DMG森精機 奈良事業所が世界最大級のシステムソリューション工場へ!

テープカットの様子

 

 

あいさつをする森社長

 DMG森精機(社長=森 雅彦氏)が、かねてより改装工事を行っていた奈良事業所の稼働を4月より開始した。4月14日(月)には開所式を執り行った。あいさつに立った森社長から、改修の目的などの説明があり、山下 真 奈良県知事、須賀千鶴 経済産業省製造産業局産業機械課課長、稲葉善治 ファナック会長がお祝いの言葉を述べた。

 

 

システムソリューション工場

 同社の前身、森精機製作所は1948年に奈良県大和郡山市で創業した。大和郡山市にある 奈良事業所では、長らく工作機械の製造を行い、2016年には約5,000㎡のシステムソリューション工場を新設した。

 自動化需要の高まりにより、工作機械製造を伊賀事業所(三重県伊賀市)に集約し、従来、工作機械の組み立てを行っていたエリアを改修し、このほど奈良事業所の自動化システム構築エリアは従来比4倍の約20,000㎡となり、業界で世界最大級のシステムソリューション工場として生まれ変わった。 

 なお、これまでのシステムソリューション工場には、AIおよびEV向け実装基板自動外観検査装置を手掛ける同社グループ 会社のサキコーポレーション奈良事業所が移転し、2025年2月より稼働している。また、近隣には グループ会社のマグネスケールのレーザスケール工場が2026年に稼働予定。

自動化システム事例 NLX 2500 | 700 2nd Generation+ ロボットシステムMATRIS Light

 

 自動化システムは顧客の加工ワークだけでなく、工場環境、勤務形態、生産数などに応じて多種多様な生産形態をとるため、顧客ごとに最適化されたソリューションが必要となる。奈良事業所では、パレットハンドリングシステム、ワークハンドリングシステムなど、多彩な自動化システムの設計から組み立て、出荷前のお客様の立ち会いまでを同社エンジニアが連携し、一貫した生産体制で高品質な自動化システムをワンストップで提供している。

 長さ100メートル以上の自動化システムラインも構築可能で、操作盤の組み立てや制御盤の試作品組み立ても実施している。奈良事業所で自動化システムを構築し、精度やシステム動作を確認した後、顧客の工場で再構築する。事前に課題を解決してから出荷するため、顧客の工場での立ち上げまでのリードタイムを大幅に短縮できる。また、厳格な入室規制や監視カメラの設置など、高度なセキュリティ体制を確立しており、機密性が高い案件にも対応している。

自動化システム事例 大容量工具マガジンCTS(Central Tool Storage)

 

 奈良事業所は北工場、制御盤工場、南工場の3つの工場と、6階建ての事務所棟があり、約220名の社員が働いている。3、4階は主に自動化開発部門のオフィスフロアがあり、5、6階には100名が収容可能なセミナールーム、社員の憩いの場であるカフェと1,200冊以上の書籍を設置している。また、工場屋根には大規模な太陽光発電パネルを設置し、再生可能エネルギーを活用したサステナブルな生産を実現し、工場内で使用する全ての空調と照明の電力をカバーしている。

奈良商品開発センタ内に「AMイノベーションセンタ」も開所

AMイノベーションセンタ

 また、4月より、第二本社である奈良商品開発センタ(奈良市)の1階に、同社最新のAM(Additive Manufacturing)機を設置し、新たに「AMイノベーションセンタ」も開所した。世界最大級のシステムソリューション工場の奈良事業所(大和郡山市)とともに、最先端の技術を顧客に提供する。

 金属積層造形技術は、従来の切削加工では困難な形状を造形できるため、世界的に急速な進化を遂げて おり、航空・宇宙、医療、自動車などの分野での応用が拡大している。一から部品を作り上げるだけでなく、 修理や補修の用途でも活用が進んでおり、廃棄物やエネルギー消費の削減にも貢献している。同社は、2022年に伊賀グローバルソリューションセンタ、東京グローバルソリューションセンタ内に「AM Lab & Fab」を開設し、 顧客の金属積層造形の活用をサポートする受託加工サービスを行っているが、受託加工にとどまらず、積層造形技術に基づいて構想設計を行い、同社製工作機械の内製部品の量産に活用するまで、適用範囲が拡大しており、この知見を用いて、顧客の部品の機能向上や技術革新への展開が狙い。

 同施設では、DED方式とSLM方式の2種類の金属積層造形機を5台設置している。顧客の多様なニーズに対して、同社エンジニアがDfAM (Design for Additive Manufacturing)により、革新的で創造的な形状の最適設計から積層条件の提案、実際の造形まで行う。また、積層造形の前後工程で必要な粉末保管庫や3Dスキャナーなどの周辺機器も設置しており、AMのショールームとしての役割だけでなく、実際に最先端の金属積層技術を用いて、顧客の製品開発から生産準備、検証までの一連のプロセスを体感できる。

 さらに、この施設にはAMの基礎から最先端技術までを学ぶことができる動画・コンテンツや、実用事例として30種類以上のワークを展示している。また、産学連携の取り組みとして、慶応義塾大学との共同開発 プロジェクトも紹介している。

 なお、本年年4月1日付けでAM事業のさらなる強化を目的に、DMG森精機Additive株式会社を設立した。設立したAMイノベーションセンタをグローバルのAM技術開発の中心拠点として、さらなる普及・ 発展に寄与し、お客様の生産性向上とビジネスの拡大をサポートしていくとしている。
 

moldino_banner