平成24年度機械工業生産額見通し調査② <平成24年度の生産動向>

平成24年度の機械工業は、東日本大震災からの復興需要や企業の設備過剰感の緩和等によって緩やかな回復基調にある。米国や中国をはじめとする新興国の計器が徐々に回復し、厳しい円高からの一服感から輸出も持ち直していくと見られる。ただ、電力供給不足や原油高、さらには欧州の金融不安は依然としてあり、景気回復への懸念材料となっている。

こうした中で平成24年度の機械工業生産額は前年度比1.3%増の68兆3308億円となる見通しである。

機械工業の主な動向は次のとおりである。

(1)一般機械
一般機械の生産額は、前年度比(以下同様)1.0%増の13兆6126億円となる見通しである。

機種別にみると以下のとおり。「ボイラー・原動機」は、円高等を背景にした価格競争の激化や生産拠点の海外シフトが進むと見込まれ、4.3%減。「土木建設機械」は、国内の震災からの復興需要、海外は欧米で堅調に推移、資源開発国向けでも引き続き需要が望め、10.3%増。「印刷・製本・紙工機械」は、引き続き国内外ともに環境対応や生産合理化、小ロット対応に適合した高付加価値設備が増加すると見込まれ、2.8%増。「油空圧機器」は、内需が震災からの本格的な復旧・復興需要、外需は欧州や新興国を中心に厳しさも見られるものの、資源開発関連機器等の需要が期待でき、3.2%増。「ロボット」は、国内外ともに電気機械産業向けが足踏みながら、自動車産業向けで引き続き堅調が見込まれ、7.5%増。「農業用機械器具」は、国内向けが米価上場、戸別補償、復興需要等に期待、海外はタイの現地生産化が進むものの、北米、中国での需要拡大が見込まれることから、2.0%増。「金属工作機械」は、国内が自動車向け等で緩やかに回復、海外はアジア、北米地域向けが堅調で、8.5%増。「第二次金属加工機械」は、円高の影響やコスト競争力の問題はあるものの、輸出が牽引する形の生産増加が期待され、3.8%増。「鋳造装置」は、鋳造機械の輸出の伸び、ダイカストマシンの需要先での設備更新の期待により10.0%増。「繊維機械」は鋳造機械の輸出の、編組機械が海外現地メーカーとの競争で厳しいものの、化学繊維機械、紡績機械、織機で増加が見込まれ、全体では3.4%増。「食糧品加工機械」は、復旧需要や国内外のサプライチェーンの回復による需要先の生産本格化が期待され、3.8%増。「事務用機械」は、海外での現地生産は進むものの、国内の復興需要と前年度の反動増により、7.0%増。「ミシン」は、国内生産および輸出に大きな動きはないと見られ、横ばい。「冷凍機・同応用装置」は、冷凍冷蔵関連機器等で減少するものの。冷凍空調用圧縮機、空気調和関連機器で増加が見込まれ、全で0.7%増。「半導体製造装置及びFPD製造装置」は、TV用大型パネルの設備投資抑制が続き、16.7%減少する見通しである。

(2)電気機械
電気機械の生産額は、前年度比(以下同様)0.7%増の6兆8578億円となる見通しである。

機種別にみると以下のとおり。「回転電気機械・静止電気機械器具・開閉制御装置」は、国内では復興需要に遅れがみられるものの、受配電設備などの電力用機器が堅調、海外は低迷している汎用品が年度後半からアジア向け輸出の回復を見込み、1.7%増。「民生用電気機械」は、国内の電力供給不安、円高の進行、企業のグローバル展開に伴い海外生産シフトがさらに進むとみられ、6.2%減。「電球」は、生産拠点の海外化や電球形LEDランプの普及の影響を受け、一般照明用電球、電球形蛍光ランプが減少すると見込まれ11.0
%減。「電気計測器」は、電気計器、電気測定器が減少するものの、工業用計測制御機器、放射線計測器が増加し、全体では1.8%増加する見通しである。

