マグネスケール 奈良事業所 半導体製造のキモを握るレーザスケールの新工場を稼働 ~2030年に売上高300億円を目指す~

マグネスケール奈良事業所外観

 

レーザースケールシステム

 DMG森精機(社長=森 雅彦氏)のグループ会社のマグネスケール(社長=大野 治氏)は、4月9日、高精度リニアエンコーダ「レーザスケール」の生産拠点として、奈良県大和郡山市に奈良事業所を開所した。同工場は、半導体製造における重要な要素であるレーザスケールの需要増加に伴う生産能力の増強を図るとともに事業継続計画(BCP)強化を目的としている。

 レーザスケールは、最先端の半導体製造装置に使用される高精度リニアエンコーダで、検出ヘッドには、回折格子スケールからの回折光を利用し、記録ピッチより細かい信号周期を得る「格子干渉計」の原理と、温度や気圧、湿度の変化による影響を光学的に打ち消す独自技術を組み合わせ、高分解能と高い安定性を両立した位置検出を実現している。信号処理では、干渉信号を高精度に内挿し波形補正を行うことで、内挿誤差を極小化している。

スケールは、発売当初からホログラフィックによる干渉露光法を採用しており、優れたリニアリティを持っていることが特長。

 近年、先端半導体の微細化や後工程需要の拡大を背景に、既存の伊勢原事業所との相互バックアップ体制を構築。地政学リスクや自然災害時にも供給を維持できるサプライチェーンの強化を進めてきた。新設の奈良事業所と合わせ、年間6万軸の生産能力を確保し、2030年に売上高300億円の達成を目指す。

レーザスケールのセンサ部の組立

 奈良事業所では、AGV(無人搬送車)と生産管理システムを連携させた自動搬送システムを導入。部材から仕掛品に至るまで工程間搬送を自動化し、自律走行による最適なルートでの輸送を実現することで、生産リードタイムの短縮と生産性の向上を測る。

 また、製造工程における環境負荷の低減を最重要課題に位置付け、持続可能なエネルギー対策として、2026年2月から工場屋根に大規模な太陽光発電パネルを設置し、再生可能エネルギーの供給を開始した。発電容量は約491kW、年間想定発電量は約54万kWhで、発電した電力の全量を本工場に供給する。これにより、年間約225トンのCO₂排出量の削減を見込んでいる。工場内で使用する全ての空調と照明の電力を賄い、再生可能エネルギーを活用したサステナブルな生産を実現する。

BCP強化で2拠点体制

沿革と新拠点設立の狙いについて説明をするマグネスケール 大野社長

 開所式であいさつに立ったマグネスケールの大野社長は、同社の沿革と新拠点設立の狙いについて説明した。それによると、同社は1969年、現ソニーグループの子会社、ソニーマグネスクールとして設立。1981年に神奈川県伊勢原市に初の事業所を開設後、東京証券取引所に上場したが、グループ再編に伴い上場を廃止し、2010年にDMG森精機へ事業譲渡された経緯をもつ。

 「主力製品であるレーザスケールは伊勢原事業所で生産しているが、現在はフル稼働の状態にあり、増産余地が限られている。足元では、AIデータセンター向けなどを中心に需要が急増しており、半導体市場の拡大を背景に生産能力の強化が急務だ。また、事業継続計画(BCP)の観点からも新拠点設立の大きな理由となった。特に、南海トラフ地震の発生時には富士山の噴火が懸念されており、伊勢原事業所は購買の影響を受ける可能性が高い。噴火時には短時間で火山灰が追跡し、交通網の麻痺やクリーンルームの停止といったリスクが想定される。」と述べ、こうしたリスクを踏まえ、伊勢原から離れ、自然災害が少ないとされるDMG森精機の創業の地である奈良県に新工場を建設したと説明した。


磁気式の優位性を強調 顧客対応力も強化

新拠点への期待を述べる森 DMG森グループCEO、DMG森精機社長

 続いてDMG森グループCEO、DMG森精機の森社長があいさつに立ち、計測技術の重要性と新拠点への期待を語った。

 森社長は「計測はものづくりの根幹を支える不可欠な技術である。」と強調。同社のグループ入りしたマグネスケールのルーツがソニーにあることに触れ、「戦後まもなく創業し、成長を遂げた同社の技術には、長年にわたり学ぶ点が多かった」と述べた。

 そのうえで、工作機械においては、リニアスケールとエンコーダという高精度センサーが不可欠であり、主要な供給元としてマグネスケールとドイツ製他社品を挙げた。前者が磁気式、後者が光学式である点にも触れ、「クーラントや切りくずが飛散する加工環境下では視界が遮られても検出が可能な磁気式の優位性がある。」と述べ、さらに新設された奈良事業所が生産した製品の多くを海外へ出荷することを見込んでいる理由から、「奈良県は国際的な観光地である。世界各国からのお客様が来訪しやすく、週末に観光を楽しんだ後、週明けに商談を行うといった活用も期待できる。」と地の利を示した。


 来賓を代表して、山下 誠 奈良県知事、武田家明 近畿経済産業局 局長が祝辞を述べた。高市早苗内閣総理大臣からの祝辞が披露されたあと鏡開きが開かれ、参加者に新工場の魅力や最先端の機能を紹介した。

鏡開きの様子


■株式会社マグネスケール 奈良事業所 概要
住所 : 奈良県大和郡山市上三橋町355-1
開所日 : 2026年4月
敷地面積 : 13,220㎡(3,999坪)
延床面積 : 17,622 ㎡ (5,331 坪)
投資額 : 約117億円
建物 : 地上3階、地下1階

 

 

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