【令和7年 年頭所感】オーエスジー/アマダ/コマツ/日立建機

「『Beyond the Limit 2027』持続的な成長を目指して」
■オーエスジー
代表取締役社長兼COO 大沢伸朗

 2025年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 2024年度は日本の自動車産業の認証不正問題に始まり、航空機産業においても米ボーイング社で主力機の品質検査の不正が報告されるなど、製造業の根幹である「品質」が問われた年でした。自動車産業に関しては、これまでのEV化の流れに一服感が見受けられるようになりましたが、中国のBYDをはじめとした中国メーカーの攻勢により日系、欧米系メーカーがシェアを大きく落としました。さらに中国内需の長期低迷に伴い供給過多の状況がデフレ輸出によって東南アジアなど周辺国での競争の変化をもたらし、サプライチェーンに大きく負の影響を及ぼしています。

 このような経営環境の中、25年度から27年度の3ヶ年における中期経営計画ステージ2の「Beyond the Limit 2027」がスタートします。ステージ1から取り組んでいる収益・事業効率の改善やタップグローバル40などは継続し、その中でもステージ2では微細精密加工向けの成長産業の開拓にさらに力を入れてまいります。7月にはレンズ業界に広い販路をもつContour Fine Tooling BV社がM&AでOSGグループに加わりました。眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、眼内レンズ、光学レンズなど、これまで全く持っていなかった販路を新たに獲得しました。そこにOSGの超硬製品を合わせることで総合力を高めて微細精密加工分野における売上の拡大を目指します。

 新製品では11月に開催された日本国際工作機械見本市(JIMTOF2024)に合わせて、環境配慮型製品「GREEN TAP」の発売を開始しました。昨今、製造工程におけるCO2排出量の削減の取組みが重視される時代のなかで、性能・品質プラスアルファの付加価値をお客様に提供していくことで、OSGとしてカーボンニュートラルの社会の実現に貢献してまいります。

 中期経営計画にはAブランド、微細精密、タップグローバル40、収益改善に加えて圧造、コーティング、ダイヤモンド工具など多岐に渡るワーキンググループがありますが、どの活動においても中計の達成には社員全員の参加が不可欠です。昨日までの自分と違った取り組みで ”はじめの一歩”からスタートする意識を持ち「脱マンネリズム」を図ります。

 そして25年度からは執行体制が大きく変わります。部門を超えて更に変革を進めていくステージ2です。外部環境にとらわれず素晴らしい25年度となるよう社員一丸となって努力してまいります。

 最後になりますが、モノづくり産業の益々の発展と皆様のご健勝を祈念いたしまして年初のご挨拶とさせていただきます。

「グローバル全社員のエンジニアリング力を強化」
■アマダ
代表取締役社長執行役員 山梨貴昭

 2025年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年を振り返りますと、欧米での金利の高止まりやウクライナ問題の長期化、中東情勢の緊迫化による地政学リスクの高まりから、依然として先行きが不透明な状態が継続しております。そのような中、高水準の受注残高の消化が進んだことで売上収益は、第2四半期の3カ月として過去最高を更新、上期としても前年同期に次ぐ2番目の水準となりました。

 中期経営計画の最終年度となる本年は、計画達成の具体的アクションと長期的な成長に向けた取り組みを推進してまいります。具体的なアクションとしては、グローバルにシームレスでの提案を進め、シェア拡大による利益率向上にむけた活動をより一層強化してまいります。第2四半期より、新商品の投入による販売価格の改善が利益面へプラスに寄与してきています。昨年開催された国内外の展示会では、各事業が一体となった提案を行い新たなニーズを開拓しました。さらに、昨年発表したDXを活用した製造改革により、フレキシブルなグローバル生産体制を構築するとともに、各地域の市場ニーズに合わせた商品の投入を進めていきます。

 中長期の活動としては既存事業の拡大のみならず、成長産業である医療、半導体、e-Mobilityといった市場へ、他社との提携やM&Aなどを視野に入れながら拡大いたします。グローバルに目を向けると、アマダグループの連結売上における海外比率は63%に達しています。グローバル化のさらなる推進も重要な活動の一つと考えています。

