ものづくりNEXT↑2010で見た最新設備
11月17日~19日までの3日間、東京ビッグサイトで、ものづくり確信・改善を支援する各種製品・サービスを一堂に集め情報発信する展示会「ものづくりNEXT↑2010」が開催され、製造現場などの生産設備、橋梁などの社会インフラの維持管理技術の開発、普及促進に貢献する最新設備が一堂に集まった。
歪み分布などを遠隔地から監視する アドバンテスト
アドバンテストが展示していたのは光ファイバ歪み測定システム「N8511」である。
この製品は、光ファイバをセンサとして用い、光ファイバを伸長する力が加わったことによって発生する歪みを測定するシステム。
豪雨や地震発生時に災害の恐れがある地滑り危険地帯の地盤変状や橋梁、トンネルなどの大型建造物の歪み分布などを遠隔地から監視することができる。
特長は、①最大測定レンジ80㎞、1m分解能で連続的に測定可能、②広ダイナミック・レンジを実現し、短時間で安定した測定、③長時間の連続試験に必要な高信頼性を実現、④最大100,000ポイントのデータを1度に収集、⑤光チャンネルセレクタ(8chまたは16ch)を内蔵――である。
外部からの水分・コンタミをシャットアウト! インテクノス・ジャパン
インテクノス・ジャパンが展示していたのは、外部からのやっかいな水分・コンタミを完全シャットアウトする「KLシリーズ」。この製品はトラブルやメンテナンスコストを削減する特長を持つ。
一般のエアブリーザはコンタミの侵入をある程度除去できても水分は阻止できないうえ、汎用のドライヤー付エアブリーザは安全性やエアフィルタの能力や構造・材質に問題があるとされている。
この製品はそれらの汎用品とは大きく異なり、安全性・エアフィルタ能力・堅牢性に優れ、大切なシステムにクリーンでドライなエアを送ってくれる。
安全性も抜群で、世界で唯一、有毒物質・発がん性物質を含まない“Z-Rジェル”を採用している。人体・環境に全く無害で、新しいEU(欧州連合)環境基準をクリアした唯一のドライヤー付きエアブリーザである。この“Z-Rジェル”とは、赤色シリカガルと白い粒状のゼオライトを指す。ゼオライトは微細孔内に水分子を吸着することができるため、水分の吸着をはじめ有機溶媒の脱水や温度調節に用いられている。
厳しい作業環境においてオイルの水分を測定する ヴァイサラ
ヴァイサラが展示していたイチオシ製品は「MMT330変換器シリーズ」。
この製品の特長は、オイル内の水分を素早く正確に検出することができること。水分測定をオンラインで行うことにより分離器やオイルドライヤーなどの運転最適化を可能にする。
オイル内水分をモニタリングして適切な管理を行うことで、オイルの効率的な仕様と環境保護の両面に貢献。この製品を使うことで、簡単かつ低コストでオイル内水分の状態をモニタリングすることができる。
また、この製品は10年の実績に基づいた最新世代の“ヴァイサラHUMICAP®センサ”を搭載している。「MMT330」は厳しい環境が要求されるオイル内の水分測定用に開発され、耐薬品性に優れたセンサは広範囲な測定範囲にわたり正確で信頼性の高い測定を実現する。
噴出したままでスピード補修できる配管用補修材 折原製作所
折原製作所が展示していたのは、配管に穴が空いたがバルブを止めて作業ができない、パイプの継ぎ手部分から水が漏れる、タンクの壁面に穴が空いてしまった――等のトラブルに噴出したままでも補修できる「マホータイ&オリステープ」。
この製品は、傷穴から流体が噴出したままでも補修できる画期的な配管補修材だ。
継ぎ手などの段差を埋める「オリスチール」、傷穴を締め付けて漏れを止める「オリステープ」、一体化して固める「マホータイ」の組合せで従来、バルブを閉めて漏れを止めなければできなかった補修作業もバルブを閉めずに作業ができる。
パイプ交換や補修クランプによる補修に比べ材料費が安く、補修作業は穴をふさぎながらパイプに巻いて硬化させるだけなので、大がかりな機械や特殊技能も不要であるうえ、経年劣化による定期的な交換もいらないので補修コストが大幅ダウンする。
30mの超長尺でありながら抜群の操作性を実現 オリンパス
オリンパスが展示していた新製品は、工業用ビデオスコープ「i PLEX YS」。
この製品は、空気圧による革新的な湾曲機構を搭載。手の平に納まるコンパクトなリモコンで、スコープ先端の湾曲を自由に操作できる。スコープを完全に引き出さなくても湾曲が可能なため、必要な長さだけを収納ドラムから引き出して検査ができる。
