2026年6月分工作機械受注総額は2033.8億円
日本工作機械工業会(会長=坂元繁友 芝浦機械社長)がこのほどまとめた2026年6月分の受注実績は以下の通り。
2026年6月分工作機械受注総額は、2033.8億円(前月比+14.9%、前年同期比+52.7%)となった。
昨年後半から増加基調が鮮明となっていた外需は、一段と勢いを強めたことに加え、内需でも回復感が高まったことから、工作機械受注総額は2,000億円の大台を初めて突破。歴代最高額だった今年3月の1,934億7,000万円を約100億円上回る過去最高を更新した。
受注総額は4カ月連続で1,700億円を超え、前年同月比の伸び率も6カ月連続で20%以上を記録した。特にアジア市場の好調ぶりが際立つ一方、国内需要やその他の海外市場でも高い受注水準を維持しており、世界的に設備投資の拡大が継続していることが窺えた。このため、同工業会では、工作機械受注は全体として緩やかな回復局面から拡大局面へ移行したとの見方を示した。
先行きは、内需では政策的支援効果、外需では、AI・ロボット関連需要の活況が国際情勢による不透明感を払拭し、さらなる設備需要の伸長が見込まれる。一方、インフレ懸念が設備投資に影響を及ぼす可能性に留意が必要。
受注額の月別推移

(出所:日本工作機械工業会)
6月分内需580.2億円(前月比+28.0% 前年同月比+45.5%)
内需は前月比で3カ月ぶりに増加し、前年同月比で6カ月連続増加(+45.5%)の580.2億円となり、好調な回復傾向が続いている。主な需要業種も、期末効果を踏まえても前年より高い水準で推移している。今後の見通しとして政策措置による強い回復の持続に期待したい。
半導体関連需要が目立って増加しているほか、データセンタ関連の需要も力強く39カ月ぶりに200億円を超えた一般機械や、51カ月ぶりに90億円を超えた電気機械等、それぞれ押し上げた。発電や空圧機器に関しても活発な商談が窺える。また、自動車はモデルチェンジや人気機種の増産対応や老朽化が進んだ生産設備の更新需要が見られ、大型案件の押し上げもあって、87カ月ぶり、7年3カ月ぶりに150億円を上回った。
・⼀般機械は、需要が⼀進⼀退で推移も、直近2年よりも高い水準で推移。
・産業機械は48カ月ぶりに200億円を超え、そのうち建設機械は2カ月ぶりの10億円超えと、海外向け需要の影響から引き続き堅調に推移。
・⾦型は、前月比、前年比ともに減少も半導体製造装置関連では積極的な投資が継続している。
・⾃動⾞向けは、前月比で2カ月ぶり、前年比は3カ月連続増加し、87カ月ぶり(2019年3月期ぶり)に150億円を超え、今後持続するか期待。
・自動車部品、完成車ともに前年同月比の伸びが大きく、特に完成車が65億円を超えたのは92カ月ぶり(2018年10月期ぶり)と高水準。
・一部で大きな受注があり、高いレベルとなった。

(出所:日本工作機械工業会)
6月分外需 1453.6億円(前月比+10.4% 前年同月比+55.8%)

(出所:日本工作機械工業会)
外需は前年比では21カ月連続の増加、歴代最高額であった2026年3月の受注額(1,430億円)を更新し、過去最高額の1453.6億円(前月比+10.4% 前月比+55.8%)となった。国際情勢が不透明ななか、欧米の投資喚起政策の効果と、アジアでの投資が持続し、高い水準が続いている。
主な地域別にみると、引き続き航空宇宙分野で大型案件があった北米(406.5億円)、欧州(193.6億円)は200億円を2カ月連続で下回ったものの、5月に減少した分をある程度取り戻した。中国は4カ月連続で500億円を越えるとともに、歴代最高額を更新した。
・⼀般機械は、前月比、前年同月比ともに6カ月連続増加、3カ月連続の400億円超え。
・⾃動⾞は、前⽉⽐で3カ月ぶりの増加、前年同⽉⽐では17カ⽉連続増加し、4カ⽉連続250億円超え。
・電気・精密は、前月比で3カ月ぶり増加、前年同月比では8カ月連続増加で、3カ月連続の高い水準で推移。
・航空・造船・輸送⽤機械は、前月比2カ月ぶり増加、前年同月比では4カ月連続増加で、3カ月連続の100億円超えと高い水準で推移。
① アジア
アジア計は、4カ月連続750億円超え、800億円超えは初めて
・東アジアは、8カ⽉連続400億円超え、初めて630億円を超えた(2026年4月期の605億円を更新)。
・中国は、8カ⽉連続350億円超え、550億円超えは初めて(2026年4月期の533億円を更新)。
・その他アジアは14カ⽉連続の100億円超えで、歴代2番目に高い水準。
・インドは3カ⽉ぶりに90億円を超えた。
② 欧州
欧州計は、2カ月連続の200億円割れ
・ドイツは、2カ月連続の40億円割れ
・イタリアは、4カ月ぶりの25億円超え
③ 北米
北米計は、歴代4番目の406.5億円
・アメリカは2カ月ぶりに350億円超え、歴代2番目に高い水準。
・メキシコは、2カ⽉ぶりに20億円割れ

(出所:日本工作機械工業会)
坂元会長コメント
3カ月前の前回調査の時よりも明確に今後の市場動向が展望していることが分かる。足元の工作機械需要はアジアや北米が主導し、内需もこれに追随して大きな高まりを見せている。以前は自動車産業が牽引役だったが、現段階では、新車の開発方針の見直しを受けて、中国やインド等の一部の国々を除き、まだ力強さが不十分な状況。代わりにAI関連やエネルギー、航空、宇宙といった分野が受注額を強力に押し上げているのが大きな特長となっている。特にAI関連需要は新たな社会インフラを整備する側面を持ち、サイバーセキュリティの観点から、各国、各地域、整備が進み、厚みのある需要が見込まれており、発電や半導体製造装置での需要喚起にも繋がっている。
航空、宇宙は開発の遅れもあって多くの関連企業が中長期的な設備投資計画をたてており、造船も含めて政策支援が追い風になっているとみている。また、業種を超えた全体的なな傾向では、自動化、高効率化、環境対応の需要は世界的に根強く、日本国内や北米においては、長らく設備投資を抑制してきたユーザーを中心に老朽機更新の必要性が高まっている。
7月から8月は夏季休暇の時期であり、中東情勢の推移等によっては一時的に設備投資が抑制される可能性もあるが、大きな落ち込みには至らず、秋口以降、再び力強さを発揮するものと期待している。


