ニーズに応える万全なシステムが強み! ダイショープレイン
設計から製造生産まで一貫した作業システムが強みのダイショープレイン(社長=曽根精一氏 本社:静岡市葵区慈悲尾11-1)が製作する成形用金型や成形プラスチック品は、われわれの生活を豊かにするコンピュータ、精密電子、光ファイバー、光ディスク、エレクトロニクス、カメラ、ホビー、自動車分野などに幅広く貢献している。
現在のメインは自動車部品関連だというが、生産性の効率化を図り、受注から出荷まで納期の短縮を実現している同社には“自動化システムへの挑戦”があった。
ロボットだけじゃない。自動化に必要な3つの要素とは?
常に高精度の機械設備を取り入れ、これらの能力を充分に発揮するための技術力を磨いているダイショープレイン。設計課の山本多加志氏は、「最近はより精度が細かく要求され、チェック項目も厳しくなっています。微細加工は今後も増加していくでしょうね」と話す。納期短縮は製造業界において能率のよい生産の鍵を握るポイントであるが、高品質を確保し、省力化を推進している同社の納期短縮に向けた取り組みを伺った。工程減へ向けた重要なアイテムがあるに違いない。
長時間にわたる加工でも安定した加工が出来る機械があることが大前提。「以前から使用している牧野フライス製マシニングセンタV33のしっかりした機械の作りや加工結果から、放電加工機は牧野フライス製に決定しました。」(山本氏) 期待したとおり加工結果は精度、品質とも満足のいくものであるという。
金型製造においてリブ溝など深い部位は放電加工が重要な役割を果たす。
放電加工は通常、実際の加工に入る前の段取り作業が大変だが、その段取り時間を大幅短縮するため、同社では最近、牧野フライス製作所が開発したNC放電加工システム『EDcam』を導入している。このシステムは、CADデータの連携や3Dシステムの採用で現場の手入力によるミスや手間のかかる確認作業をなくし、作業時間の大幅短縮を実現したものだ。
従来、放電加工のプログラムの作成は、加工指示書による指示・手入力が常識だったが、最近、電極数の増加により、入力ミスの確率が増加し、検証時間も増えている。同社では、機械への入力作業を自動化し、加工現場をシステム化することでヒューマンエラーを根絶して作業の効率化を図るという狙いがあった。
「放電加工の段取りでモタつくと生産性が落ちてしまいます。今まで100本の電極をつけるとなると1日がかりでしたが、加工は半日で終わってしまう。このシステムを導入したお陰でポカミスが激減し、以前と比べものにならないほど素早く段取りができるようになったうえ、無駄な時間もなくなり経済効果も上がりました。弊社は短納期に備えて設備を整え、お客様のニーズに全力で応えます」(山本氏)
「加工やシステムに問題が発生した場合も、迅速に対応してもらっています」という山本氏が重要視しているのは加工技術エンジニアのサポート力だ。自動化システムもきちんと稼働して高精度な加工をできなければ意味がない。山本氏はマキノの“フットワークの軽さ”に魅力を感じ、「打てば響くようなスピーディな対応」に心を動かされたという。
自動化というとロボットに目が行ってしまいがちだが、「長時間加工でも安定した性能の加工機」、「データをうまく流すソフトウェア」、「サポートの確かな加工技術」の3つの要素が自動化を効果的に進めるポイントのようだ。
顧客のニーズに全力で応えるのがダイショープレイン!
ダイショープレインというなんともユニークな社名だが、“ダイショー”は、大商、いわば大きな商の意味など、良い意味合いの様々な漢字を当てはめることができるということと、“プレイン”は、Precision(精密)+ Industrial(工場の)=精密工場の意味があると聞いた。社名の由来のとおり、ここで生産される精密な製品の数々。日本で加工できるのはここしかできないと言われるシロモノがあったが、残念ながら写真はNG。例のごとく守秘義務があるのでごく一部しかご紹介できない。「安くつくるだけなら誰でもできるでしょう。しかし、今の精度を保ちながら安くつくることはなかなかできません。自動化が進めば省力化に繋がります。ギアー関係は加工が難しく、放電目を細かく鏡面加工で上げてくれとの要求がありますが、高い品質を確保しながらお客様のニーズに精一杯応えていく所存です」(山本氏)
同社は、安定品質にも注力している。
最先端の測定技術を集結したビデオ測定顕微鏡を導入した品質保証室で、あらゆる製品形状も正確な光学検査を実施し、顧客の要求する品質を“安定させて”納入している強みもある。
先方にてCADデータがある場合は、DXFまたはIGESにて直接取り込みが可能である。データの受け取りもEメールを利用すればリアルタイムで対応してくれるという。
品質向上、コスト削減、省力化にみる生産性の効率化は、顧客満足度を高める術がつまっていた。