 これらの取り組みを推進するためには「人材」の育成が欠かせません。昨年11月にオープンした「アマダ・テクニカルエデュケーションセンター」は、お客さま工場の未来に貢献する次世代型エンジニア育成の場です。お客さまと社会の課題解決に向けて、セールス・サービスエンジニアの教育にとどまらず、グローバル全社員のエンジニアリング力を強化します。

 今年の干支は乙巳(きのとみ)です。乙(きのと)は成長し広がりを見せ、殻を突き破り芽が出る状態を意味します。「まだないモノを、アマダとつくる。」をスローガンに、お客さまとともにさらなる伸長につながる一年にしたいと考えています。

 本年も皆さまの一層のご指導、ご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

「挑戦する」「やり抜く」「共に創る」「誠実に取り組む」
■コマツ
代表取締役社長(兼)CEO 小川啓之

 謹んで新年のご挨拶を申しあげます。
 昨年は、令和6年能登半島地震に始まり、大型の台風や豪雨など、数々の自然災害に見舞われました。亡くなられた方々に心からご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災されたすべての方々にお見舞いを申し上げ、一日も早い復旧・復興を心より祈念いたします。

 2022年度にスタートした3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value - Together, to “The Next” for sustainable growth」は本年3月で締め括りとなります。本中期経営計画では、安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場をお客さまと共に実現するため、新たな顧客価値の創造を通じ、収益向上とESG課題解決との好循環を生み出し、持続的な成長を目指しています。

 安全性・生産性の向上や環境負荷低減などのお客さまの現場の課題解決に貢献するため、デジタル技術を活用した施工管理やフリート管理のソリューションを生み出し、それらと親和性が高く、安全性や環境性に優れた高効率な製品を提供することで、お客さまとともに未来の現場を実現する挑戦を続けています。

 一般建機では、昨年12月に土木分野のフラッグシップである機械質量20トンクラスの油圧ショベルをフルモデルチェンジし、3D施工機能を標準装備した新世代油圧ショベル「PC200i-12」を日本で発売しました。施工の見える化・最適化を図るデジタルソリューションのスマートコンストラクション®と組み合わせることで、お客さまのICT施工導入を容易にし、建設現場の生産性向上により一層、貢献していきます。本年からは同機種を順次、欧米や豪州でも展開していきます。

 鉱山機械では、露天掘り鉱山で使用される無人ダンプトラック運行システム(AHS)の累計導入台数が790台(2024年10月末時点)となり、本年度の目標である790台を前倒しで達成いたしました。

 昨年7月には独鉱山機械メーカーGHH Group GmbHがグループに加わり、坑内掘りハードロック分野の主力商品であるロードホールダンプやマイニングトラックの商品ラインアップが充実しました。同分野における当社のプレゼンスを一層、拡大させていきます。
本中期経営計画において、2050年にカーボンニュートラルを実現することをチャレンジ目標として掲げました。

 コマツは建設・鉱山機械のフルラインメーカーとして、お客さまの多様な環境対応ニーズを踏まえ、あらゆる選択肢を提供するため、内燃機関の更なる高効率化、ハイブリッドから、カーボンニュートラル燃料やバッテリー、水素活用に至るまで、全方位での研究・開発を進めています。一般建機では、すでに7機種の電動機を市場導入しており、今後もラインアップを拡大していきます。鉱山機械では、資源大手顧客11社とのGHGアライアンスを通じ、あらゆる動力源に対応するパワーアグノスティック・ダンプトラックの開発に取り組んでいます。一昨年に買収した米バッテリーメーカーAmerican Battery Solutionsの活用や、米General Motorsとの超大型ダンプトラック向け水素燃料電池モジュールの共同開発などの取り組みも、加速させていきたいと考えています。

 また、本年1月に、私たちの価値観を行動様式で表現した「コマツウェイ」の改訂を予定しています。

 コマツウェイは、2006年に明文化され、2019年3月以来、 今回で4回目の改訂となります。コマツの連結社員数は6.5万人を超え、その約7割が海外で我々のビジネスに携わっています。コマツがさらにグローバルに発展し、強い企業として成長するために、文化や習慣の異なる全世界の社員がコマツウェイを理解することが不可欠です。

