『JIMTOF2026』 ~会場面積21.7%減の制約を乗り越え、1134社、世界22カ国・地域から4422小間~

 

 

日工会 柚原専務理事

 日本工作機械工業会(以下日工会)と東京ビッグサイトは9月28日、「JIMTOF2026(第33回日本国際工作機械見本市)」の第2回記者発表会を開き、出展状況や会場構成、企画展示、講演・セミナー、学生応援プログラムなどの概要を発表した。

 JIMTOF2026は10月26日から31日までの6日間、東京ビッグサイトで開催される。大規模改修工事によって展示場面積が前回比21.7%減少するなか、世界22カ国・地域から1134社、4422小間が出展する。目標来場者数は13万人。限られた会場に世界の先端技術を凝縮し、工作機械と製造業の未来を発信する。

 開会あいさつで、日工会の柚原一夫専務理事は、「JIMTOFが1962年の初開催以来、機械産業の新技術を発表する舞台として、国際的な機械ビジネスの創出に貢献しながら成長してきた」と説明した。

 今回は東京ビッグサイトの改修工事により、展示スペースに大きな制約が生じた。柚原専務理事は「物理的な制約を乗り越えながら、最新鋭の工作機械と最先端技術が集結する世界最大級の国際技術ショーとして、展示の充実を目指す」と意気込みを示した。

 また、日工会会員46社が世界初披露となる製品を出展する予定であることにも言及した。新製品や新技術だけでなく、既存製品のアップグレードや、製造プロセス全体の最適化に寄与するソリューションを展開することで、世界の製造業が抱える課題の解決につながることへ期待を寄せた。

 今回のテーマは「果てなき高度へ 羽ばたく技術」。折り鶴をはじめとする折り紙の鳥に、JIMTOFへ集結する高度な技術がさらなる高みへ羽ばたき、製造業の可能性を未来へ広げていくとの思いを込めた。

技術者から学生まで、幅広い来場者へ

東京ビッグサイト岩瀬常務

 東京ビッグサイトの岩瀬和春代表取締役常務は、開催まで残り約1カ月となったJIMTOF2026について、「幅広い層に興味を持っていただけるきっかけや、ものづくり業界の発展の一助となるプログラムを用意している」と述べた。

 

 製造業の最新技術に関する講演に加え、チームマネジメントや経営戦略、若年層にものづくりの魅力を伝えるプログラムなどを充実させる。また、YouTubeチャンネル「JIMTOF INSIGHTS」による会期前から会期後までの情報発信や、会場内の特設ブース、飲食サービスの拡充にも取り組む。

 岩瀬常務は、「技術者や経営者だけでなく、学生を含む幅広い来場者に会場へ足を運んでもらい、JIMTOFを通じてものづくりの魅力と可能性を広く発信していきたい」との考えを示した。

 

出展者数の減少を約10%に抑える
東京ビッグサイト 菊池事業推進部長

 続いて、東京ビッグサイトの菊池事業推進部長が、出展状況と会場構成を説明し、「展示場面積が21.7%減少した影響で、出展小間数も同程度減少した。一方、持続可能なJIMTOFの開催に向けて出展者数の確保に努め、減少幅を約10%に抑えた」と話した。

 説明によると、団体出展や共同出展者などを除く主出展者は940社。このうち国内出展者は717社、3963小間、海外出展者は223社、459小間となった。

 改修工事に伴い、展示分野の配置も変更する。工作機械は、従来の東1~3ホールに加え、東7ホールと南1、2ホールにも配置する。南4ホールには、企画展示や学生応援プログラム、講演・セミナー、IMECポスターセッション、AM関連展示など、多彩なコンテンツを集める。

 会場内を巡回する無料バスやジャンボタクシーも運行し、分散した展示エリア間の移動を支える。

AI・ロボティクスから学生施策まで展開

日工会 秋山国際部 部長

 日工会の秋山国際部部長は、会期中に実施する主要行事について説明した。

 今回は、自動車産業の変革を取り上げる講演・セミナーをはじめ、日本成長戦略の重点分野に位置づけられたAI・ロボティクスに焦点を当てた企画展示、積層造形技術を紹介するAM関連企画、学生応援プログラムなどを展開する。

 さらに、国内外の工作機械関連研究者や技術者が参加する「IMEC2026(第21回国際工作機械技術者会議)」を開催する。「新たな四半世紀に向けた工作機械産業の挑戦」を総合テーマに、講演形式のオーラルセッションと、大学や研究機関などによるポスターセッションを実施する。

 企画展示の一つが、東展示棟ガレリアで展開する「“あらゆる現場で働くロボットの未来図”日の丸ロボティクスの進化を支える工作機械」だ。

 今回は、川崎重工業の協力を得て、同社が開発する人型ロボット「Kaleido(カレイド)」を展示する。ヒューマノイドの進化にどのような機械加工が必要なのか、量産化と低コスト化の壁を工作機械技術がどう打ち破るのかを示す。

 AIという“頭脳”が進化しても、それを支える関節や駆動部品などのハードウェアがなければ、ロボットは動かない。秋山国際部部長は、「日本が強みを持つのはハードウェアである」と指摘。工作機械メーカーと部品メーカーの双方に、新たな発想をもたらす展示を目指す考えを示した。

きさげロボットと匠が競演

見どころのひとつ!

