耐熱合金を熟知したダイジェットの新製品に注目!

超硬合金製造で培った粉末冶金技術を基盤に現在革新的な技術を盛り込んだ切削工具を次々と市場に投入しているダイジェット工業。ダイヤ・超硬一体焼結製品、異形ギヤ成形金型の超硬化、省レアメタル合金の工具素材など、各分野において独創性の高い製品を国内はもちろん世界中に販売している。原料粉末の調製から一貫して社内生産を行っている同社の強みは、安定した高品質の製品群。
ダイジェットは今、新しい製品がどんどん生み出している――――。

耐熱合金用工具ならダイジェットで一揃え

田渕 営業企画課課長
田渕 営業企画課課長
「難削材を能率良く削りたい」というユーザーの話をよく聞く。

ダイジェット工業 営業企画部営業企画課 課長田渕 繁氏は、「中でも耐熱合金は最近脚光を浴びるようになったと思っています」と話す。

同社では2月1日付けで耐熱合金用『ワンカットラジアス』の発売を開始した。
耐熱・チタン合金加工において、びびりを低減し高速・高能率加工を実現するラジアスエンドミル―――が開発のコンセプトだ。

耐熱合金用ワンカットラジアス DV-OCSAR形
耐熱合金用ワンカットラジアス DV-OCSAR形
特長は、すくい角がポジで切れ味が良く溶着を低減すること、不等分割・不当リードに加えコーナR部にまで不等リードを採用(特許出願中)し、びびりを低減。このびびりの低減により、コーナR部や薄肉ワークでも加工面が良好であり、ねじれ角は42°から45°で切削抵抗が低いことである。熱伝導率が高い母材と耐熱性の高いコーティングの組合せで耐熱合金加工に威力を発揮する工具なのだ。

そうしてまた新たに2月22日、耐熱合金用『EZドリル EZSM形』が発売開始になった。
耐熱・チタン合金といえば、熱伝導率が低いため、高切削温度となり、かつ工具材料との親和性が高いため溶着を生じやすいやっかいな材料である。これを高能率・長寿命加工を実現する耐熱合金専用ソリッドドリルが、『EZドリル』なのだ。

木村 営業企画課課長代理
木村 営業企画課課長代理
「先に発表した『ワンカットラジアス』で、耐熱合金用のエンドミルが揃い、ドリルもあればセットで売れる可能性もありますが、実はドリルを市場に出すかどうか迷っていたところもあるんです。良い製品だということは分かっているのですが、ユーザーの需要がどこまであるのか分からなかった。長い間迷っていた製品なんですよ」と話すのは、同課長代理 木村 聡氏。


実際、同社の耐熱合金用工具は某大手航空機メーカーにも採用され、実績がある。ところが、市場に広く耐熱合金の加工があるか、となったら掴みきれないところがあった。ドリルの発売を後押しした理由はどんなことだったのか。
耐熱合金用EZドリル EZSM形
耐熱合金用EZドリル EZSM形

「耐熱合金用専用のドリルはほとんど市場に出回っていません。実際、耐熱合金といえば、ステンレスを削るものを勧められることが多い。ところがステンレス用だと耐熱合金を加工すると工具の寿命が短くなります。ユーザーが耐熱合金を加工して本当に工具の寿命に満足してくれるような製品にしようと考えた。エンドミルも出たし、スローアウェイも出す予定でいますし、ここでドリルを出せば耐熱合金を熟知したダイジェットならではの耐熱合金用工具がこれで一通り揃えることが可能になります。耐熱合金の加工ならダイジェットに任せて下さいと自信をもって勧めることができます」(田渕氏)

安定した切削性能の秘密はコーティングにあり!

このホカホカの新製品『EZドリル』の特長は、酸化開始温度が高く耐熱性に優れる“DVコート”を採用していることだ。

図にあるとおり、従来のコーティング皮膜に比べてはるかに高硬度かつ酸化開始温度も高い。また、溝部に特殊な表面処理を施すことにより、溶着の発生を抑制している。

「熱に強く、硬さも3500HVを誇ります。特に耐熱・チタン合金を加工する場合、被削材自体の熱伝導率が悪いので、削っている刃先に熱がこもりやすい。それによって刃先の温度が工具の耐えられる温度を超えてしまって刃先がボロボロになってしまうんです。それをこの“DVコート”を使うことで耐えられるようにしたのです」(田渕氏)

全サイズクーラント穴付き
全サイズクーラント穴付き
記者がドリルを触ってみたところ、滑らかな感触を知ることができた。溝断面形状を大きくし、切り屑排出がスムーズな点も魅力であろう。サイズもφ3~φ12(全26アイテム)加工深さ3Dc、全サイズクーラント穴付きである。

最後に、田渕氏、木村氏は揃って「これで耐熱合金用はダイジェットの工具で一揃えできますのでよろしくお願いいたします!」と笑顔を見せた。

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