フィールドメンテナンスにおいては、錆び付いたパイプや、ほこりや水滴が付着した装置内部など、厳しい環境下にある対象物の検査がほとんど。「i PLEX YS」のスコープは高い摩擦耐久性を備えており、さまざまな状況の検査現場に対応している。さらに、レンズ洗浄システムがスコープ先端の細塵や水滴の残留物をエアで吹き飛ばし、常に鮮明な画像を提供する。
3Dワールドを進化させるMR技術の魅力 キヤノン
キヤノンが展開していたのは、“MR(Mixed Reality)技術”だ。
この技術は、現実世界と仮想世界をシームレスに。リアルタイムで融合させる技術。HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)を装着することで、CGで描かれた仮想物体を好きな視点から観察することができる。また、仮想物体のスケールを実寸感覚で捉えさせ、現実世界に本当に存在しているように感じることができる。
3Dの世界を進化させたこの技術は、観る位置を選ばないという利点がある。
CGをマウスやキーボードで操作するのではなく、実際に異動して、好きな位置や角度から見ることができる。
位置合わせ技術によってCGを指定の場所に置き、HMDを使ってそのCGを様々な角度から見ることができる。これは映画やTVの3Dにない特長だ。MRの世界で操作した内容を設計データに反映させることができるのも魅力である。
制御機器の保護や排出ガスの脱臭に最適 ジェイエムエス
電気・計装設備、電子部品(電子基板、電気接点等)の受ける環境ストレスには温度、湿度、振動、圧力、腐蝕性ガスなどのさまざまな要因がある。
腐食は機器のさらされる環境においての損耗と考えられているが、機器の腐蝕は信頼性及び、寿命の低下、トラブルによる機器の緊急停止等の原因につながり、腐蝕による経済的損失は多大なものとされている。
「腐蝕はコントロールできるもの」としている同社が今回展示していた“腐蝕性ガス除去ユニット”は、空気中に存在する腐蝕性ガスおよび臭気の原因となる物質を測定し除去するシステム。
室内を正常化し制御機器の保護や排出ガスの脱臭に最適である。
3次元アバターが実現圧倒的なリアリティ シスプロ
シスプロが展示していたのは、リアルタイムバーチャルリアリティソフト、「Walkinside5.4」である。
3次元CADデータを読み込み、建物や施設の完成後のデザインをあらゆる角度からレビューできる。設計の段階で完成後の様子を見せることができるため、プレゼンテーションにも最適だ。建物や施設の詳細なシミュレーションができるため、バリアフリー検討や保守・安全性の確認などにも貢献する。
この製品は、3Dアバターの「トニー」が登場し、モデル内を歩く・走る・這う・ジャンプするなど多彩な動きでのシミュレーションを実現。人間の視点でどう見え、どう感じるのかを圧倒的な臨場感で提供する。また、プラントや都市などの大きなモデルも扱えるよう設計されているのも特長のひとつ。モデルの大きさに制限はない。また、大きなモデルを扱う場合でも他のソフトのように動きが遅くなることはない。
新しい技術で測る路面変位計測システム ソーキ
ソーキが展示していたのは路面変位計測システム「ロードマン」である。
このシステムは、ノンプリズムトータルステーションを応用した計測システム。トンネル工事、シールドトンネル工事、アンダーバス工事等による路面変状の計測に使用されている。従来は人力によるレベル測量や路面下など水平ボーリングを行い、連通管を設置して管理するのが一般的な方法だったが、この「ロードマン」は、計測点を任意に複数箇所設定することが可能であり、交通量が多い道路面の鉛直変位を安全かつリアルタイムに計測することを実現した計測システム。計測データは無線LANおよびインターネットで送信され、事務所の管理コンピュータで表示・出力できる。
スポット溶接内部を3次元で高速に映像化 東芝電力検査サービス
同社が展示していたのは、スポット溶接内部を3次元で高速・高精密に映像化し、溶接の良否を自動判定するスポット溶接検査用3D超音波検査装置「Matrixeye」。
この製品は、東芝が独自に開発した超音波3D開口剛性手法を用い、スポット溶接内部を3次元で画像化する。画像で認識するため、超音波の専門家でなくても分かりやすい検査システムとなっている。
その画像からスポット溶接接合径を自動検出し、顧客があらかじめ設定した閾値により溶接の良否判定を行う。
これまでの超音波検査装置は良否判定のみだったが、より詳細に検査が可能になる。
超音波プローブはマトリクス状に配置した64chの圧電素子を使用し、狭隘部にも対応できるよう小型化している。ハイテン材やアルミ材にも適用可能で、特に単眼の超音波検査装置で判定が難しいとされるブローホールの有無が判別可能である。
地球にやさしい水系エコ建材「RCガーデックス」 日本躯体処理
