森精機入社式訓示 「照れない、かまさない、いばらない」
新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。
昨年度は、欧州における金融不安や中国の経済成長鈍化、歴史的な円高などで当社を取り巻く環境は厳しい状況にありました。しかしながら、昨年末の政権交代後の円安の流れを受け、また、北米への製造業の回帰による設備投資の増加や欧州の回復基調など明るい話題も出てきました。
大きな被害をもたらした東日本大震災から2年が経ちました。先日、南海トラフ巨大地震の被害予想が新聞各紙などで大きく取り上げられていました。当社でも大震災から学び、災害対策を打ち立てていますが、日ごろから災害に備えることが重要です。また、震災を契機に、世の中では省エネへの取り組みが、加速度的に進みました。当社では、震災前より工場の効率化などの取組みで省エネを進めてきましたが、震災後は毎日、節電会議を開いてアイデアを出し、更なる節電に取組み、2012年の夏は2010年に比べると25%の電力を削減することができました。
現在、世界の人口は約70億人ですが、2050年までには90億人になります。すなわち、これは日本の重みが下がるということです。現在、60歳や70歳の世代の方々が、皆さんと同じ新入社員のとき、世界人口は40億人で、その中の1億人が日本人でした。当時、40億人の中で日本人と同等の生活レベルを送ることのできた人々は4億人程度で、すなわち日本の重みは25%で、全世界のあらゆる情報は日本語に翻訳されて入ってきました。しかし、皆さんの置かれている状況は全く条件が違い、現在、日本の重みは5%程度しかありません。このことは、半分以上の情報は日本語に翻訳されないということですので、自らが英語などで書かれている情報を取りに行く必要があります。
当社は提携先のDMGと協業の促進を強化しており、今秋には社名も「DMG森精機」に変更します。グローバルに展開する当社において、今後はますます英語をはじめとする語学力がビジネスを行う上で必要となってきます。また、語学だけでなく、技術に関することや会計や貿易実務などの勉強をして頂くことになりますが、自らのキャリアや人生設計を考えた上で、5年や10年計画で技術・技能を修得することが重要です。定年が引上げられ、皆さんは65歳まで現役で過ごすことになりますが、技術・技能の向上だけでなく、その年齢まで働くことのできる健康を維持することも重要となってきます。しかし、知識だけでは頭でっかちになりますので、その知識を活かす知恵も大切です。仕事を続けていく中では、知識と知恵のバランスが非常に大切となります。
最後に、「照れない、かまさない、いばらない」という言葉をこれから常に念頭おいて会社人生を送って下さい。この言葉は先代の社長から受け継いだ言葉です。照れずに自分の意見をきちんと話す、知らないことは知らないとして真面目に学び、これから出会う様々な方の話に耳を傾け、常に謙虚な姿勢を心がけて下さい。
仕事を通して人生を豊かなものにするため、お互いに切磋琢磨して頑張りましょう。
2013年4月1日 森精機製作所入社式 社長 森 雅彦