三菱マテリアル、日本新金属のタングステンリサイクル能力を増強 ~約80億円を投資、APT生産能力を年間2400トンへ倍増~

三菱マテリアルは、連結子会社の日本新金属において、重要鉱物であるタングステンの国内資源循環と安定供給基盤の強化に向け、秋田工場の湿式精錬設備などを増強すると発表した。投資額は約80億円を見込む。
設備導入は2026年度から順次開始し、2029年4月の操業開始を予定している。
今回の投資により、タングステンスクラップからパラタングステン酸アンモニウム(APT)を製造する能力を拡充。秋田工場のAPT生産能力を、現在の約2倍となる年間2400トン(WO₃換算)へ引き上げる。
日本新金属は、国内で唯一、タングステン精鉱からAPT、酸化タングステン、タングステン粉末、タングステンカーバイド粉末までを一貫生産できるメーカー。秋田工場では、回収したタングステンスクラップや中間原料を活用し、超硬工具をはじめ、半導体・電子材料、二次電池関連材料、医療用製品など、幅広い産業向けにタングステン製品を供給している。
タングステンは、日本国内で使用する原料の多くを輸入に依存しており、特定国への依存や輸出管理の強化などを背景に、安定調達を巡る不確実性が高まっている。一方、国内で発生するタングステンスクラップの活用には、既存のリサイクル設備や湿式精錬設備の処理能力が制約となっていた。
今回の能力増強では、タングステンスクラップからAPTまでの内製能力を高め、年間約1200トン(WO₃換算)の輸入中間原料を、国内リサイクル由来の原料に置き換えることを目指す。輸入依存の低減と国内サプライチェーンの強靱化を同時に進める、注目度の高い大型投資となる。
なお、本事業は経済安全保障推進法に基づき、重要鉱物の安定供給確保に資する「供給確保計画」として経済産業省の認定を受けている。
三菱マテリアルグループは、中期経営戦略(2026~2028年度)で「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」を基本方針に掲げ、2030年度までにタングステン製品製造拠点におけるリサイクル比率100%を目指している。今後も日本新金属やH.C. Starckをはじめとするグループ各社の技術・事業基盤を生かし、国内外でタングステンリサイクルを推進していく。


