2026年7月分工作機械受注総額は1930.9億円 

 日本工作機械工業会(会長=坂元繁友 芝浦機械社長)がこのほどまとめた2026年7月分の受注実績は以下の通り。

 2026年7月分工作機械受注総額は、1930.9億円(前月比△5.1%、前年同期比+50.4%)となった。受注総額は5カ月連続で1,700億円を超え、歴代では本年6月(2,034億円)、同3月(1,935億円)に次ぐ歴代3位に当たる。暦年上期末で2,000億円を超える受注があった前月(6月)比で▲5.1%(2カ月ぶり減少)となったものの、前年比(+50.4%)では13カ月連続で増加し、内外需とも50%を超える高い伸び率となった。

 先月開催した記者会見にて、坂元繁友会長は「受注は回復局面から拡大局面に入ったとみている。」との見解を表明した。例年受注が一旦落ち着く夏場において、年度末効果で高まった3月実績に比肩する受注額となったことで、改めて今局面における設備需要の拡大傾向が鮮明になったと感じられる。

 先⾏きは、内需では政策的⽀援効果、外需では、AI・ロボット関連需要の活況が国際情勢による不透明感を払拭し、更なる設備需要の伸⻑が⾒込まれる⼀⽅、インフレ懸念が設備投資に影響を及ぼす可能性にも留意が必要。

 
受注額の月別推移 


(出所:日本工作機械工業会)

7月分内需532.4億円(前月比△8.2% 前年同月比+50.2%)

 このうち内需は前月比で2カ月ぶり減少(△8.2%)、前年比で7カ月連続増加(+50.2%)の532億3700万円となった。外需と比較して立ち遅れ気味だった内需だが、3月以降は450億円を上回る水準で推移し、前年比の増加率も4カ月連続で35%を超えるなど、このところ回復の勢いが増している。

 業種別に見ると、「一般機械」(231億円)は前月比で微減、「電気・精密」(82億円)は同△15.5%となったが、上期末明けの季節要因の影響が大きく、引き続き、データセンタや半導体製造装置、発電関連ユーザ等、随所に積極的な投資姿勢が窺える。「自動車」(93億円)も、6月に見られた複数の大型受注が剥落し、前月比で△39.3%と減少したが、前年比は+15.3%と4カ月連続で増加し、同じく4カ月連続で90億円を超えた。

 ・⼀般機械は、2カ⽉連続230億円⽔準で推移し、年平均が2023年平均と同⽔準と回復傾向。
 ・建設機械は2カ⽉ぶりに10億円を割れたものの、産業機械は2カ連続で200億円を超え、堅調に推移。
 ・⾦型は、前⽉⽐、前年⽐ともに減少し、18カ⽉ぶりに10億円割れとなるも、今後に期待。
 ・⾃動⾞向けは、前⽉の伸びが⼤きかった反動からか、前⽉⽐で⼤きく減少も、90億円を超えており堅調に推移している。直近の年平均で⾒ると、コロナ明けのペントアップ需要がみられた22年平均に次ぐ⾼い⽔準と⾔える。
 ・完成⾞向けは、前⽉⽐と前年⽐ともに減少しているが、特に前⽉⽐の⼤幅減からみて、スポット受注の剥落によるものと考えている。

 

(出所:日本工作機械工業会)

 

7月分外需 1398.5億円(前月比△3.8% 前年同月比+50.5%)


(出所:日本工作機械工業会)

 外需は、前月比で2カ月ぶり減少(▲3.8%)、前年比で+50.5%(22カ月連続増加)の1,398億5300万円となった。外需は昨年12月以降の各月が歴代1~8位を占めており、受注総額と同じく歴代3位に相当する。

 主な地域別にみると、北米は前月比微減も2カ月連続で400億円を超えた(404億円)。IMTS(9月中旬、米国・シカゴ)での活発な商談を見据えた商社や現地法人による活発なストック投資から、「商社・代理店」(76億円)が4カ月ぶりに75億円を上回った他、「一般機械」(94億円)、「航空・造船・輸送用機械」(88億円)も前月比でマイナスながら引き続き高めの受注水準を保っている。

 欧州は3カ月ぶりに200億円を上回った(231億円)。ドイツ(47億円)は政策手続の遅れが設備投資抑制の一因となっていたが、改善方針が示されたことで3カ月ぶりに40億円を上回った他、イタリア等その他の国・地域の多くも前月比で増加した。業種別では「一般機械」(71億円)が前月比・前年比ともに大きく増加し、34カ月ぶりに70億円を超えたのが目を惹く。

