日本金型工業会 取引適正化のため「下請け」の使用自粛を求める

 日本金型工業会(会長=山中雅仁 ヤマナカゴーキン社長)の金型産業戦略会議が、このほど、取引適正化のための第一歩として「下請け」の使用自粛を広く要請した。

 同工業会では、時代の変化とともに、「いまこそ発注者・受注者の関係性も見直すべき時」とし、中小受注事業者の賃上げが困難な要因のひとつに、「一部の発注者によって受注価格が厳しく抑えられている。」とし、その背景には、優越的地位の濫用とも言える構造的な問題が横たわっており、「価格転嫁を要請する以前に、相見積もりによって交渉の余地すらない状況が続いている。」という深刻な問題を挙げている。

 同工業会では、構造的な上下関係の意識を助長しているのが、「下請け」という言葉であり、「この言葉が長年、何の疑問もなく使われ続けてきた結果、発注者と受注者の間に無意識の差別意識が生まれてしまっている。」としたうえで、発注者・受注者は、上と下の関係ではなく、対等な「パートナー」であるという認識の必要性を強く訴えている。

 同工業会では、「今後は、〝パートナー〟〝パートナーシップ〟といった言葉の使用を推奨し、すでに日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会は連名で〝パートナーシップ構築宣言〟の推進を進めており、私たちもこれに倣うべきと考えている。〝下請代金支払遅延等防止法〟が〝パートナーシップ代金支払遅延等防止法〟と名称変更される未来が訪れたら、それは業界にとっても社会にとっても大きな一歩となるはずだ。」としており、業界全体の意識改革として、理解と協力を広く呼びかけている。
 

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