日機連が年始会を開催 「市場の需要動向を捉え、自らの構造改革を進めることも必要」

あいさつする伊藤会長
あいさつする伊藤会長
日本機械工業連合会(会長=伊藤源嗣氏)が1月8日、東京・ホテルオークラで年始会を開催した。
伊藤会長の挨拶の概要は以下のとおり。
「昨年末には衆議院議員選挙が行われ、自民党を中心とする新政権が誕生しました。安部新総理が景気不要策を拡大する決意を内外に表明されたこともあって、株価はやや持ち直し、円安の基調も出て参りました。機械業界にとっては非常に好ましい動きであり、今後、一段の株高と円安が進むことを期待したいと存じます。

さて、昨年のわが国経済を顧みますと、春先には東日本大震災からの復興需要の本格化に伴い、景気の回復が期待されましたが、欧州債務危機の再燃と中国等新興諸国の経済原則で輸出が急速に鈍化したことから、昨年7-9月期の実質濃く兄総生産(GDP)は3四半期ぶりに-となり、10-12月期も引き続き減少する見通しであります。今後は、復興需要は底堅いものの、海外経済の回復は不透明であり、また、エコカー補助金等の政策効果が薄れて個人消費も減速感が見え始めており、景気は後退期に入ったとの見方が強まっています。新政権には日銀と協調して景気の後退が長期化せぬよう、補正予算の早期執行も含めた実効性のある経済・金融政策を早急喝確実に実行して頂きたいと思います。

わが国を取り巻く社会経済環境は大変厳しい状況にあります。少子高齢化の進行、デフレの長期化、公的債務の増大、そして東日本大震災からの復興と原発事故に伴う今後のエネルギー確保など、数多くの問題が山積しています。わが国が現在の困難を乗り越え、今後の反映を確保するためには、政府、企業、国民が一丸となり、諸課題の解決に全力で取り組んでいくことが必要です。先日の衆議院議員選挙では、消費税増税、脱原発、TPPなど、わが国の今後を左右する重大な問題が争点となりましたが、新政権には将来に決して禍根
を残さぬよう、正しい方向を選択し、速やかに実行に移されることを期待いたします。
「社会保障と税の一体改革」は、持続可能な社会保障制度の構築と長期的な財政健全化のために早期に実現されねばなりません。電力供給の安定かも国民生活や産業活動のために是非確保しなければならず、全電源の約3割を占める原子力発電は長期的には依存度を減らして行くにしても、まずは安全性を十分確保下上で再稼働を実現し電力の安定的な供給を確保すべきものと考えます。また、自由貿易を一層加速させ、アジア等の新興諸国の需要を取り組むためにはTPPは非常に重要であり、政府には国益という「全体最適」の視点から交渉参加に向けて早急な決断をお願いしたいと存じます。わが国はものづくり立国であります。しかし、近年のわが国の事業環境は国内でものづくりを続けていくことが困難な状況となっており、製造業の活力を取り戻し、国内雇用を十分確保するためには、国際水準の事業環境が整備されることが必要です。政府には大幅な円高の是正、規制緩和、法人税率のヒット期下げ、研究開発税制における控除限度額の引き上げ等の有効な政策を講じていただきたいと存じます。

われわれ機械工業はわが国産業の中核として、イノベーションによる新技術や新製品の開発などにより国際競争力にひいでた製品を作り上げ、輸出し、わが国の繁栄を牽引してきました。しかし新興諸国を巻き込んだグローバル競争は年々厳しさを増しております。われわれがそれらに対抗し、打ち克ち、わが国経済の未来を切り開くためには、従来以上に研究開発に力をいれるとともに、競争を勝ち抜く戦略を構築し、実践することが重要であります。また、変化する市場の需要動向を的確に捉えて成長分野に取り組むなど自らの構造改革を進めることも必要と考えます」

菅原経済産業省製造産業局長
菅原経済産業省製造産業局長
来賓を代表して菅原郁郎経済産業省製造産業局長が、「新政権のもとで、経済産業省は今後、従来の発想にとらわれない大胆な政策対応をやれるかどうかが問われます。これから諮問会議や産業競争力会議がスタートしますが、産業界の声をしっかり受け止め、われわれも産業界の窓口として、より一層皆様方の声を聞いて頑張っていきますのでよろしくお願いいたします」とあいさつをした。
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