「根強い自動化投資の回復がベース」 ロボット関連3団体 賀詞交歓会を開く

日本ロボット工業会、製造科学技術センター、日本ロボットシステムインテグレータ協会が1月10日、東京プリンスホテル(東京都港区芝公園)で新年賀詞交歓会を開いた。
3団体を代表して日本ロボット工業会の橋本康彦会長(川崎重工業社長)が、あいさつをした。この中で橋本会長は、「昨年を振り返るとパリオリンピックやパラリンピックでの日本人選手の活躍、大リーグでの大谷選手の活躍など、スポーツでは大変明るい話題があった一方、国内ではちょうど1年前、能登半島の大地震、そして豪雨災害はじめ多くの災害、そして世界でも多くの災害が発生し、非常に多くの方が被災された1年でもあった。また日本をはじめとして、80カ国・地域での選挙が行われ、今後の政治の流動化への不安を抱かせた1年でもあった。一方、長引くロシア・ウクライナ情勢や、ますます複雑化します中東情勢の地政学リスクが、さらに不安定化しつつある。国際経済もそれら要因に加えて、中国経済の低迷や欧米でのインフレ圧力などから、回復軌道が見直せるのが非常に難しい状況にある。」と振り返った。
2024年度のわが国におけるロボット産業については、「中国市場の低迷や世界経済のリスク、さらに米国大統領選挙前の投資の先送りなどから受注額は、対前年度比1.6%減の8,300億円、生産額では12.3%減の7,820億円と当初の見込みを下回る結果となった。」とし、今年のロボット市場においては、「米国契機の拡大への期待やAIへの大規模投資による半導体、電子機器への回復が見られるなど、根強い自動化投資への回復をベースに受注額は対前年比4.8%増の8,700億円、そして生産額は6.1%増の8,300億円を見通す。」との見方を示した。
製造科学技術瀬年ターについては、「ロボット、IoT、ものづくりにおける製造科学技術の調査研究や標準化に取り組んでいる。人とロボットの力や情報の相互作用を加味する革新的な競合形態で合業を提案し、新たな生産手段の確立を目指している。」とし、日本ロボットシステムインテグレータ協会については、「設立以来、ネットワークの構築、事業基盤の強化、専門性の高度化の3つのキーワードを掲げ、活動を行ってきた。一般社団法人かを機に、ロボットSIerを若者が憧れる職業へ、SIer業界の発展のみならず、自動化業界全体の発展の牽引車へ、サイバーフィジカルシステムで日本を世界一の自動化大国へ目標をふかして活動を行っている。」とした。

来賓を代表して、経済産業省の伊吹英明 製造産業局長が、「設備投資は100兆円超え、30数年ぶりにいい数字だった。賃上げは皆様が頑張っていただいた成果だが、全体で見ると5%台、中小企業でも4%台半ばぐらいまで賃上げをしているので、デフレからインフレプラス成長する経済に差しかかった兆しが見えたかという感じである。ほかにもGDP名目で600兆円超え、株も一時期4万2,000円を超えていたので良い数字が出た年だった。今年はこの好循環が定着できることを確認できる1年にしていきたい。特にサービスロボットの市場ではロングテールの市場がたくさんある。スタートアップをはじめ、多様な主体がロボットのシステムを開発しやすくなる体制を作っていけないか、ということで、開発環境において補正予算100億円ほど用意をさせていただいた。」と声援を送った。
乾杯の発声は日本ロボットシステムインテグレータ協会の久保田和雄会長(三明機工社長)が行った。宴もたけなわのころ、散会した。