高硬度鋼用 高能率4枚刃ボールエンドミル「エポッククアトロハイハードボール EHHB-ATH」を市場投入! 日立ツール
日立ツール(社長=田中啓一氏)はこのほど、高硬度鋼用 高能率4枚刃ボールエンドミル『 エポッククアトロハイハードボール EHHB-ATH 』の販売を開始した。
多刃の弱点を克服した新製品に要注目である。
近年、金型材の長寿命化が求められているため被削材の高硬度化が進んでいる一方、金型製作期間短縮のため、加工の高能率化と焼入れ材へ直彫り加工できる工具の要望が高まっている。これら高能率加工のニーズに対応するため、市場では刃数を増やしたボールエンドミルが商品化されてきたが、刃数を増やすことでの問題も多く広く適用されるには至っていない。通常、ボール刃先端の中心部は切削速度が理論上ゼロであり、中心部のすくい角はネガであるため切削性が良くない。特に多刃となった場合、十分なチップポケットが確保できないため切り屑排出性の問題が発生し、送り速度を上げると先端が欠損しやすくなり、従来の形状では刃数増加分の能率向上は難しかった。他にも、高速回転時や深彫り加工時のびびり振動の発生など問題も多く、今回、日立ツールでは、多刃化することでの諸問題を解決し、4枚刃でも安定して高能率加工できる商品の開発に成功し、従来2枚刃ボールの2倍以上の能率、工具寿命までの総切屑排出量にして4倍以上の性能を実現した。
この製品の特長は以下のとおり。
(1)先端に特殊エンド刃採用 (切削性能の向上、安定化)
先端部に微小な特殊エンド刃を設け、ボールR刃とは異なる刃を形成。ボールエンドミルで最も不安定となる切削速度ゼロ点(ボール先端部)を無くし大幅な切削性能の向上を実現した。
(2)不等分割刃の採用 (びびり振動の抑制)
多刃化に伴う課題である、高速回転時、コーナ部加工時、突出し量の長い加工でのビビリ振動を最小限に抑えるため、切れ刃に不等分割を採用している。
(3)チップポケット形状の最適化 (切り屑排出性の向上)
チップポケット形状の改良により、4枚刃での高能率加工においても良好な切屑排出性を実現。切屑の噛込みによる、突発的な折損を防ぐことができ安定加工を実現した。
(4)ATHコーティングの採用 (耐熱性、耐摩耗性の向上)
耐熱性、耐摩耗性に優れているATHコートを採用。特に高硬度鋼で威力を発揮。
被削材の狙いは、40HRC~72HRCの高硬度鋼 (特に、50HRC以上の焼入れ鋼がメインターゲット)。冷間鍛造金型、順送プレス金型、プラスティック金型の直彫り荒加工、中仕上げ加工、仕上げ加工に威力を発揮する。
Ø1~Ø12 レギュラー刃 (全17アイテム)。\11,025~\33.390(消費税込)。
年商は2億円の見込みである。