微細加工の限界に挑むMOLDINO野洲工場 金子社長に聞く

 

 

 MOLDINO(社長=金子善昭氏、本社:東京都墨田区両国)が、野洲工場(滋賀県野洲市三上)のソリューションセンター内に、2025年4月、微細加工に特化した専用加工室『美彩加工室』を新設した。最先端の微細加工機を駆使したデモ加工を通じて、“見せる技術”から“解決する技術”に注力。顧客が抱える高度化・複雑化する加工課題に対し、具体的な解決策を提示する拠点として、その存在感を強めている。

 なぜ今、微細加工なのか。高度化するニーズに加工現場は何を求めているのか。今回、金子社長をはじめ、赤松工場長、古野開発技術部長に、美彩加工室設置の狙いと背景、そして最前線の加工トレンドについて聞いた。

高度化するニーズ

MOLDINO野洲工場

 

「顧客の課題を掘り下げ最適な加工手法を導き出す研究の場」としても機能すると話す

 MOLDINOが主なターゲットとするのは金型産業。近年は金型の精密化・小型化が進展しており、顧客のニーズもそれに応じて高度化している。とりわけ燃料電池セパレータ用金型をはじめとした精密金型加工の分野では、要求水準が急激に上がっているものの、微細化、高精度、高能率の3つの要求を同時に満たす切削工具は製造の難易度が高い。その結果、市場では高性能工具のシフトの進行もあって需要は高付加価値領域に集中しているのが現状だ。

 かつては、工具メーカーも顧客の加工現場に足を運び、直接課題を把握することができた。しかし現在は、守秘義務の厳格化により、容易に現場へ立ち入ることが難しくなっている。こうしたことを背景に、金子社長は、「お客様のニーズを深く理解し、正確に捉えなければ、これまで培ってきた技術も十分に活かしきれません。開発にもつながらないのです。だからこそ、自分たちの工場の中に〝お客様の現場〟を再現する必要があったのです」と強調した。

重厚感漂う美彩加工室の入り口

 こうした思いを具体化したのが『美彩加工室』だ。名称はその名の通り、「付加価値を備え、美しく彩りを与える加工を提供したい。」という熱い思いが込められている。顧客の環境に限りなく近い条件を構築し、実際の現場で何が求められているのかを徹底的に探るのだ。単なる検証の場ではなく、課題を掘り下げ、最適な加工手法を導き出す〝研究の場〟として機能させるのが狙いだ。

 金子社長は、「従来から各種メーカーの工作機械を導入し、顧客の加工テストや試作の評価も対応してきました。恒温室による精密加工環境も整備しています。しかし、その環境で対応できていた時代はすでに過去のものとなりつつあります。技術の進歩は目覚ましい勢いで進化しており、お客様はさらに高見を目指しています。だからこそ、トップクラスの加工現場に近い環境を自ら構築し、その中で具体的な加工提案を行うと同時にその要求に応える工具開発にもつなげていく必要があったのです。」と話した。

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