日本金型工業会が第13回定時総会を開く

 

あいさつをする山中会長

 日本金型工業会(会長=山中雅仁 ヤマナカゴーキン社長)が、6月13日、ホテル メルパルク名古屋で第13回定時総会を開催した。

 総会は副会長の鈴木教義(鈴木社長)の開会のあいさつで始まり、続いて山中会長が、あいさつをした。この中で山中会長は、日頃の感謝の意を表したあと、「昨年から私が快調になり1年が経とうとしている。足元はレアメタルなどの影響で車の生産が困難な状態が続いている。今後も様々な変化で逆風があると思っている。」と話したあと、本年5月に改正案が可決された下請法に触れ、「われわれはパートナーとしてしっかりとものづくりをしていこうという後押しになるのではないか。また、賃上げ、訂正価格を維持していくためのサポートになる。」と述べた。また、「市場拡大に向け、国内のみならず海外の需要を開拓していく取組みを打ち上げている。市場拡大に向け皆様と一緒に頑張っていきたい。」と意気込みを示したあと、議事進行に移った。

 令和6年度事業報告の承認を求める件、同決算報告の承認を求める件ならびに監査報告の件、令和7年度事業計画案の承認を求める件、令和7年度収支予算案の承認を求める件がそれぞれ承認された。

経済産業省 星野素形材室長

 来賓を代表して経済産業省製造産業局の星野昌志素形材産業室長があいさつをした。この中で星野室長は、「私は金型を通してものづくりの未来を考えることが多かった。最終製品が変わっていく時代の流れに、どう対処して良いのか、あるいは人手不足などの悩みを抱えられている経営者の実態や悩みを伺ってきたが、皆様にヒントを頂いたことを活かして、この3月に12年ぶりに経済産業ビジョンをまとめさせていただいた。金型はものづくりの主役。経済産業省も足並みを揃えて邁進していきたい。」と声援を送った。

 閉会のあと、「中小企業だからできるダイバーシティ経営」をテーマに富士電子工業の渡邊弘子社長が講演をした。

松岡副会長

 懇親会では冒頭、あいさつに立った副会長の松岡寛高 七宝金型工業社長が、「われわれの業界は女性の活躍が足らない。工業会としてもかながた小町などをつくり女性の活躍をなんとか盛り上げようとしている。若い方や女性がこの業界に入ってきやすいような業界になっていくことが大切だ。業界は非常に厳しい状況だが、乗り越えるためにもこうした懇親の場で同業者の皆様と話をさせていただき、横の繋がりをしっかり作る楽しい会にしていければと思っている。」と思いを述べた。

 続いて山中会長が、「今年のインターモールドの出展企業が122社あった。当社は最初から出店していたと思うが当初は10社程度だった。来年はインドで実行するが、まだ3、4社しか問い合わせが来ていない。海外出展も増えることを願っている。そしてそれが継続して出展していくうちに人脈をつくるプロセスになる。ここは頑張っていきたい。」と意気込みを示した。

 乾杯の発声は、牧野フライス製作所の饗場達明 代表取締役専務が行った。宴もたけなわの頃、散会した。

 

「新たな価値創造へ」山中会長 あいさつ 

 第13回定時総会の開会にあたり、一言ご挨拶申し上げます。
 本日は、ご多用の中、多くの皆さまにご出席を賜り、誠に有難うございます。
昨年6月の総会で会長職を拝命してから、早1年が経ちました。この間、当工業会の
令和6年度事業計画テーマを正会員、賛助会員の皆さまとご一緒に推進してまいりました。5月には、これまで注力してまいりました「業界ワンボイス」メッセージ発信の成果として、国会で下請法等の改正法が成立し、イコールパートナーシップの関係に基づく、サプライチェーン全体での適正な価格取引定着へ明年1月から大きな改定となる運びとなりました。ここに改めて、正会員、賛助会員の皆さま並びに関連諸官庁・諸団体の皆さまに、工業会活動全般に対するご支援・ご協力に厚く御礼を申し上げる次第です。

 さて、経済アナリストによりますと、日本経済は、緩やかな回復基調も、成長率は鈍化する見通しで、注目の企業設備投資は、人手不足対応・デジタル化・脱炭素・サプライチェーン強靱化等のニーズは根強いものの、米国の政策不確実性の高まりから一部に様子見の動きが見られているようです。また、自動車メーカー7社が5月中旬に公表した2025年3月期連結決算ならびに2026年3月期予想では、米国の追加関税措置発動の影響により、厳しい数字が相次いだことはご承知の通りです。

 このような環境を踏まえた令和7年度の工業会活動なりますが、その要点はと言えば、「稼ぐ業界への取組み」に尽きます。近年のAI、IOT、ビッグデータ等の技術革新の潮流は金型産業には追い風になります。それらのICT技術の導入による金型製作の自動化・効率化や高精度金型による新たな価値の創造は、金型産業の成長に繋がるものと考えております。

 また、海外市場への展開や成長産業への参入等 マーケットの拡大も利益創出には重要な要因ですが、概して金型業界は取引先が固定化されている企業が多いため、成功のためには、営業プロセスの見える化や営業体制の見直し等の営業力強化がポイントになります。

 一方、前述の通り、今回の法令改正により、取引環境の改善が促進されましたが、更に進んで、業界として「価格決定力の強化」も必要と考えております。勿論、「お客様の収益の貢献度に応じた適正な価格設定」があってこその実現ですが、企業努力が相殺されてしまうような価格設定はあってはなりません。以上のような内容につきましては、今年度の委員会事業や特別プロジェクト、ワーキンググループ、本部からの情報発信等を通じて、皆さまと議論を深めていきたいと思っています。

 さて、これまで、私は、「本来、金型業界はワクワクできる魅力ある業種、なぜならば、社会課題を解決できるツールを提供できる存在」「もっとワクワクし、面白いことをするには、人材も設備も投資する。そのためには、きちんと稼がなければならない。」と持論を展開してまいりました。「稼ぐ業界への取組み」と合わせて、今年度も「外部への金型業界の魅力発信」に努めたいと考えています。「広報委員会事業」や「かながた小町分科会活動」をはじめ、皆さまと、お客様をはじめ産業界には、「金型業界は、社会課題を解決する」ベストパートー」、働く人々には、「金型業界は、やりガイ・働きガイのある職場」とのメッセージを伝え、業界のステータス向上に努めたいと考えております。

 最後になりますが、今まで以上に会員の皆様方はもちろんのこと、関連諸官庁・諸団体の皆様方にも倍旧のご支援ご協力をいただけますことをお願い申し上げ、私からのご挨拶とさせていただきます。
 

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