「INTERMOLD2012」でみた各社のイチ押し製品はコレだ!

「INTERMOLD2012/金型展2012」(主催=日本金型工業会・テレビ大阪)が4月18日(水)から21日(土)までの4日にわたりインテックス大阪で開催された。製造業界が厳しいとされる関西圏ではあったものの、前回の開催を大きく上回る内容であった。この展示会で記者が見た金型加工に貢献する各社のイチ押し製品を一挙掲載する。
(イワタツール/オーエスジー/大阪機工/ソディック/ダイジェット工業/大昭和精機/日進工具/日立ツール/牧野フライス製作所/安田工業)

HRC40~72の焼き入れ鋼を加工可能にした「トグロン®ハードロングドリル」
イワタツール

イワタツールが展示していたのは高硬度用穴開け工具「トグロン®ロングドリル」。
この製品はHRC40~72の焼き入れ鋼を加工可能にした高硬度材深穴加工用ドリルである。
世界初を誇るのは、この焼き入れ鋼に20D以上の貫通穴加工を実現していること。真円度・円筒度・面粗度が非常に優れ、H7以上の精度も可能である。
金型のイジェクタービンなどの穴加工も、下穴無しで一発加工ができる。これにより工程削減ができ、納期短縮が実現する。同社では20Dまでの規格品に加え、それ以上の深穴用ドリルも製作可能だ。


切り屑を細かく分断しさらなる安定加工へ! 「WD-2D・4D」
オーエスジー

オーエスジーのイチ押し商品は、次世代汎用超硬ドリル「WD-2D・4D」。切れ刃ホーニングを最適化し、低スラスト・安定トルクを実現している製品だ。
特長は、工具径別に2種類の刃形を採用していること。
4㎜以下のものは、工具剛性を重視した直線刃形がポイント。直線刃形・ネガの外周すくい各で小径でも工具剛性を確保しており、刃先強度と低切削抵抗を両立している。
4㎜超えが重視している点はなんといっても切れ味。新ウェーブ刃形で切れ刃ホーニング料を最適化し、ワイドな溝設計により、切り屑排出をコントロールする。
スラスト抵抗は従来品に比べ平均30%ダウンを実現している。

また加工現場では工具の長寿命を願うものだが、同社は“より長寿命に、よりEcoを”というキャッチコピーのもと、ドリルのロングランに貢献するコーティング「WDIコーティング」を採用している。複合多層構造で、クラックの伝播を抑制、優れた耐欠損性を発揮し、3300HVの高硬度皮膜で肩部及びマージン部に対する優れた耐摩耗性を実現している。また、1100℃と高い酸化開始温度も魅力のひとつ。高熱でも皮膜硬度を維持し、独自の被膜構造は切刃に切削熱を滞留させにくく、外部給油環境下においても摩擦抑制に大きく貢献する。幅広い被削材に対応することも嬉しい。
まさに部品加工・小型機械における安定性を追求した工具である。


ベストセラー機を一新! 「VM/53R」が新登場!
OKK

OKKの目玉は同社のベストセラー機「VM5Ⅲ」を一新させた「YM/53R」。
同社のVM5Ⅲといえば、1997年に開発以来、1998年にⅡ、2003年にⅢとモデルチェンジされ、現在までに3800台を超える人気機種である。今回、さらなる進化を求めて“削りのOKK”を象徴する縦形マシニングセンタとして“VM/Rシリーズ”「VM53R」を公開していた。

VM/Rシリーズの“R”とは、剛性に優れ多様なワークにも対応できる加工の本格派(REAL)マシーンを意味しており、Rigidity(剛性の高い)、Eco(環境・省エネ)、Application(適応・応用/バリエーション)、Life(超寿命)のそれぞれの頭文字をとったものだ。

操作性がアップ!
操作性がアップ!
今回、さらなる重切削を可能にするため本体を適正肉厚にし、さらに各部ダイヤゴナルリブ(角リブ構造)を適正配置し、剛性と吸振性の向上を実現している。X軸移動量:1050㎜、Y軸移動量:530㎜、Z軸移動量:510㎜と幅広いストロークを確保していることも魅力である。オプションでロングテーブル使用を準備することもでき、幅広なワークにも対応可能だ。また、カバー全面から主軸までの距離を780㎜、テーブルまでの高さを920㎜と接近性が飛躍的に良くなり、操作性がすこぶる向上した。

クラス最大級の主軸トルクも注目である。主軸トルクを最大限に活かすため、主軸軸受に大径ベアリングを採用することで高い主軸剛性を確保している。主軸冷却では、主軸発熱を抑制する十分な冷却能力のあるオイルクーラーを標準装備。電源容量を同じ主軸トルクのビルトインモータに比べ30%も低減させ、LEDも装備されており、ECOとパワーを両立させている。