 

 南4ホールでは、「“ものづくりNEXT STAGE”きさげロボットと匠との協業」を実施する。

 きさげは、ノミ状の工具(スクレーパー)を使って鋳物などの表面を数マイクロメートル単位で削り、工作機械の精度を支える熟練技能である。企画では、協働ロボットがスクレーパーを持って下地加工を施し、その後を匠が引き継いで加工面を仕上げる。

 日工会会員メーカー7社の匠が日替わりで登場するほか、来場者を対象としたきさげ体験教室も開く。人手不足や技能継承が深刻化するなか、ロボットにすべてを置き換えるのではなく、人と機械が互いの強みを生かす。製造現場の未来を、実演によって問いかける企画となる。

 同じく南4ホールには、積層造形技術を紹介する「Additive Manufacturing ZONE(AM ZONE)」を設置する。複雑形状や高機能部品など、AMを活用した最先端ワークを展示し、次世代ものづくりの可能性を紹介する。

 今回は、ドイツで開催される世界最大級のAM専門展示会「Formnext」と初めて連携する。「Formnext Stage」と題した専門セミナーでは、欧州や世界におけるAM市場の最新動向、機械製造への活用、量産に向けた生産性や収益性などを取り上げる。JIMTOFを起点に、国内の加工技術と世界のAM動向をつなぐ。

自動車産業の変革などセミナーも充実させ、学生と製造業をつなぐ接点も拡充!

 

 講演・セミナーも充実させる。

 基調講演には、ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表アナリストが登壇。「変化する世界自動車産業の構図―日本OEMと関連産業へのインプリケーション」をテーマに、SDV化やAIの進化、中国勢の台頭を踏まえ、日本メーカーの勝ち筋と工作機械を含む関連産業への影響を論じる。

 特別講演では、前Honda Aircraft Company社長兼CEOの藤野道格氏が「ホンダジェットの開発と事業化への道」を語る。革新的な技術を組織の中から生み出し、世界市場で事業として成立させた哲学と戦略に迫る。

 このほか、野球日本代表監督の井口資仁氏によるチームビルディングとマネジメントのトークショー、航空宇宙分野で活躍する女性研究者・エンジニアによる「Women in STEM」、人気YouTuberのヨビノリたくみ氏による講演など、多彩なプログラムを予定している。

 次代を担う人材への働きかけも、今回のJIMTOFを貫く重要な柱だ。学生応援プログラムでは、ジグフライス盤を使ったバッグハンガーの工作体験や、工科高校におけるものづくり教育を紹介する。実際の機械に触れ、加工する楽しさを体感できる場を設ける。

 日工会が実施する学生ブースツアーは、受け入れ企業を19社へ拡大。旋盤、マシニングセンタ、研削盤といった機種別のコースに加え、文系職種を知るためのコースも設定。各ツアーではテーマに沿って3~4社を巡り、企業の技術や仕事を間近で学ぶ。参加学生には、ポイント還元が可能なe-GIFTの進呈も予定する。

 最終日の10月31日には、出展メーカーと学生との交流会を開催する。人事・総務担当者やエンジニアと、仕事内容や技術、働き方について直接意見を交わす機会を設ける。翌11月1日には「工作機械トップセミナー」を開き、工作機械産業で働く魅力を経営者や若手エンジニアが伝える。

動画と会場を連動、来場者サービスも充実! 技術を見せ、人を育て、未来へつなぐ

 

 来場者向けコンテンツ、YouTubeチャンネル「JIMTOF INSIGHTS」は、会期中に南4ホールへ特設ブースを設ける。動画で使用した金属3Dプリンター製の“マインクラフト風ツルハシ”などを展示し、オンラインで発信した内容を会場で実際に見られる企画だ。

 飲食面では、東展示棟屋外や西屋上展示場などにケータリングカーを配置するほか、西屋上展示場では、世界各国の米料理を集めた「ワールドライスフェア」を開催する。

 会場マップと主催者発行情報誌をまとめた「JIMTOF2026 Guide & Map」は、オンライン版も公開する。会場内各所のデジタルサイネージでは、一部ステージイベントのライブ配信も予定しており、広い会場を移動しながら最新情報を確認できる環境を整える。

 今回の展示会で披露されるのは、披露されるのは、単体の工作機械や工具だけではない。人型ロボットの量産を支える加工技術、ロボットと匠が協業する技能継承、世界とつながるAM、そして未来の製造業を担う学生との出会いまで、ものづくりの先へと広がっている。

 技術を競うだけでなく、技術を使う人を育て、次代へつなぐ。限られた会場に、これまで以上に密度の濃い技術と情熱が集結する6日間となりそうだ。
 

MOLDINO