2025年11月分工作機械受注総額は1,370.1億円

 日本工作機械工業会がこのほどまとめた2025年11月分の受注実績は以下の通り。

 2025年11月分工作機械受注総額は、1370億05百万円となった。前月比は△4.5%で3カ月ぶりに減少したが、前年同月比は5カ月連続増加の+14.8%で、3カ月連続で1,350億円を上回った。月により若干の増減はあるものの、年央までと比較して、外需を中心に需要の高まりが感じられる。

 このうち内需は、前月比で△10.4%(2カ月連続減少)、前年同月比で△6.8%(3カ月ぶり減少)の319億87百万円で、3カ月ぶりに350億円を下回った。最大需要区分である「一般機械」(130億円)は、データセンタ、エネルギー関連、建設機械等での受注が比較的目につくものの、産業機械全般として活力に乏しく、9カ月ぶりに130億円を下回った。

 「自動車」(67億円)も3カ月ぶりに70億円を下回ったが、前年同月比は2カ月連続で20%を超える増加幅であり、秋口からの緩やかな改善が持続している。「航空機・造船・輸送用機械」は2カ月ぶりに30億円を超え、航空・造船とも引き続き設備投資に前向きな姿勢が感じられる。

 外需は1,050億18百万円となり前月比△2.5%で3カ月ぶりに減少しているものの、過去4番目の高水準の受注額であり、北米・アジアは高原状態が持続している。また、欧州も緩やかながら改善に向けた動きが窺える。

 先月初めて月ベースで75%を超えた外需比率は、76.7%と2カ月連続で過去最高を更新した。地域別に見ると、北米(294億円)は航空機関連や自動車関連での大型受注の剥落が響き、前月比で△12.3%と4カ月ぶりに減少したが、3カ月ぶりに90億円を超えた「一般機械」(93億円)をはじめ、「金属製品」(33億円)、「電気・精密」(26億円)等前月比で増加した業種もあり、北米全体として高水準の受注が持続している。「欧州」(181億円)は前月比で約1割減少したが、直近1年の平均受注額(160億円)を大きく上回り、前年同月比は5カ月連続で増加した。「アジア」(543億円)は、3カ月連続で前月比・前年同月比とも増加し、3月(555億円)に次ぐ本年2番目の高受注額となった。なかでも中国(381億円)は、「電気・精密」が複数の大型受注により32カ月ぶりに90億円を超えたほか、「自動車」も2カ月ぶりに130億円を上回り、同国全体として54カ月ぶりに380億円台に乗せたのが目を惹く(過去3番目の受注額)。インド(59 億円)も4カ月ぶりに55億円を上回った。

 11月の工作機械受注は、前月同様、外需の伸びが寄与し、概して好調に推移。受注の先行きは、国際情勢が落ち着きを模索するなか、概して堅調ながら慎重な動きもあり、終盤の需要増に期待。

受注額の月別推移


(出所:日本工作機械工業会)

11月分内需 319.9億円(前月比△10.4% 前年同月比△6.8%)
 

 内需総額は、319.9億円(前月比△10.4% 前年同月比△6.8%となった。

 3カ月ぶりの350億円割れの低調な推移。主な需要業種は、前月比で「航空・造船・輸送用機械」を除く業種で減少、前年同月比では「一般機械」、「電気・精密」が減少し、内需は低い水準となった。

 ・⼀般機械は前⽉⽐で2カ⽉連続減少、前年同⽉⽐は2カ⽉ぶり減少で、やや低調な推移。
 ・建設機械は7カ⽉連続10億円には届かずも、概して堅調に推移。
 ・⾦型は、3カ月連続14億円超え、2025年の暦年の中で1番⾼い受注額で堅調な推移。
 ・⾃動⾞向けは、前⽉⽐で減少、前年同月比は増加となっている。近年の「年平均レベル」をみると22年の平均レベルをピークに加工している。
 ・依然低水準ながら、上期と比べ、新車対応投資や更新投資が一部に見られる。


(出所:日本工作機械工業会)

11月分外需(1,050.2億円 前月比△2.5% 前年同月比+23.6%)


(出所:日本工作機械工業会)
 