シンプルな最新機能と性能「AQ400L」
ソディック

ソディックブースでは金型づくりの競争力アップを支援する最新の加工技術を紹介していたが、中でも目を引いたのはリニアモータ駆動高速ワイヤ放電加工機「AQ400L」である。
同社独自のモータ駆動方式は、移動速度と位置決め精度が好評だ。機械的な接触がないた、め高い応答性と長期的に安定性・補修性・信頼性を維持する。同社が長年培った放電加工機設計のノウハウに最新のCAE技術を加えている。基本構造はシミュレーションを繰り返し行うリブは位置を最適化することにより、質量移動に伴う変形を抑える剛性を向上している。また、人間工学を追求した新型操作パネルは作業者の視点に立ってデザインしたキーボード/リモートコントローラを採用し、初心者でも簡単に操作できる。


ミニなチップで切りくず排出量MAX!「QmMAX」
ダイジェット工業

ダイジェット工業が展示していたのは、新製品「QmMAX」。この製品は独自の3次元形状を有した低抵抗チップ(切削抵抗従来品比25%低減)で、Ap=1.0mmの加工でも可能な高能率加工用工具だ。1.7㎜以上の加工深さにおいても切削抵抗・動力値が変化せず、立ち壁加工でも問題がない。多刃仕様により高送り加工が可能で、切りくず排出量144cc/mim(φ32モジュラータイプ仕様時)を実現。モジュラーヘッドMQX形使用時、防振効果に優れたオール超硬シャンクアーバ「頑固一徹」を組み合わせることによりびびりなく、高能率加工とチップの超寿命化を実現する。

チップも高送り用、高送り用刃先強化型、肩削り用とバリエーションも豊富。ホルダが共有でき、1本で高送り+肩削り加工が可能であるのも嬉しい。また、チップ材種には汎用性が高く、一般鋼から高硬度材、チタン合金・耐熱合金等の難削材まで対応可能な新PVDコーティング材種(JC5118)および断続切削に最適なPVDコーティング材種(JC80504)を採用している。

炭素鋼、工具鋼、プリハードン鋼、焼き入れ鋼、鋳鉄、ステンレス鋼、耐熱合金、チタン合金の平面・ポケット、肩削り、ヘリカル、曲面、溝滑り加工に効果を発揮する。


把握径φ4新登場! 振れ精度4D先端3μm以下! 「ハイドロチャック」
大昭和精機

BIGの愛称で知られている大昭和精機の目玉は油圧チャック式ホルダ「ハイドロチャック」。
バニシングドリル・リーマ、ボールエンドミル、エンドミル、ダイヤモンドリーマ、工具研磨用など、高い振れ精度が必要な工具に最適な製品である。振れ精度も4D先端は3μm以下、プリバランスレベルを15g・㎜以下にし、より高速加工に対応している。

この製品はスリーブ一体化構造となっており、一般のOリングでシールするツーピース型に比べ剛性が高く、安定した精度を得ることができる。2カ所の油圧室による2点支持と、短い突き出し長さにより一層の振れ精度を向上させた。
刃具を入れてTレンチ1本で簡単に締め付け、取り外しが行えることも魅力である。
ビッグ+主軸搭載機との仕様で、穴加工精度や仕上げ面精度の向上に大きな差が現れる二面拘束「ビッグプラスホルダ」の他にもHSKツーリング、ビッグコロマントキャプト仕様があり、豊富なインターフェイスを用意し、あらゆる機械に対応してくれるのも嬉しい。

従来の把握径サイズに加え、今回新たにφ4が登場し、長さ違いのバリエーションも充実しており、ユーザーニーズに万全の体制で応えてくれる。


驚異のコストパフォーマンス! 「ロングネックスクエア・ロングネックボールエンドミルシリーズ」
日進工具

日進工具のイチ押しは「ロングネックスクエア・ボールシリーズ」。今回、118サイズを追加し、全818サイズとバリエーションがパワーアップしたほか、大幅に価格改定をし、加工現場に貢献する姿勢を展開していた。

この製品の特長は、安定した2種類のコーティングがあらゆる被削材に対応すること。
“無限コーティングプレミアム”は、従来の無限コーティングをさらに改良し、高硬度材直堀り加工時の工具寿命を飛躍的にのばしたもの。皮膜硬度はHv3600、耐酸化開始温度は1300℃と極めて高く、48~68HRCの高硬度材に適しており、この皮膜が難削材加工に悩んでいる加工現場に貢献してくれる。一方、“無限コーティング”はTiAlN(チタンアルミナイトライド)ベースのコーティングでありながら、皮膜硬度Hv3400、耐酸化開始温度1100℃と高い特性を持っている。焼き入れ鋼(60HRC)・プリハードン鋼・生材・銅などに対しても強い耐摩耗性と潤滑性を有している。さらにクーラントも水溶性・油・エアブロー・オイルミストなどにも対応し、被削材やクーラントを選ばない優れたコーティングとなっている。

他にも切削加工が困難とされていた超硬やセラミックスなどの硬脆材の加工が可能な硬脆材加工用スクエアエンドミルや世界最小の呼び径0.1㎜のねじ加工が可能なマイクロねじ切り工具も展示しており、来場者の興味を引きつけていた。


