オーエスジー 第112回 定時株主総会を開く

 

 オーエスジーが2月21日(金)にホテルアソシア豊橋(豊橋市花田町西宿)で「第112回定時株主総会」を開催した。

 事業報告では、経済環境は緩やかな成長トレンドの中、世界的なインフレ圧力の緩和が見られ、米国や欧州での利下げが行われ、日本では物価上昇率2%で安定のめどがついたことで、日銀による利上げが行われたが世界的な内需の減少は継続しており、特に消費と投資の低迷が顕著な中国経済は成長の鈍化が続き、また、ウクライナ情勢やパレスチナ問題などの地政学リスクへの警戒感は引き続き高く、米国ではトランプ氏が大統領選挙で再選を果たしたことにより、今後、保護主義的な政策の増加が予想され、先行き不透明な状況となっている一方で、為替市場の主要通貨の動きは、7月までは大きく円安方向に進んでいたが、その後は円高方向に動き、最終的には期首と同水準で着地した。同社グループにおいては為替換算の影響もあり、全ての地域において売上高は前期と比較して増加したが、利益面においては人件費や原材料等の高騰などにより減少し、増収減益という結果になった。

 この結果、連結売上高は1,555億1,700万円。連結営業利益は188億6,800万円。連結当期純利益は134億3,900万円となった。また、海外売上高比率は円安の影響もあり、前期と比較して増加し、68%となった。

 国内では、インフレ率の安定を受けて利上げが行われ、定額減税の実施を背景とする個人消費の押し上げがあったが、自動車認証不正問題の影響や設備投資の遅延等もあり、景気回復は足踏み状態となった。売上高は微増となったものの営業利益は減少した。

 国外では、インフレの落ち着きにより利下げが行われ、個人消費や設備投資が底堅く推移し、全体として回復基調を維持した。南米ブラジルでは、航空機関連産業は回復基調、自動車関連産業は横ばいの状況。売上高は増加したが、各種費用の増加により営業利益は減少した。

 欧州では、インフレ圧力の緩和から利下げが行われ、パリ五輪の特需などを背景に個人消費が増加。一方で、内需の低迷で製造業の不振は長期化。中国向け輸出減少が顕著で、特にドイツの製造業が不振に陥っている。

 業種別では、自動車関連産業は回復途上にあり、航空機関連産業は回復基調が続き、新規案件も増加している。売上高は増加したが、人件費等の増加で営業利益は減少した。

 中国経済は回復傾向にあり、11月の製造業DMIは3カ月連続で上昇し、改善の兆しが見られ、足元の輸出は堅調に推移している。中国最大の輸出相手国である米国でトランプ大統領が就任し、今後もその動向が注目される。輸出主導の台湾も、業種によって回復の兆しが現れ、韓国では景気全般は横ばいだったが、自動車や航空機関連産業は回復基調にある。アジア全体で売上高は増加し、コストの増加等を背景に営業利益は減少した。

議長の石川会長兼CEO

 同社では2025年11月期も全部門で事業効率の向上と安定して利益を生む体質強化のために成長が見込まれる市場において、販路拡大を目指して各種取り組みに挑戦するとし具体的には、半導体装置に関連する部品、精密LED金型、レンタルを中心とした医療分野、ダイヤモンド工具を強化して、コンタクト、眼鏡などのレンズ業界へ本格参入を図り、微細精密分野のさらなる強化に努めるとしている。

 また、2024年7月にレンズ業界に参入するために、オランダに本社を置くContour社のグループを買収、また、精密金型に使われる単結晶ダイヤモンドのボールエンドミルを製造するマイクロダイヤモンド社の事業を継承した。イタリアのフューディ社を含めたその中核として、日新ダイヤモンドの社名をオーエスジーダイヤモンドツール株式会社に変更し、ダイヤモンド事業を一体で成長させていくとした。

 また、来期の取り組みとして、超硬エンドミル事業のさらなる成長戦略のために大池工場の建て直しとともに、茨城県常総市に旧エスデイ製作所が新工場を建ててOSGグラインドテックとして生まれ変わり、2025年1月から正式に生産を開始している。

 2025年11月期は、さらなる事業効率の向上に重点を置き、グループ一丸となって各種政策についてスピード感を持って強力に推進していく方針。

 第1号議案「剰余金処分の件」、第2号議案「取締役(監査等委員である取締役を除く)2名選任の件」、第3号議案「役員賞与支給の件」が上程され、それぞれ可決された。

大沢社長兼COO

 総会終了後、懇談会が開かれ、大沢伸朗社長兼COOがあいさつをした。この中で大沢社長は、「工作機械業界は日本工作機械工業会が見通しとして25年度は後半にかけて明るい見通しを掲げているが、地域単位ではでこぼこ感がある。当社は多くの地域に根を張っているが、景気動向等もしっかりと見据えた形で、的確な政策を断行していきたい。また、皆様も注目しているトランプ大統領の動きだが、各国に課す関税がどのような影響を与えていくか、われわれもインパクトを最小限に抑えられる施策等をしっかりと見ていきたいと思っている。幸い、当社は世界中に多くの工場を展開しているので関税対策の最適な形を模索しながら、この動向を注視していきたいと考えている。」と意気込みを示した。
 

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