森精機製作所 森雅彦社長 「多様性を理解できる人材に」 入社式訓示
新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。
未曾有の震災から1年が過ぎました。被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに一日も早い復興をお祈り申し上げます。
日本の工作機械業界にとって2011年は、日々更新される円高の定着、世界に飛び火する欧州金融危機、中国経済の成長の鈍化、イランの核開発、朝鮮半島の緊張など厳しい試練に見舞われた一年でした。そのような環境下、日本工作機械工業会がまとめた2011年(1月-12月)の工作機械受注実績は前年比35.5%増の1兆3261億8800万円と2年連続で増加し、3年ぶりに1兆円の大台を突破しました。2012年は、引き続き外需比率が7割前後で推移し、受注高1兆1000億円程度を見込むことから、海外市場における足場を固めることが重要です。
弊社においては、7月に完成する北米工場(カリフォルニア州デービス市)で生産拠点の拡充を図り、世界中のお客様へ最善の製品とサービスを提供してまいります。2011年度よりスタートした中期経営計画”GQ-C-SI 123(Global Quality for Customers with Speed and Innovation 123)”では、ビジョンとして「先進的なソリューションで一歩先を行く企業」を掲げ、世界に通用する品質をスピードとイノベーションをもってお客様にお届けし、生産性およびシェアを向上することで高い収益を確保し、企業価値の向上を実現することを目標としています。我々がお客様に提供する価値は、日々進化・深化しており、お客様に満足いただくためには、「機械」で3分の1、「初期性能の維持(サービス)」で3分の1、「問題解決(ソリューション)」で3分の1というバランスの取れた付加価値の提供が必要です。製品の高度化に伴って、お客様のニーズは、エンジニアリング・オペレーションの支援、教育及びより充実したサービスの提供などにシフトしています。当社はそれらのニーズに素早く対応し、世界中のお客様に頼られる存在、グローバルワンにならなければなりません。
これらの実現に向け、新入社員の皆さんにはグローバルな人材となることを目指してください。グローバルな人材とは、異なる国籍、会社に属する「異文化」「他人」を受容でき、「多様性」の存在を理解できる人のことです。自身が「異文化」環境へ置かれた場合、しっかりと自分の意見を持ち、「他人」へきちんと自分や会社の考えを説明できる能力が必要です。当社は2009年3月より独ギルデマイスター社と資本・業務提携をしたことから英語やドイツ語でのコミュニケーションだけでなく、チームワークも必要不可欠であり、当然、国によって文化も異なることから、どの国の人に見られても恥ずかしくない万国共通のTPOを心得ておくことは大前提でしょう。反対に、3つのことを禁止します。「照れない、かまさない、いばらない」、これは先代の社長から受け継いだ言葉でもあります。照れは小さな自尊心の表れであり、仕事で照れは禁物です。工作機械業界に従事する一員として、自分の芯を強く持ち、照れずに自分の意見をきちんと話してください。そして知らないことは知らないと、真面目に学ぶことを忘れないでください。学ぶということは、とても貴重な要素です。周囲の話に耳を傾け、常に謙虚な姿勢でいてください。
今日、この日の緊張感を忘れずに、共に森精機を創っていきましょう。