先端曲率、耐摩耗性に優れた画期的な導電性プローブを発売 東洋テクニカ
東陽テクニカ(社長=五味 勝氏)が、スイスNanoWorld 社製の原子間力顕微鏡用の、白金シリサイド導電性プローブ(Platinum Silicide Probes)の発売をこのほど開始した。
「AFM」 は、先端をナノメートル オーダーにまで先鋭化させたプローブを走査させ、3次元の立体的な形状を得ることができる高分解能顕微鏡であり、近年 開発が急務となっている、LED、太陽電池素子、半導体パワーデバイスなどの省電力、再生可能エネルギー関連の製品開発では必須の計測装置となっている。ナノメートルオーダーの高性能でピンポイントに位置決めができるマニュアルプローバーとしての機能は、導電性のプローブを測定対象に確実に接触させることができるため、微小領域でのデバイスの電流リーク箇所や帯電箇所の可視化、計測評価などに使用されている。
従来の導電性プローブの問題点だが、測定に使用するプローブは、先端部の径が小さいほど局所的な情報を得ることができ、面分解能も向上するが、その一方で、従来の電気力測定用の導電性プローブは下記のような問題を抱えていた。
① 耐久性が低い
通常の導電性プローブは、シリコン製プローブ先端にPtIr(白金イリジウム)をコーティングしたタイプが多いが、耐摩耗性に乏しく、測定を繰り返すうちにコーティングがはがれて電気測定ができなくなる。
② 分解能が悪い
Si 製のプローブ先端に導電性ダイヤモンドをコーティングした耐摩耗性の高い導電性プローブは、耐久性は優れているものの先端径が5倍以上大きい。また、プローブが持つ抵抗も高く、I/V 測定には不向きである。
今回新発売となる白金シリサイド導電性プローブが開発された背景に、これらの諸問題を解決する目的があった。
白金シリサイドの利点を挙げると、抵抗率が低く、またシリコンとのコンタクト抵抗も低く化学的に安定なのでシリコンの電極材料としてしばしば用いられている素材である。新製品の白金シリサイド導電性プローブは、従来のプローブのようにベースとなるSi 製プローブに導電性コーティング処理をするだけではなく、プローブ先端を“シリサイド化”処理することにより、下記の3つの改善に成功した。
① 曲率半径が従来比25%減 。
② 最表面材質の硬化により、寿命が従来比5~10 倍に。
③ Pt の拡散により、導電性が10 倍に向上。
結果、これまでの金属コートプローブと導電性ダイヤモンドコートプローブの長所を兼ね備えた、低抵抗、高分解能、かつ耐摩耗性に優れた、プローブの開発に成功したとしている。