平成22年度新機械振興賞の受賞者が決定

機械振興協会(会長=庄山悦彦氏)がこのほど平成22年度の新機械振興賞の受賞者を決定した。今年度は23件(うち中小企業6件)の応募の中から経済産業大臣賞1件、中小企業長庁長官賞1件、機械振興協会会長賞3件が表彰される。

この賞は、従来の機械振興協会賞(昭和40年度創設)と中堅・中小企業新機械開発賞(昭和45年度創設)を統合し、平成15年度に発足したもので、今回が第8回目にあたる。
表彰対象は、独創性、革新性および経済性に優れた機械工業技術に係る研究開発およびその成果の実用化により新製品の製造、製品の品質・性能の改善または生産の合理化に顕著な業績をあげたと認められる企業等および研究開発担当者である。

表彰式は来年2月24日(木)、東京プリンスホテルマグノリアホールにて午後3時から行われる。

経済産業大臣賞「省エネ小型低圧ダイカストシステム」

デンソー/東洋機械金属/宮本工場所

日本のダイカスト加工は高い品質、大型設備での大量生産コスト競争力をあげてきたが、設備が大きくグローバル展開しにくい、多くのエネルギーを必要とするといった課題があった。本ダイカストシステムは加工プロセスに踏み込み、従来、鋳巣をつぶすために高い圧力が必要であると言われてきた圧力を1/2にしても同等の品質が得られる小型システム化に成功し、従来の概念を書きかえる可能性のある新製造技術として確立した点が高く評価された。


中小企業庁長官賞「廃塩ビ壁紙リサイクルシステム」

アールインバーサテック/東京都立産業技術研究センター

塩ビ壁紙廃材は年間10万トン発生しているが、大半が焼却処理あるいは埋め立て処分となっているのが現状である。廃塩ビ壁紙の資源化に向け、10ミリ角程度に細かくする前処理装置、塩ビ樹脂とパルプに分離する高速遠心叩解機による微分化装置、混在している樹脂粉とパルプふぁいばーを遠心力、気流などを利用して分離する分離装置を開発し、従来困難とされていた廃塩ビ壁紙の「塩ビ」と「紙」を分離し、亮素材のリサイクルを可能にした点が高く評価された。


財団法人 機械振興協会会長賞

「多柄たて糸準備システム」 片山商店/村田機械/桑村繊維/兵庫県立工業技術センター

消費者の個性化・多様化が進み、生産現場では某大な数の織物の試作による、高コスト・長納期が問題になっている。この問題を解決するために、確実に糸と糸をつなぎ合わせる技術の確立、たて糸整経工程での糸の身長差によるばらつきの除去、糊付け工程に必須の5段畦取りの自動化、作業中の人為ミスを防ぐ技術の確立等により、従来不可能であった1回の段取りで、複数柄の記事を折ることができるシステムを実現した点が評価された。


「自動路面描画装置」 技工社/アクト

人が道路路面へ表示する文字・記号などの作図を行っていた作業を自動化する路面描画装置を開発した。本装置は、路上におかれた2本の基準ポールに路面描画装置からレーザーを照射させ、距離と角度で地震の自己位置を認識し、作図エリア内にCADデータで指定された位置に図柄を作図する業界初の装置であり、広範囲の路面に十分な精度で描画を行う実用的な技術に仕上げている点が評価された。


「瞬時起動アイドリングストップシステム」 マツダ

信号待ちなどでエンジンを止めるアイドリングストップは、消費改善に効果があるものの、再始動に時間がかかり普及しなかった。この問題を解決するためエンジン停止時に筒内掃気およびピストン停止位置制御を行い、再起動時にエンジン内部に燃料を直接噴射し爆発させて、主に燃焼力により再始動させる方式を開発した。その結果、これまでの再始動システムに比べ、約半分の0.35秒でエンジンを始動させることができるアイドリングストップ技術を実用化し、普及させた点が評価された。

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