三菱マテリアル、独H.C. Starckに約5,000万ユーロ投資 タングステンリサイクル能力を増強
三菱マテリアルは、連結子会社であるH.C. Starck Tungsten GmbH(本社=ドイツ・ゴスラー市)において、タングステンリサイクル能力の増強を目的に約5,000万ユーロを投資すると発表した。主力拠点であるゴスラー工場のタングステンスクラップ処理能力を、現在の年間約5,000トンから約7,000トンへ拡大する。新設備は2026年内に着工し、2028年中の完成を予定している。
H.C. Starck は、三菱マテリアルが2024年に連結子会社化したH.C. Starck Holding GmbHの中核事業会社で、100年以上の歴史を持つ世界有数のタングステンメーカー。タングステン粉やタングステンカーバイド粉などの高品質粉末を欧州、北米、中国で製造・販売するほか、日本にも販売網を持つ。また、世界最大級のタングステンリサイクル能力を有し、使用済み超硬工具などから回収したタングステンスクラップを原料として、中間原料や粉末製品の製造・販売までを一貫して手掛けている。
タングステンは超硬工具をはじめ幅広い産業で使用される重要鉱物である一方、鉱石資源の偏在や地政学リスクの高まりを背景に、安定供給の重要性が一段と高まっている。H.C. Starckでは、ゴスラー工場で使用するタングステン原料の約80%をリサイクル由来原料で賄っている。
今回の投資により、同工場のタングステンスクラップ処理能力を約7,000トンまで引き上げるとともに、欧州におけるタングステン資源循環基盤を強化する。設備完成後は、工場で使用するタングステン原料のほぼ全量をリサイクル原料で賄える見込みで、一次原料への依存度低減と安定供給体制の強化につなげる。
三菱マテリアルグループは、中期経営戦略(2026~2028年度)の基本方針として「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」を掲げている。タングステン事業では、2030年度までに欧州、米州、アジア、日本のタングステン製品製造拠点におけるリサイクル原料使用比率100%の実現を目標としており、今回の投資はその中核を担う取り組みとなる。
H.C. Starck TungstenのHady Seyeda CEOは、「今回の決定は、ゴスラー工場だけでなく、当社全体にとっても大きな節目となるものだ。工場内で使用するタングステン原料のほぼ全量をリサイクル原料で賄えるようになることは、未来に向けた大きな一歩となる。これにより、一次原料の供給環境がますます厳しくなる中でも、その影響を大幅に受けにくくなるとともに、ドイツおよび欧州において、重要鉱物の真の循環型社会を構築することに大きく貢献できると考えている」とコメントしている。