日本躯体処理が展示していたのはコンクリート浸透改質材「RCガーデックス」。
この製品は、“高い防水止水性能”、“塩害・凍害の防止”、“中性化の制止”と多機能でありながら低コスト化を実現し、施工性と長期耐久性に優れた新発想のけい酸塩系製品である。
最新のナノテクノロジー(微細化技術)から生まれた「ナノサイズ」のシリケートをふんだんに使用し、基本原理である「RC表面に浸透⇒空隙に充填⇒固化体化」を広範な使用環境で発揮できる優れモノである。
主成分のシリケートをコンクリート内部の深部に浸透させることで、コンクリート内部の各種カルシウムと反応、空隙や水路をゲル状の反応生成物が充填する。このゲル状の反応生成物は、その後2~12周で固体化へと変化し、躯体自体を厚い防水層へと変化させ長期にわたり効果を持続する仕組みだ。
蛍光X線分析装置を用いた塩化物イオン量測定 ネクスコ東日本エンジニアリング
同社が展示していたのは「蛍光X線分析装置」。
これは、コンクリート構造物の塩害に対する健全度の指標となる塩化物イオン量の測定は、従来JIS A 1154「硬化コンクリート中に含まれる塩化物イオンの試験方法(電位差滴定法)」により行われていたが、より迅速で低コストの代替分析法として「蛍光X線分析装置を用いた分析法」を東日本高速道路と、NEXCO東日本関東支社と共同開発したもの。
特長は、①現場で簡易・迅速に組成分析が可能、②コンクリート中の塩化物イオン亮を高感度で簡易に分析が可能、③小型・軽量の可搬式なのでオンサイト分析が可能、④分析は薬品等も使用せず環境に優しい、⑤コストは電位差滴定法の約2/3で一連の分析が可能、⑥市販の機械を用いて独自の分析方法(検量線や試料の調整など)により電位差滴定法と同程度の精度で分析可能――である。
製造現場の状況をいつでも確認・録画できる パナソニック
“工場見える化システム”は、パナソニックの工場で実践した改善活動から生まれたシステムである。
ものづくり現場の課題解決を支援し、改善活動を常態化することができる。工場内にシステムカメラを導入することで、作業状況の確認や「ムリ」「ムダ」「ムラ」「異常」「危険」を映像で確認することが可能だ。
工場全体を鳥の目線で見ることで人やモノの流れ、工程のボトルネックが分かるこのシステムは、光学22倍ズームでねじ締め等の細かい作業まで分析可能。遠隔地の製造現場をモニタリングできるので、タイムリーで的確な指示が可能になり、出張コストを低減できる。 映像で状況判断して修理要員を的確に配備、スピーディな解決が可能になるうえ、記録画像を分析して、より速い段取換えの方法を研究、開発もできる。
設計作業の効率化で短納期とコスト削減を実現 丸紅情報システムズ
丸紅情報システムズが展示していたのは「Dimension」。
この製品は、造形材料であるABS樹脂を熱で溶解し、極小のピッチで積層することにより、立体モデルを造形する。
ABS樹脂は実際に自動車部品や掃除機、エアコン、コンピュータ、携帯電話など、身近な製品に多く使われている材料で、加工性に優れ、塗装・メッキ・接着はもちろん、ねじうち・穴あけ・ヤスリがけなどの後加工が簡単・手軽に行える。また、経年変化にも強く、瞬間接着剤などで簡単に接着できることから、複数の部品の組合せ処理も簡単で、市販のプラスチック用塗料で簡単に塗装をすることも可能だ。
ABS樹脂造形モデルができるこの製品は、形状確認や機能・組付けチェックなど実用的な試験を即実行し、設計作業の効率化実現による納期短縮やコスト削減に大きく貢献する。
高い放射線環境下でも優れた性能を発揮 ミルス・システムズ
ミルス・システムズが展示していたのは、「STS-71」。
この製品は、高い放射線環境下においても優れた性能を発揮する。カメラには耐放性の電子部品をレンズとカメラのフロントウインドウには耐放射線ガラス(ノンブラウニングガラス)を採用している。
この安定した性能は、放射線照射テストだけでなく、多くの原子力関連施設での実際の稼働実績で照明されている。
原子力関連施設で使用する目的では、通常、撮像管タイプの放射性カメラが使われる。カルニコンの感度は高く耐熱性にも優れているが、耐放射線性能は中程度。一方ビジコンは耐放射線性能が高いのだが、感度が低く、使用環境温度の高さにおいてカルニコンに劣る。DIAKONTのカルニコンは特殊な製造技術(Patent:RU2145454)でつくられ、ビジコンとカルニコン両方のメリットを複合し、高温の高い放射線環境下でも優れた映像を提供する。
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