「エポックディープシリーズ」がラインナップを充実!  
日立ツール

日立ツールはエポックディープシリーズのラインナップを拡充させ展開。ボール884アイテム、ラジアス770アイテム、スクエア306アイテム、合計1960アイテムでユーザーニーズに貢献する。
中でも今回注力していたのは、小径深彫り加工をターゲットとした『エポックディープエボリューションシリーズ』。刃形はボールタイプおよびスクエアタイプであり、それぞれPNコート・ATHコートの2種類を用意。
その効果で工具たわみによる加工誤差量が半分以下に抑えられ、放電加工で行っていたような領域で安定した直彫りがさらに可能になった。さらにエポックディープボール・エポックディープスクエアよりもラインナップを拡充し今までよりもより加工形状に最適な寸法で工具選定ができる。2種類のコーティングによって、銅電極のような軟鋼材から60HRCを超える高硬度材の直彫りまで幅広く安定加工が可能になった。

同社の強みであるコーティングだが、“ATHコーティング”は、THコーティングの硬度と耐酸化性をさらに改善し、高硬度材切削加工の超寿命化、高能率化を可能にした硬度3800HV、耐酸化温度1200℃を実現させた結晶粒子がさらに細分化したSi系ナノコンポジットコーティングである。ドライでもウエットでも超寿命を実現する。一方、“PNコーティング”はAl含有量の最適化により特に工具簿材との密着性に優れた耐熱コーティング材で、AlCr系コーティング皮膜へのSi添加により、高硬度(3000HV)で良好な耐摩耗性を示す。プラスチック金型等の工具への溶着が起こりやすい材料の切削に対して、抜群の切削寿命を誇る。耐熱性が向上しているので、ウエット切削およびドライ切削どちらも長寿命化が可能だ。


実用主義を貫いた5軸マシニングセンタ用CAM「FF/Five Ver.3」
牧野フライス製作所

牧野フライス製作所は、干渉を最小限に抑えた5軸制御立形マシニングセンタ「D300」のほか、最も新しい製品として、5軸加工用のCAMの持つ難点を克服するソフトウェア「FF/Five」が展示されていた。
この製品は、プログラム作成時の難点、パス計算および検証を繰り返す作業(トライ&エラー)を減らし、最適な加工パスを得るためのプラグラム時間を最大マイナス80%まで減少させ、稼働率が大幅にアップするCAMである。

5軸加工用CAMの課題は、なんといっても5軸加工のデータ作成に時間がかかるということだろう。5軸加工には工具姿勢に制限がなく、工具・ホルダと工作物との干渉を回避する姿勢を求める計算量が非常に多いため、計算時間がかかるのだ。しかも最適なパスを得るために、パス計算を実行し、その結果を検証するということが何度も繰り返される。

この製品の特長は、時間を要するパス計算前に、工具、ホルダ、工作物の相対関係をワンクリックで3次元表示できること。それぞれの干渉や工具姿勢の急変を検証して、理想的なパスを直ちに選択できる機能を新たに加えている。工具姿勢表示機能を使用してパス計算前に検証ができるので、パス計算の短縮時間と回数が減少し、従来の作業時間を1/3~1/4にすることができる。また、指定された工具・ホルダと加工モデルを3次元表示をする仕組みだが、利点は複数位置を同時に表示することや工具・ホルダを透明にすることで隠れた部分も見ることができることである。また、美しい面品位を実現させるための工夫も満載だ。角度指定により、BEMの刃先の加工点を決めることができる工具加点指定機能が嬉しい。これは、BEM先端(周速ゼロ)での加工が回避でき、刃先の加工点をずらすことにより、工具摩耗を減らし工具寿命を伸ばせることができるわけだから、加工現場の経済効果も抜群であるといえる。


抜群の高精度加工を実現する「YMC430」
安田工業

安田工業のイチ押し製品は「YMC430」。この製品は日々進化する「超小型精密加工」などの加工分野で、超高精度・高い面品位という高度なニーズに応える最新鋭のハイエンドマシンだ。
前軸高速リニアモータ駆動、高剛性シンメトリカルフレーム構造、長時間の稼働においても、安定した高精度加工を実現する熱変位対策など、極めて高い精度を確保してくれる。
“限りなくフラットなもの”に“限りなく直角なもの”を積み上げていく同社の理念とリニアモータ駆動採用で実現した高精度X-Yテーブルで、低振動と高精度が約束される。

高精度・高面品位を実現する主軸も魅力的である。低振動と高い信頼性を目標とし開発された40,000回転の主軸は高精度に組み上げられ、安定した高精度加工を長時間にわたり実現してくれる。また、先進の熱対策も万全であり、「YMC430」の機体温度制御システムは、コラム内部、スピンドルヘッド内部、X・Yテーブルなどの機体各所に温度制御された専用の熱交換液を循環させることで、各軸の熱変異を低減させ、安定した高精度加工を実現する。特にコラムは前後左右対称のシメントリカルH型形状により、温度変化によって生じるコラムの歪みを抑制する。

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