 外需総額は1,050.2億円(前月比△2.5% 前年同月比+23.6%)となった。

 ・前⽉⽐は3カ⽉ぶりの減少も、前年同⽉⽐では14カ⽉連続増、15カ⽉連続の800億円超えと好調な推移。1,000億円超えは2カ⽉連続、2025年暦年で3回目。
 ・外需は、需要の不透明感が払拭されないなか、一部需要業種で投資が見られ、緩やかながらも増加基調が続いている。

①アジア
 アジア計は、2カ⽉連続の500億円超え。
 ・東アジアは8カ月ぶりの400億円超え。
 ・中国は3カ月連続の300億円超え、2025年暦年で一番高い受注額。
 ・その他アジアは7カ月連続の100億円超え。
 ・インドは2025年暦年の平均水準で推移。

②欧州
 欧州計は3カ月連続150億円超え。
 ・ドイツは2カ月連続の40億円超え。
 ・イタリアは2カ月連続の25億円超え。2カ月連続2025年の平均より15%高い受注額。

③北米
 北米計は前月比、前年同月比で増加し、10カ月連続の250億円超。
 ・アメリカは前月比で減少も前年同月比増加。
 ・メキシコは3カ月ぶりの20億円割れ。


 ・⼀般機械は、2カ⽉連続300億円超え。
 ・⾃動⾞は、前年同⽉⽐で10カ⽉連続増加し、4カ⽉連続の200億円超え。
 ・電気・精密は、前年同⽉⽐では微減も、前月比で大きく伸び、2カ⽉連続150億円超え。
 ・航空・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐で減少し、3カ月ぶりの90億円割れ。


(出所:日本工作機械工業会)

今後の見通し

 設備投資の周辺環境を見渡すと、恒常的に自動化・高効率化、環境対応に関する需要が見られ、長らく設備投資を抑制してきたユーザを中心に老朽機更新の必要性が高まっている。各国の通商政策や国際関係、主要業種の需要動向に不確実性がある中、中小企業ユーザを中心にタイミングを測る様子も窺えるが、上述の通り、秋口以降外需を中心に、設備投資が一段高い水準にて進み始めた可能性もある。

 各地域別に展望すると、まず北米は、米国による一連の関税措置に対する警戒感が幾分緩和されつつある他、航空機や自動車、建設機械等で今後も大口受注が続くと見られる。また、FRBの利下げ実施により資金調達が容易となった中小企業ユーザにとって設備投資は行いやすくなると考えられる。

 次に、欧州景気に対する会員の見方は依然評価が分かれているが、受注額に関しては10月が200億円超、11月も180億円超となるなど、このところは昨年年央以降の水準を超えて推移している。ウクライナ情勢で和平に向けた機運が高まれば、より安定的な回復が期待される。更にアジアを見ると中国は、これまでけん引役であった自動車関連需要がピークアウトする可能性がある一方、半導体デバイス関連では輸出製品向けで高水準の受注が見込まれている。インドも、自動車や自動二輪、農業機械等での受注が持続すると見る会員が多い。

 内需については、過去数カ月緩やかに上向いていた一部自動車関連で、設備投資計画を増やす動きが窺えるものの、一時的動きと見られ、納期短縮のための能力増強投資及び老朽設備の更新投資が続くと考えられる。航空・造船分野での需要拡大への期待感も根強い。また、国内外を通じてAIのデータセンタ増設・増強に関する設備投資の広がりも指摘されている。

 こうした中、日工会が12月上旬に会員企業を対象に実施した、2026年1~3月期の受注見通し調査のDI値は△1.5ptと2四半期ぶりの「減少」超となった。景況判断を下方修正した会員からは、「受注が大きく増加した本年下期からは若干落ち着く」との見方や、「米国で輸入物価が高騰し景気は下押しとなる可能性」、「中国での自動車関連需要の減少」等への警戒が窺えるが、2026年全体としては、概ね本年よりも良好な受注状況を期待したい一方、米国での100%即時償却の恒久化措置、中国での内需拡大を主眼とした積極財政方針、我が国での大企業を対象に含めた投資促進減税案など、主要国での税制・政策措置への関心が高まっており、今後受注に及ぼす効果について注視していくとした。
 

MOLDINO