2012年(暦年)工作機械受注実績の概要

日本工作機械工業会(会長=横山元彦氏)がこのほど発表した「2012年(暦年)工作機械受注実績の概要」は次のとおり。

1.受注額
・概況
2012年の工作機械受注額は、前年比△8.6%の1兆2124億円となり、3年振りの減少となるも2年連続で1兆円を超えた。うちNC機が1兆1822億円(同△8.4%)で総額同様3年ぶりの減少となった。内訳をみると、内需は3758億円で同△10.9%、外需も8366億円の同7.5%と内外需ともに3年ぶりの減少となった。
外需比率は69.0%となり、前年に比べ0.8Pt上昇した。

・内需の動向
内需は、厳しい国内の設備投資環境が続き、前年比△10.9%の3758億円と3年ぶりに減少した。

業種別にみると、全11業種のうち「航空機・造船・輸送用機械」と「その他需要部門」、「商社・代理店」の3業種のみが前年を上回り、その他の業種は軒並み減少した。主な業種では、一般機械向けが同△15.3%(1601億円)、自動車向けが同△4.7%(1165億円)、電位・精密向けが同△22.4%(360億円)、航空機・造船・輸送用機械向けが同+39.0%(190億円)となった。

・外需の動向
外需は前年比△7.5%の8366億円で、2011年(9046億円)、2007年(8636億円)に次ぐ市場3番目の高い水準となった。

主要3極の状況をみると、アジアでは、東アジアが前年比△8.4%(3480億円)、その他アジアが同△0.1%(1256億円)となり、アジア計では同△6.3%(4736億円)ながら、昨年に次ぐ市場2番目となる高水準の受注額となった。

国別にみると、その他アジアのタイ(530億円)は洪水の復興需要や自動車向けに堅調な受注を維持し、中国、米国に続く3番目の市場規模となった。また、ベトナムやインドネシアを含むその他アジアの「その他」地域は自動車向け投資が増加し、同+56.0%(340億円)と大幅に伸長し、インド(264億円)や韓国(262億円)を抜き、ドイツに続く5番目の市場規模となった。一方、世界景気を牽引してきた中国(3056億円)は、一般機械や自動車が、金融引き締めなどの影響もあり、年間を通して弱い動きが続いたが、電気機械向けが拡大し、受注を下支えした。

欧州は、長引く円高や債務危機問題により同△26.2%(1157億円)と3年ぶりに前年割れとなり、2007年のピーク時(2769億円)対比では41.8%と年間を通じて弱い動きが続いた。国別では、その他東欧(同+8.4%)以外は前年を下回り、欧州最大の受注国であるドイツ(同△29.4%)をはじめ、イタリア(同△51.1%)、フランス(同△22.9%)、イギリス(同△3.7%)などのEU主要国は軒並み減少した。

北米は、同+5.5%(2340億円)と3極の中で唯一前年比増加となった。国別では、外需で2番目の市場規模を持つ米国が同+4.4%(2027億円)で、エネルギー、自動車、航空機向けなど幅広い業種から受注がみられた。また、メキシコでも自動車関係投資が活発化し、同+29.9%(207億円)となった。

この結果、外需に占める各地域のシェアはアジア56.6%(前年比+0.7Pt)、欧州13.8%(同3.5Pt)、北米28.0%(同+3.5Pt)となった。また、外需全体に占める国別のシェアは、最大市場の中国が36.5%(前年比+0.3Pt)で、2位米国24.2(同+2.7Pt)、3位タイ6.3%(同+0.2Pt)の順となった。

外需の業種別における各地域のシェアは、一般機械向け(2166億円)がアジア40.5%、欧州17.0%、北米39.6%、自動車向け(2371億円)がアジア62.1%、欧州7.9%、北米28.6%となった。電気・精密向け(2341億円)はアジア90.2%、欧州3.8%、北米5.7%と中国の電気機械向けの増加によりアジアが9割を超えた。また、航空機・造船・輸送用機械(421億円)ではアジア12.4%、欧州35.3%、北米50.0%となり、航空機向け受注が堅調だった北米と欧州のシェアがアジアに比べ高い。

機種別の動向
受注額を機種別(含むNC機)にみると、全11機種中9機種が前年比減少となった。主な機種では旋盤が前年比△8.7%、マシニングセンタ計は同参加宇3.9%(立て形同+6.4、横形同△16.4%、その他同△14.8)となった。

機種別構成比では、受注総額の4割強を占めるマシニングセンタが立て形の増加により、前年に比べ2.2Pt増加し46.3%となった。

機種別のNC比率では、ボール盤、フライス盤、その他の工作機械を覗く8機種で9割を超えており、全体では97.5%と史上最も高い比率になった。

2.販売額
販売額は前年比+12.7%の1兆3297億円で3年連続の増加となった。うちNC工作機械も同+13.1%の1兆2939億円となり3年連続の増加となった。

機種別(含むNC機)にみると、全11機種中、歯車機械(同△4.7%)、放電加工機(同△2.6%)を覗く9機種が前年比増加を示し、販売額の4割を占めるマシニングセンタが同+11.3%(立て形同+18.7%)、横形同+2.1%、その他同+1.3%)、約3割を占める旋盤もm同+12.5%となった。

3.受注残高
2012年末の受注残高は、前年比△16.8%の5437億円となり2年ぶりに6000億円を下回った。当該年末の受注残高を直近3カ月(12年10~12月期)の販売額平均で除した「受注残待ち月数」は5.5カ月で前年末と比べ0.9カ月減少した。また、NC工作機械の受注残高は同△16.7%の5192億円となった。

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