工作機械受注2兆円時代へ! 日本工作機械工業会が総会を開く 

上方修正を発表した坂元会長

 日本工作機械工業会(会長=坂元繁友 芝浦機械社長)が、6月5日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町)で第17 回定時総会を開いた。総会終了後、あいさつに立った坂元会長は、今年度の見通を1兆7000億円から2兆円に大幅上方修正を発表し、予想を上回る見通しが示されると、会場からは驚きと期待が入り交じった空気が広がった。

 坂元会長は、工作機械産業を取り巻く環境について、「中東情勢をはじめとする地政学リスクの顕在化や国際社会の分断、通商環境の複雑化、世界的なインフレなどにより、政治・経済・社会の各側面で不安定な状況が続いている。」との認識を示した。

 また、米国の関税政策に関して、通商拡大法232条による鉄鋼・アルミニウムへの追加関税や、通商法301条調査への対応について触れ、「日本の工作機械産業としての意見や、米国製造業への貢献度、必要性についてパブリックコメントにてそれぞれ回答した。」と説明した。また、中東情勢の緊迫化に伴うホルムズ海峡封鎖の影響についても言及し、「石油由来製品の供給に不透明感があるなか、政府当局とも状況を共有し、生産体制の維持に努めていく。」と述べた。

 一方で、好調に推移している工作機械受注について、「本年4月までの累計受注額は6748億円となり、高水準を維持している。その背景は、データセンタ、ロボット、航空・宇宙分野などの成長産業向け投資が牽引している。」と述べた。また、国内市場では、「自動車産業におけるICE(内燃機関)関連投資が顕在化しつつあるほか、省エネ補助金や特定生産性向上設備等投資促進税制などの後押しを受け、老朽設備の更新需要が本格化する。」との見方を示した。

 さらに、「世界の製造業では、生産工程の省人化やAI活用によるDXを核としたイノベーションが加速している。人材不足や人件費高騰、熟練技能者の減少といった課題への対応を目的とした設備投資が拡大している。日本の工作機械産業は今後も高付加価値な製品・技術を開発し、世界のユーザーへ提供していく。」と強調。輸出管理や経済安全保障への対応、人材育成の重要性についても言及した。

 今後の取り組みとしては、「工作機械産業ビジョン2030」に基づき、デジタル・グリーン・レジリエンスを柱とした活動を推進し、国際競争力の強化を図る考えを示した。また、10月26日から31日まで開催する「JIMTOF2026」では、世界最先端の工作機械技術や製品を披露するほか、国際技術者会議や学生向けセミナーなども実施するとした。

 その後、坂元会長は2026年の工作機械受注見通しについて、「年初時点では1兆7000億円としていたが、4月までの受注実績や5月の動向、市場調査委員会の分析結果などを踏まえ、上方修正したい。」と述べ、受注見通しを2兆円へ引き上げると発表した。

積極的な挑戦に期待

積極的な挑戦に期待を寄せる経産省 伊吹製造産業局長

 続いて来賓を代表し、経済産業省の伊吹英明製造産業局長があいさつした。伊吹製造産業局長は、製造業を取り巻く環境について、「米中対立や各国の輸出管理強化などにより、依然として厳しい状況が続いている」との認識を示した一方で、今後も深刻化が見込まれる人手不足への対応を重要課題に挙げ、「省人化は大きなテーマだ。デジタル技術やAIをいかに製品やサービスへ取り込んでいくかが極めて重要になる。」と強調した。

 また、脱炭素化についても、「一時的に関心が後退しているように見えるかもしれないが、政府としては引き続き重要な政策課題と位置付けている。」と説明。「現在検討が進められている産業政策においても、エネルギーとDXは重要テーマとして掲げられている。政策面からも引き続き支援を強化していきたい。」と述べた。

 さらに、今年開催されるJIMTOF2026に触れ、「日本の工作機械業界が持つ高い技術力やサービス力を世界へ発信する絶好の機会だ。」と期待を寄せた。そのうえで、「ロボットとの連携や自動化技術など、日本のモノづくりが持つ強みを積極的にアピールし、新たなビジネス機会の創出につなげてほしい。」と呼びかけた。

 一方、中東情勢の緊迫化への対応については、「エネルギーやナフサ由来の石油化学製品について、全体として供給量は確保されている。」と説明。そのうえで、「一部では供給の偏りや物流の目詰まりも見られるため、原因をしっかりと把握し、安定供給の確保に万全を期していく。」と述べ、世界市場を見据えた積極的な挑戦に期待を寄せた。

 

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