ダイジェット工業 増収増益!

 ダイジェット工業(社長:生悦住 歩氏)は、2025年3月期(2024年4月1日~2025年
3月31日)の連結決算を発表した。

 同社グループを取り巻く経営環境は、地政学リスクの高まり、中国経済の減速懸念、円安進行による物価上昇が及ぼす影響などで先行き不透明な状況が続いている。さらには米国による関税引き上げの影響により、自動車産業等で輸出や生産の減速懸念が高まり、注視していく必要がある。

 このような情勢下で同社グループは、国内外の展示会に積極的に出展するとともに、超硬シャンクアーバー「頑固一徹」を使用する顧客を対象とした会員制クラブ「頑固クラブ」に多数の加入があり、顧客ニーズの吸い上げに注力した。

 切削工具では、小径・多刃仕様荒加工工具SKSエクストリーム「EXSKS05形」の低抵抗PLインサート、高能率アルミ加工用工具エアロチッパーミニ「MAM/AMX形」のDLCコートインサート、刃先交換式ドリル「TAEZドリル」のプリハードン鋼用インサート、モジュラーヘッドタイプ等、顧客ニーズに応えたラインナップを追加し、販売の拡大に努めた。また、耐摩耗工具については、同社独自の開発材料である高硬度・高抗折力合金素材において、高硬度と高強度の両立を実現し、耐摩耗性・耐衝撃性の両分野での特長を活かして、従来の金型素材では対応しづらい、EVやHEV用電池ケース金型等で成果を挙げ、販路を拡げた。

 その結果、連結売上高は前年同期比5.4%増の8,793百万円となった。収益面では、売上高の増加や売上原価率が改善したことなどにより、営業利益は前年同期比95.5%増の219百万円、経常利益は同12.3%増の195百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は205百万円(前年同期の親会社株主に帰属する当期純損失130百万円)となった。
 
 製品別売上高は、焼肌チップが前年同期比5.0%増の556百万円、切削工具は同5.6%増の7,269百万円、耐摩耗工具が同4.6%増の922百万円となった。
 
 地域別売上高は、国内が前年同期比4.5%増の3,748百万円、北米向けが同0.1%減の1,078百万円、欧州向けが同1.4%減の1,339百万円、アジア向けが同13.0%増の2,589百万円、その他の地域向けが同39.1%増の36百万円で、輸出割合は前年同期に比べ0.4ポイント増加して57.4%となった。
 
 今後の見通しは、長期化するロシア・ウクライナ情勢や中東問題、原材料やエネルギー価格の高騰、米国の関税政策の変化等による急激な為替変動や世界的な景気後退が懸念され、不透明な経営環境が続くものと予想される。
 

 このような中で同社グループは、EV化がもたらす自動車産業の構造変革に一層注視するとともに、流通チャンネルを通じて顧客ニーズをつかみ、集めた情報を活かした戦略的な営業活動を行っていく。また、国内外の市場・顧客の新規開拓に向け、海外子会社や国内販売店等との連携も密にし、販売拡大を図るとともに継続的な品質改善、経費削減に向けた取組みを推進し、さらなる収益性の向上に努める。
 

 これらにより、次期連結売上高は9,200百万円、営業利益500百万円、経常利益450百万円、親会社株主に帰属する当期純利益350百万円を予想している。為替レートは、1米ドル145円、1ユーロ160円を想定。
 
 

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