年頭所感(日本工作機械工業会/日本工作機器工業会/日本精密機械工業会)

「新たな価値づくりを目指す」
●日本工作機械工業会 会長 横山元彦

平成25年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年の工作機械業界は、超円高の逆風にもかかわらず、堅調な海外需要を背景に、月次で概ね1千億円台の受注水準を維持することができました。この結果、2012年の工作機械受注額は、当初の見通し通り、1兆2千億円程度に達したものと見込まれます。
本年の工作機械受注動向につきましては、世界経済減速の余波を受けて、予断を許さない状況にありますが、エネルギー開発、インフラ投資、新興国での自動車投資、新型航空機や医療関連等の成長産業の台頭など、工作機械需要の背景には、大いに期待すべきものがあります。

この大きな潜在需要を実需とするには、複合化や難削材・新素材加工への対応など、日本が得意とする技術にさらに磨きをかける一方、欧州が先行するソフトウェア分野において、自らの弱点を良く分析し、効率的な研究開発に取り組むことが重要です。
また、マーケティング面では、機械単体のみの営業から、ユーザーが必要とする生産技術の提案にまで踏み込んだ、総合的ソリューションを通じた新たな価値づくりを目指すとともに、日本が誇る優れたサービス力のブラッシュアップが求められます。
これらの諸課題に対し、業界各社が努力を惜しまず、競合国との差別化を一層明確にすることで、本年は、昨年の「1兆2千億円程度」の水準を上回る受注額を目指していきたいと存じます。

併せて、本年は、中長期的な視点から、「産官学連携による研究開発の推進と有為な人材の確保・育成」、「JIMTOFの求心力強化」、「標準化戦略の強化」など、当工業会が昨年5月に取りまとめた、「工作機械産業ビジョン2020」で示された諸課題への対応に注力して参ります。
他方、製造業全体を俯瞰致しますと、その根幹である設備年齢が、近年とみに上昇していることが大きな問題となっております。日本の製造業の国際競争力を維持するためには、設備の若返りを図り、生産性の維持・向上に努めることが喫緊の課題であります。当業界では、常に最新鋭かつ最高の工作機械を供給し、日本経済の根幹である製造業の再生を支援しつつ、世界のものづくり産業の繁栄に貢献して参る所存です。

本年も関係各位には、ご指導、ご鞭撻とさらなるご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、平成25年が皆様にとってさらなる飛躍の年になることを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。

「ひたむきに努力することが必要」
●日本工作機器工業会 会長 寺町彰博

あけましておめでとうございます。
年頭に際し、所見を述べさせていただきます。

昨年は、欧州政府の債務問題が続く中、年の半ばから世界経済は停滞しました。さらに、先進国経済が低迷する中で、消費マインドが高い新興国においても大きな影響を受け、世界経済の減速感はより一層強まりました。
このように新興国が世界経済を牽引するためには先進国経済の安定が前提条件であるという構図が明らかとなりましたが、欧州債務問題は未だに解決を見ないままに先進国経済の安定の前に立ちはだかり、世界経済の不安要素となっています。この解決に立ちはだかる大きな障害は、私たち先進国の慢心、すなわち今までと同じことさえしていれば現状の生活が維持される権利を持っているという錯覚ではないでしょうか。多くの人口を抱える新興国がマーケットに参加する事により、新たな世界経済の枠組みでの競争を余儀なくされているにも関わらず、権利ばかりを主張する風潮は現状認識を遠ざけ、慢心を増幅し、大きな危機をもたらしているように感じます。さらにその問題は新興国経済へと波及し、世界経済に大きな影を落としているのです。

このような中、私たちはこの状況を素直に受け止め、ひたむきに努力することが必要です。そのためにも本来日本の製造業が持っている強みであった「ハイクオリティ」、「ホスピタリティ」、「リーズナブル・プライス」を今一度呼び起こし、これらの強みをさらに磨いていくことが必要だと思います。「ハイクオリティ」とは市場にあわせて機能は選別しつつも、最高品質の製品を提供し続けることです。「ホスピタリティ」とは、相手の期待するものを察して行動するおもてなしの心です。そして、ハイクオリティとホスピタリティによって付加価値が向上した製品を、飽くなき生産性の追求により実現したのが、顧客にとっての「リーズナブル・プライス」です。部品製造業においても本格的なアジアメーカーとの競合時代に突入していますが、これら3つの強みをバランスよく実現し、革新的且つ創造的な製品を世に送り出すことができるならば、必ずや日本の部品製造業は世界の製造業の発展を牽引していくことができると信じて疑っておりません。従いまして、当工業会といたしましても、会員の皆様とともに強い信念を共有し、日本の製造業の発展に寄与できますよう、積極的な活動を展開してまいる所存です。

最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。

「多岐に亘るコラボレーションの実現を第一に」
●日本精密機械工業会 会長 長瀬幸泰

明けましておめでとう御座います。
旧年中は日本精密機械工業会に対しまして、格別なるご厚情を賜りまして衷心より厚く御礼を申し上げます。

日本精密機械工業会は昨年6月の総会に於きまして日本小型工作機械工業会より改称を致しました。併せて中期ビジョンの策定も致しました。一連の作業には約2年の歳月を費やしました。全会員の皆様にも厚く御礼申し上げます。目まぐるしく変化する市場環境に即応し続ける会員企業にとって有益な工業会であり続ける進化の試みの一つであります。

先進国も、途上国もこの地球上で、同じ自然環境、経済環境、エネルギー環境のなかでそれぞれに同じ原因に起因する問題を抱えていることは明白です。表面的に起こる現象は全く違うように見えても根底にあるのは人の心の問題のように感じます。宗教、風俗、習慣の異なる世界各国に展開しておられる様々なモノづくり企業の皆様の逞しくも高邁で且つ過酷な日常的活動や御取り組みにはまさに敬意の念を禁じ得ません。

こうした状況の中、日精工は、日本発世界標準のモノづくりとグローバルマーケットへの対応に寄与できるように活力ある「モノづくり人」の血の通った暖かい交流、懇親を通じて有機的な絆を深め、有益な情報の交換・共有と多岐に亘るコラボレーションの実現を第一に考えています。3年・5年中期ビジョンの実現に向けて、他の工業会様や大学、研究機関、行政の皆様とも積極的に交流を深めて幅広い連携をさせて頂きたいと念願致しております。

本年も倍旧のご厚情を当工業会に賜りますようにお願いを申し上げます。

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