(3)情報通信機械
情報通信機械の生産額は、前年度比(以下同様)3.7%増の4兆7349億円となる見通しである。

機種別にみると以下のとおり。「民生用電子機器」は、カーナビゲーションシステムが自動車生産の回復により増加、デジタルカメラも一眼レフタイプの世界的な需要増加やコンパクトタイプでも高ズーム機種の需要増加が期待でき、また、薄型テレビでは2~3代目のテレビとしての中小型モデルの需要があるものの、地上デジタル放送完全移行後の需要減省の影響を大きく受けることから、全体では1.1%減。「通信機器」は、有線通信機器では民間投資及び個人消費需要の持ち直しに加え、トラフィック強化など通信事業者による設備投資が期待でき、無線通信機器では多機能携帯電話の需要増が見込めることから、通信機器全体では8.3%増。電子計算機及び関連装置」は、ビジネス市場でのリプレース需要の活発化が見込まれるパソコンの増加もあり、3.2%増加する見通しである。

(4)電子部品・デバイス
電子部品・デバイスの生産額は、前年度比(以下同様)0.2%増の7兆3582.億円となる見通しである。韓国をはじめとする海外企業との競争は厳しいものの、国内自動車向けのマイコンやアナログ半導体で期待ができ、「電子部品」は3.0%増加、「電子デバイス」は1.1%減少する見通しである。

(5)輸送機械
輸送機械の生産額は、前年度比(以下同様)1.0%増の28兆4036億円となる見通しである。

機種別にみると以下のとおり。「自動車」は、国内がエコカー減税・補助金による需要の喚起があり、海外は欧州金融不安による市場の停滞や、円高に伴う価格競争力の低下が懸念されるものの、米国市場の回復や新興国市場の拡大が期待されるため、自動車全体では、2.0%増。「自動車部品」は、自動車市場で上期やエコカー補助金効果による生産増が見込めるが、下期はエコカー補助金終了後の反動減が懸念され、通期では1.6%増。「産業車両」は、フォークリフトトラック、ショベルトラックともに国内が復興需要もあり増加し、海外は欧州金融不安と円高の影響が下期に緩和することを期待して、全体では4.9%増。「鋼船」は、引き続き手持ち工事の減少により徐々に操業を落としていくことが見込まれ、11.8%減。「航空機」は、機体、発動機が減少するものの、機体部品、発動機部品、装備品が増加し、全体で8.4%増加する見通しである。

(6)精密機械
精密機械の生産額は、前年度比(以下同様)3.0%増の1兆3710億円となる見通しである。

機種別にみると以下のとおり。「計測機器」は、軽量機器が国内で復興需要の本格化、海外は新興国の堅調な成長が見込まれ、分析機器が新興国での需要増、測量機器が国内での需要増が見込まれ、全体で2.5%増。「光学機械」は、写真機が2.6%増、望遠鏡・顕微鏡が新興国での需要増で3.0%増、カメラの交換レンズ・付属品が4.8%増、光学機械全体では4.1%増加する見通しである。

(7)金属製品
金属製品の生産額は、前年度比(以下同様)1.3%増の2兆7256億円となる見通しである。

機種別にみると以下のとおり。「鉄構物・架線金物」は、6.8%減。「ばね」は、自動車向けの需要増が見込まれ、3.2%増。「機械工具」は、特殊鋼工具が自動車向けで堅調が見込まれ4.6%増、超硬工具が6.2%増、ダイヤモンド工具が半導体関連向けの復調を期待するものの、先行きは不透明で1.1%減、機械工具全体では4.5%増。「バルブ・コック・鉄管継手」は、震災の復興需要で3.4%増加する見通しである。

(8)鋳鍛造品
鋳鍛造品の生産額は、前年度比(以下同様)5.0%増の2兆8352億円となる見通しである。

機種別にみると以下のとおり。「粉末冶金製品」は、3.7%増。「鍛工品」は、需要先の海外展開や部品の現地調達が加速しているものの、自動車、産業機械、建設機械向けがいずれも堅調が見込まれるので、10.8%増。「銑鉄鋳物」は、2.0%増。「可鍛鋳鉄・精密鋳造品」は、0.9%増。「非鉄金属鋳物」は、2.8%増。「ダイカスト」は、自動車向けが堅調で、5.8%増の見通しである。

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