日立建機 使用済みの作動油を再生する技術を開発

再生した作動油で稼働する油圧ショベルZX135US-5B

 

 日立建機は、このほどサーキュラー・エコノミー(資源循環型経済)の実現に貢献する取り組みの一環として、使用済みの作動油を再生する技術を開発したと発表した。

 同社は、再生した作動油を用いた中型油圧ショベルZX135US-5B(13tクラス)1台を、メーカー保証付き中古車としてこのほど日本で販売した。今後も日本で再生する油圧ショベルには本技術を適用し、作動油を含めて車体全体を再生していく計画。

 日立建機グループは長年にわたり、顧客の使用済み純正部品を新品同等に再生して市場に供給している。また、2021年からは油圧ショベルなど建設機械の車体本体の再生にも取り組んでいる。今回は、稼働時間3,200時間以上の中型油圧ショベルZX135US-5Bを新車同等の性能まで再生し、さらには再生した作動油を用いて再び中古車として市場に供給する。再生した作動油を中古車に用いて商用化するのは、日立建機にとって今回が初めて。

 

作動油への添加剤投入

油圧ショベルを動かす血液のような役割を果たす作動油は、油圧ショベルの長時間の稼働に伴い、異物混入、熱による成分変化、酸化などで劣化するため、定期的に作動油を抜き取り新しい作動油に交換する必要がある。同グループはこれまで、作動油の長寿命化をめざし、添加剤の投入などによる研究開発に取り組んできたが、今回、専用装置を使用して不純物や汚染物質を取り除く浄油方法と添加剤の投入を組み合わせることで、作動油を交換することなく、動粘度や酸化の度合いなど日立建機が定める品質基準まで再生する技術を開発した。また、再生した作動油を用いた油圧ショベルが正常に稼働することも確認している。この技術により、作動油の交換作業の負荷も軽減され、効率的な機械の再生が可能になった。

 なお、13tクラスの中型油圧ショベルには125リットルの作動油が使用されており、この作動油の生産には、一般的にその数十~100倍に相当する原油が必要とされる。したがって、13tクラスの中型油圧ショベルに使用される作動油の生産には、約1万リットルの原油が消費されると推定される。使用済みの作動油を再生することで、原材料である原油の消費を低減することができる。
 

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