 「挑戦する」「やり抜く」「共に創る」「誠実に取り組む」 という私たちの価値観をグローバルに共有し、顧客視点による新たな価値創造に向けて、全社員が総力を結集して取り組む姿勢を強調しています。

 本年4月には新たな中期経営計画がスタートします。外部環境の不確実性が高まる中で、さまざまなリスクを想定した備えを着実に実行していきます。また、これまでの活動の成果を活かしつつ、未来の現場の実現に向けたロードマップの歩みをさらに前進させ、コマツがお客さまのパートナーとして選ばれ続けるように、コマツならではの顧客価値を創造する活動に挑戦していきます。

 コマツは今後も、「品質と信頼性の追求」と、「ものづくりと技術の革新」を通じ、新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓くことを目指してまいります。

 最後になりましたが、皆さまにとって素晴らしい1年になりますように、心より祈念いたします。

「最前線にすべての企業活動の源泉がある」
■日立建機
執行役社長兼COO 矢崎正文

 あけましておめでとうございます。年頭にあたり、ご挨拶を申し上げます。

 「最前線にすべての企業活動の源泉がある」という信念のもと、私は昨年も建設機械の稼働現場を訪問し、世界中に足を運び、Kenkijinの皆さんをはじめ、お客さまや販売代理店と対話してきました。そして7月に私たちは、あらゆるステークホルダーに革新的なソリューションを提供したい日立建機グループの想いを象徴するニューコンセプト「LANDCROS」を掲げました。私たちの先進的な製品とともに、お客さまに革新的なソリューションを提供し課題を解決するという方向性、そして、社外のパートナーと連携してオープンに進めるスタイルについて、LANDCROSと共に、ステークホルダーの皆さんに賛同いただいていると実感できた事は大きな成果です。

 昨年は日本で元旦に能登半島地震が発生し、今も被災地では復旧・復興に向けた支援が進められています。世界ではロシア・ウクライナ情勢は厳しい局面が続き、イスラエル・パレスチナの問題も緊迫した状態です。また、インドネシアやインド、日本、そしてアメリカ合衆国など多くの国々での選挙、さらに欧米での金利の高止まりなどが、建設機械の需要にも影響を及ぼした一年でした。

 しかし、そのような状況下でも、私たち日立建機は、お客さまに革新的なソリューションを提供する真のソリューションプロバイダーとなるべく、第2の創業期の歩みを着実に進め、中長期的な成長に向けた体制強化に注力してきました。業績の面では、新車需要が減少する中でも、部品・サービス事業などのバリューチェーン事業が事業全体を下支えできており、私たちが推進する中期経営計画が正しい方向に向かっている実感を得ることができつつあります。これは、Kenkijinの皆さんの努力のたまものであり、心より感謝と敬意を表したいと思います。

 さて、2023年4月から始まった中期経営計画「BUILDING THE FUTURE 2025」も折り返し地点を迎えました。4つの経営戦略「顧客に寄り添う革新的ソリューションの提供」「バリューチェーン事業の拡充」「米州事業の拡大」、「人・企業力の強化」を軸に、それぞれのビジネスユニット、地域、コーポレート部門で掲げた施策の進捗を確認し、必要な追加施策を実施していきましょう。

 2025年の年頭にあたり、皆さんには日立建機グループのビジョン「豊かな大地、豊かな街を未来へ 安全で持続可能な社会の実現に貢献します」にもう一度立ち返ってもらいたいと思います。私たちの企業活動はまさにこのビジョンを体現しており、皆さんの日々の活動が安全で持続可能な社会の実現に貢献していることに思いを馳せてください。

 最後になりましたが、世界で活躍する日立建機グループのKenkijinとそのご家族のご健康とご多幸を祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。「LANDCROS」を実現するのは皆さん一人ひとりです。一緒に今年2025年を最高の一年にしましょう。
 

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