことを、同社では〝V-factory〟とブランド名を付け、いち早くIoTサポートを実施している。

 エンジニアリングサービス本部の福田政樹 上席執行役員は、「マシンからの問い合わせは1日平均300件、月9,000件ある。IoTサポートが対応しているが、うち80%は自動応答システムの中で、お客さまへチャットで返信されている。さらに毎月自動で生成される稼働レポートを送り、マシンの稼働を支えるシステムになっている。お客さまを支えるDXの準備は整いました。次はそれを支えるサービスエンジニアの進化です。大手企業には、現場のリーダーとなる生産技術者が存在しているが、中小企業にはいないことが多く、社長自らが行っている場合も多い。これらの課題を解決するために、アマダのサービスを、お客さまの生産技術を支援できる人材へ進化させていく。」と人材育成の必要性を述べた。

ATECで学ぶ

 

 さて、披露された新施設のATECは、1階に実習場があり、ブランクエリアがあった。自動化が最も進んでいるブランクの自動機は多機能で高度化されたシステムになっており、研修が進につれて理解が深まり、最終的にはIoTを活用したリモート操作でトラブルシュートを習得するという。

 ベンディングエリアでは、ベンディングが市場に納入台数が最も多いマシンであり、正確な保守を行うため、各年代のNC、ドライブ機構も搭載したマシンを設置していた。それだけでなく、実際に顧客から借りたノウハウの塊である〝帳票類〟もあった。この内容を理解することで。顧客とものづくりについて本質的な話ができるようになる。

 汎用マシンエリアでは、市場に多い12機種を設置していた。人手のかかる作業のため、改善箇所も多くあり、「ビジネスにつながるアイデアの宝庫」として位置付け、顧客のアイデアとともにより良い労働環境を構築していくのが狙い。
 

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