「地政学リスク警戒も需要に期待」日本工作機械販売協会が通常総会を開く
日本工作機械販売協会(会長=髙田研至 井高社長)が6月3日、第一ホテル東京(東京都港区新橋)で通常総会とともに記念講演会と懇親会が開かれた。
総会は滞りなく終了し、記念講演では、青木豊彦氏(アオキ会長、東大阪市モノづくり親善大使)を講師に迎え、「中小企業モノづくりの活性化 ~あつい心意気こそ人をうごかす~」をテーマに講演を行った。
懇親会であいさつした髙田会長は、地政学リスクや資源問題など製造業を取り巻く不確実性が高まっているとの認識を示し、「中東情勢やホルムズ海峡封鎖リスク、レアメタル問題など、業界を取り巻く環境は厳しい状況にある。」としたうえで、「こうした状況を正しく把握し、理解したうえで何をすべきかを考えることが重要だ。」と述べた。
また、国内においても円安の進行や人手不足、物価高騰など製造業にとっての不安要素があるとしながらも、「日本の製造業は大きな転換期を迎えている。」と前向きな見方を示した。
日本工作機械工業会の1~4月の受注実績については、総額6748億円、うち内需1669億円、外需5052億円となっていることに触れ、「このペースで推移すれば年間受注額は2兆円規模に達する可能性がある。」と分析。内需についても年間5000億円超が見込まれるとの見通しを示し、「皆様にお願いしている5300億円の目標達成に向け、力を合わせて取り組みたい」と呼び掛けた。
需要動向については、「航空宇宙、造船、防衛、エネルギーなどの重厚長大産業が引き続き堅調に推移しているほか、半導体製造装置やデータセンタ向け設備投資も底堅い。」と説明。さらに、自動車分野でも引き合いが増加しているとし、「後半には自動車関連需要の回復も期待できる。2026年は全体として大いに期待できる年になるのではないか。」と述べ、今後の市場拡大に期待感を示した。
来賓を代表して経済産業省製造産業局の須賀千鶴産業機械課長があいさつし、その中でエネルギーや原材料の安定供給に向けた政府の取り組みについて説明した。
須賀課長は、「エネルギーや原材料の安定供給の確保は、国民生活と経済活動の双方にとって最重要課題だ。」と強調。政府では関係閣僚会議を定期的に開催し、全国から寄せられる供給状況に関する情報を集約しながら、必要な対策を講じていると述べた。
また、「サプライチェーンは長く複雑であるため、流通過程で供給の偏りや一部製品の調達難、物流の目詰まりなどが発生するケースも確認されている。」と話し、経済産業省では情報提供窓口を常時設置し、個別事案を確認しながら供給網の円滑化に取り組んでいることを説明した。
その上で、「官民が緊密に連携しながら課題解決に取り組むことが重要だ。経済産業省としても全力で対応していく。」と述べ、業界関係者に協力を呼び掛けた。
続いて日本工作機械工業会の坂元繁友会長があいさつをした。その中で、坂元会長は、工作機械市場の好調な推移と設備投資環境の改善について言及。また、「足元の工作機械受注は大変好調に推移している」と述べ、3月の受注額が単月ベースで1935億円、4月も過去2番目となる1890億円を記録したことを報告した。
受注動向については、外需が7カ月連続で1000億円を超えたほか、内需も前年同月比で4カ月連続の増加となるなど、「国内外ともに堅調な推移が続いている。」と説明した。
また、「国内市場では老朽化した工作機械の更新を後押しする環境整備が進んでいる。」とし、特定生産性向上設備等投資促進税制の創設に加え、工程集約型加工機や高効率モータ搭載機が省エネ補助金の対象に追加されるなど、設備投資を促進する施策が相次いでいることを評価した。
その上で、「この好機を逃すことなく、ユーザーの皆様の生産設備改善に向けて一層努力していきたい」と述べ、業界のさらなる発展に向けた意欲を示した。
乾杯の発声を日本工作機械輸入協会の金子一彦会長(三宝精機工業社長)が行い、参会者は親睦を深めた。



