「チャレンジングな1年になる」日本機械工具工業会が賀詞交歓会を開く

佐橋会長

 日本機械工具工業会(会長=佐橋稔之 住友電気工業 常務)が1月13日、丸の内東京會舘(東京都千代田区丸の内)で新年賀詞交歓会を開いた。

 あいさつに立った佐橋会長は2025年を振り返り、国内経済の現状について触れ、「賃金や各種コストの上昇など厳しい環境が続くなか、値上げを受け入れてもらえる場面もあった」とする一方、「景気や穏やかな回復傾向とされているものの、最も関係の深い自動車関連を含め、生産現場では物量面での回復を実感できていないという声が多い」と述べた。そのうえで、国内製造現場を取り巻く状況は「依然として回復とは言いがたい厳しさが続いている。当工業会は他工業会に比べ国内販売の比率が多く、今年も国内需要の回復が大きな課題である」との認識を示した。

 海外については、米国は春先以降、相互関税問題に翻弄されてきたとの認識を示し、「年初から新たなリスクも高まっており、今年も対米関係を慎重に注視する必要がある」と述べた。欧州については、「自動車販売の不振に加え、ロシアを巡る問題が長期化していることから、景気の減速感が続いている」と指摘。中国に関しては、「景気低迷を背景に、昨年は低水準で横ばいの状況が続いた」との感想を述べ、昨年の工業会の課題について、「中国の重要鉱物輸出規制が2月から始まり、原材料不足、価格高騰が顕在化した1年だった」と振り返った。

 この問題は現在も続いており、「規制後は中国からのタングステン供給が十分に確保できていない状態」と述べた。さらに本年、中国商務省が発表したデュアルユース規制についても、「今後の動向を注視せざるを得ない」と強い懸念を示した。

 このような背景のもと、25年度上期の生産額については、前年度比2.1%増の2369億円となったが、年間見通しについては、当初、後半に回復するとの想定のもとで計画を立てていたものの見通しをやや下方修正したことを昨年秋に発表したと説明した。また、2026年の見通しについては、春先に数値を示す予定としながらも、原材料価格の高騰や供給問題が続いていることから、「予測は厳しい状況にある」との認識を示したあと、工業会の重点課題について下記の3つを挙げた。

(1)    タングステン原材料の調達並びにリサイクルの推進・促進。
(2)    海外進出のサポート
(3)    DXの促進

 佐橋会長は最後に「刻々と変化する状況に対し、これまで以上に臨機応変かつスピーディーに対応していくことが重要だ」と強調した。そのうえで、「本年は非常にチャレンジングな1年になる」との認識を示しつつも、変化を成長の機会と捉え、前向きに挑戦していく姿勢を示した。

官民が連携しながら課題に立ち向かう

経済産業省 須賀産業機械課長

 続いて来賓を代表して経済産業省製造産業局 須賀千鶴 産業機械課長があいさつをした。あいさつの中で須賀課長は、昨年を「中国と米国の動向に翻弄された一年」と振り返り、年明け以降もベネズエラ情勢や中国による新たな輸出管理措置など、国際情勢が目まぐるしく動いていると指摘。「今年も皆さまとともに激動の一年を駆け抜けることになる」との認識を示したあと、「国内は人口減少や少子高齢化に伴う人手不足が一段と深刻化し、世界的な資源価格の高騰によって物価動向の不確実性も高まっている」と分析した。

 須賀課長は高市政権の成長戦略について、危機管理投資を柱に、AIや半導体、バイオ、航空・宇宙、エネルギー、GXなどの重点分野が示され、それぞれに工程表が策定されていくとの見通しを示した。さらに、機械工具については、「自動車や航空機、半導体など、日本のものづくり産業を根底から支える極めて重要な製品である」と強調。中国による重要鉱物の輸出管理措置を受け、超硬工具の材料であるタングステンの安定供給への懸念が高まる中、「政府としても機械工具業界と一層連携し、経済安全保障の観点から重要鉱物の安定供給体制の確保に努めていく。官民が連携しながら課題に立ち向かうことで、日本のものづくりの競争力をさらに高めていける」と力強くあいさつをしめくくった。

 乾杯の発声は森 誠副会長(富士精工 会長兼社長)が行い、宴もたけなわの頃散会した。


 

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