加工から変革へ! DMG森精機×東京大学「マシニング・トランスフォーメーション研究センター(MXセンター)」開設 ~MXを加速し、製造業の革新と持続可能な社会を実現~
DMG森精機(社長=森 雅彦氏)と東京大学(総長=藤井輝夫氏)は、製造業の持続的発展と課題解決を目指し、2050年を見据えた高効率化、省エネルギー、人材不足解消に取り組むことで製造業の革新を推進するため、東京大学の大学院工学系研究科(研究科長=加藤泰浩氏)内に、「マシニング・トランスフォーメーション研究センター(以下、MXセンター)」を開設することに伴い、3月9日、東京大学本郷キャンパスの安田講堂にて共同記者会見を開催した。開設は2026年4月1日を予定している。
同センターは、DMG森精機の寄付を原資として東京大学基金内に設置される「マシニング・トランスフォーメーション研究センター基金」を活用し、その運用益等を財源として長期にわたり安定的に運営する「エンダウメント型」研究組織として設計されている。これにより、中長期の視点で研究と人材育成を継続し、学術成果の創出と社会実装を同時に推進する。
工作機械は、高精度かつ高効率に製品を製造することで、人々の日常生活と社会を支えている重要性の高いものだが、DMG森精機は工程集約、自動化によりGXを実現した上で、DXを通じて生産工程を改善する仕組みとして、MX(マシニング・トランスフォーメーション)を推進しており、現在世界中で稼働する約500万台の工作機械を、最先端の工程集約機に置き換えることによって2050年までに100万台程度に集約できるとしている。その実現にはMXを支える継続的な技術革新が不可欠と考えており、こうした産業界の要請に対し、東京大学は基本方針「UTokyo Compass」を掲げ、多様な対話を通じて社会課題を解決する知の開拓を進めている。持続可能な社会の実現に向けたGX(グリーン・トランスフォーメーション)や、デジタル技術による変革にも力を注いでおり、企業の寄付を活用した「エンダウメント型研究組織」の設置など、財務基盤と研究体制の双方を強化してきた。
藤井総長は会見で次世代の研究者が独立し、自由な発想で個性的な研究に取り組める環境の整備について言及、そのための基盤として、大学が自らの裁量で長期的かつ安定的に活用できる基金「エンダウメント」の拡充に注力している現状を説明した。
また、日本の製造業が直面する国際競争力の低下や環境負荷増大等の課題にも触れ、「製造業における技術革新は、単なる生産性向上や効率化にとどまらず、業界が抱える多様な課題の解決が求められている」と述べ、新設されるMXセンターは「技術革新を牽引する拠点になる。学内外の多様な機関と連携し、学術的知見の創出と社会実装を一体的に進めていく。先端的なマシニング技術を駆使し、〝製造業の革新〟を実現することで、製造現場の課題解決、ひいては持続可能な未来社会の構築に貢献していく」として期待を込めた。
森社長は会見のなかで、「現在、我々のエンジニアが修理をしている工作機械は製造されてから25年から30年が経過している一方、現在納品している工作機械も今後25年から30年は確実に稼働し続ける。こうしてみると50年という長い時間軸で稼働している」としたうえで、「MXセンターでは、3〜5年という企業単独の開発サイクルでは難しい〝5年から20年先に使える技術〟を、東京大学とともにじっくり腰を落ち着けて開発していきたい」との思いを述べた。さらにAI研究との連携についても、「制御が複雑かつ精密になるほど、制御される対象にも極めて高い精密さが求められるため、進化し続けるAIの複雑な制御に応える工作機械の構築には一企業で制御しきれないほど膨大な変数が存在する。世界有数のAI研究を行う東京大学との共創により、技術的障壁を突破していきたい」とした。
また、10億円の寄付の背景について、「売り上げが5,000億円規模の企業でも、機を捉えてコミットメントすることで、10年、20年先の研究基盤を担保できる。MXセンターにて優れた研究成果と人材を輩出することで、未来への投資が可能であるという前向きな事例を示したい」と、次世代へ向け、決意を示した。
「産学協創」が本格化 その狙いとは
MXセンターでは学術知を社会に還元する「産学協創」の枠組みを深化させる中で、次世代の製造業を牽引する革新的な技術開発と、高度な専門人材の育成を目指す。
MXセンターは、MXの考え方を基盤に、工作機械の価値を将来にわたり高める研究を行い、技術革新を生み出す拠点となる。工作機械および加工プロセスを核に、機械工学を中心として精密工学、材料工学、制御工学、数理科学、データサイエンス等を横断する研究体制により、学術成果の創出と社会実装を一体で進める。東京大学内の複数の部門との連携に加え、行政・自治体を含む社内外の多様な関係者と連携し、専門知識を横断する研究活動を推進。また、産業界と連携した研究活動や、国内外の大学・研究機関等との協働も進めていく方針。
研究面では、切削・研削・積層造形(AM)等の加工プロセスを対象に、加工現象の可視化・モデル化を進めるとともに、工作機械・加工システム全体の高度化、デジタル技術を活用した設計・制御・運用の高度化に取り組む。さらに、金属加工を中心とする製造領域で得られる学術知見を、エネルギー・発電装置、航空、宇宙、医療、半導体等の成長分野にも展開し、高付加価値製品の供給や新たな産業創出に資する研究へと発展させていくことを目指す。国内外の大学・研究機関・産業界と連携し、研究成果の国際発信と社会実装を同時に進めることで、世界の製造業における標準化にも寄与し、日本の製造業の国際競争力強化に貢献していく。
人材育成では、DMG森精機と東京大学で連携し、ORT(On the Research Training)やセミナー、インターンシップ等を通じて、高度な技術専門性に加え、技術を俯瞰できる力を備えた人材の裾野を広げ、現場で活躍できる高度人材を大規模に育成することで、産業全体を支える基盤形成につなげていく。
DMG森精機と東京大学は、MXセンターを通じて、機械・材料・制御・数理・データ科学を融合した学術的知見の創出と、産学連携した社会実装を一体で推進する「学術と実装の融合」を強力に推進し、研究成果を研究室に留めることなく現場へつなげ、現場の課題を新たな学術の問いとして研究へ還流する循環をつくることで、工程集約・自動化・GXをDXで加速する次世代の製造業の実現に貢献する方針。
【東京大学・DMG森精機 MXセンターの概要】
名 称 :マシニング・トランスフォーメーション研究センター(MXセンター)
開設日 :2026年4月1日
センター長 :東京大学大学院工学系研究科 杉田 直彦 教授
所 属 :約11名
主な研究内容 :切削・研削・積層造形(AM)等の加工プロセスを対象とした加工現象の可視化・モデル化/工作機械・加工システム全体の高度化(精度向上・誤差補正・デジタルツイン等)/デジタル技術を活用した設計・制御・運用の高度化
人材育成 :ORT(On the Research Training)、セミナー、インターンシップ 等
Webサイト :http://www.mtrc.t.u-tokyo.ac.jp