 アジアは、過去最高額(814億円)を記録した前月(6月)比で▲8.3%となったが、3~5月実績とほぼ同額の750億円となる等、引き続き力強さに揺るぎは見られない。中国(486億円)は5カ月ぶりに500億円を下回ったが、昨年1年間平均受注額(325億円)を依然大きく超えている。また、半導体関連の大型受注により8年7カ月ぶりに50億円に達した韓国(50億円)をはじめ、台湾、インド等でも勢いが感じられる。

 ・⼀般機械は、前⽉⽐で微減も、前年⽐は7カ⽉連続増加、4カ⽉連続の400億円超え。
 ・⾃動⾞は、前⽉⽐で2カ⽉連続増加、前年⽐では18カ⽉連続増加し、5カ⽉連続250億円超え。
 ・電気・精密は、前⽉⽐2カ⽉ぶり減少も、前年⽐では9カ⽉連続増加し、5カ⽉連続200億円超え。
 ・航空機・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐2カ⽉ぶり減少、前年⽐5カ⽉連続増加で、4カ⽉連続の100億円超えといずれも⾼い⽔準で推移。

①    アジア
アジア計は、5カ月連続700億円超え
 ・東アジアは、9カ⽉連続400億円超え、550億円超えは5カ⽉連続。
 ・中国は、5カ⽉ぶりの500億円割れも9カ⽉連続350億円超えと⾼い⽔準で推移。
 ・その他アジアは15カ⽉連続の100億円超え、統計開始後3番⽬に⾼い受注額。
 ・インドは2カ⽉ぶりに90億円割れ。
②    欧州
欧州計は、3カ月ぶりの200億円超え
 ・ドイツは、3カ月連続の40億円超え、45億円超えは32カ月(2023年11月期)ぶり
 ・イタリアは、2カ月ぶりの30億円超え。
③    北米
北米計は、歴代4番目の406.5億円
 ・アメリカは2カ月連続の350億円超え、統計開始後2番目に高い水準。
 ・メキシコは、2カ⽉連続20億円割れ

 



(出所:日本工作機械工業会)

今後の見通し

 設備投資の周辺環境を見渡すと、恒常的に自動化・高効率化、環境対応に関する需要が見られ、長らく設備投資を控えてきたユーザを中心に老朽機更新の必要性が高まっている。その上で、技術革新に対応するための投資、様々な動機から生産拠点を見直す動きが強力なドライバとなり、設備投資の大きな流れを生み出しつつある。

 全体的に見て、データセンタや半導体製造装置に関する需要拡大が、多くの地域で見込まれている。その上で、更に地域別に見ると、北米は、米国の即時償却恒久化措置や国内での製造業誘致、利下げ効果が相まって、ジョブショップ、エネルギ、建設機械、自動車、航空・宇宙関連等、幅広い分野で需要喚起が継続すると見られる。

 アジアは、中国で引き続き、輸出向け自動車、通信機器、発電、ロボット等での需要が高原状態で推移すると見られる他、インドについても四輪車・二輪車、農業機械といった伝統的な需要分野に加え、航空機産業の成長の可能性にも注目が集まりつつある。加えて、韓国、台湾、東南アジア地域も半導体産業を中心に大型案件の出現が期待される。我が国では政策支援効果や、航空機・造船等でのプロジェクト投資、その他幅広い分野での老朽機更新の動きに繋がると期待される。

 8月は各国で夏季休暇による稼働日数が少ないため、一時的に受注額は落ち着くと思われるが、これまでの商談の状況などから9月以降、再び受注は高まると思われる。日本国内において2024(R7)年度補正省エネ補助金の採択効果が受注の追い風となる可能性もある。また、IMTS及びAMB(9月中旬、ドイツ・シュツットガルト)並びにJIMTOF(10月下旬、東京)に向けて、会員や需要者の期待も膨らみつつある。

 一方で、国際情勢を受けた調達事情の悪化やインフレが設備投資に影響を及ぼす可能性、部品・部材の入荷遅れが納期に影響する可能性など懸念材料もあり、受注残も含め、今後も業界を取巻く諸状況の推移に留意していきたい。
 

MOLDINO