NSKが自動車向けステアリングシステム用「ハンドル位置の新固定機構ウェッジギア方式」を開発

日本精工(社長=大塚 紀男氏)は、自動車の衝突時の乗員の安全性向上に寄与するステアリングシステム用「ハンドル位置の新固定機構ウェッジギア方式」を開発した。この製品は、欧州や日本などで販売されているVWのコンパクトカーUp!(アップ)他に搭載されており、この他グローバルに幅広い車種に対応可能である。

ステアリングシステムは、ハンドルが取り付けられ、ドライバーが曲がりたい方向に操舵(ハンドルを切る)して回転(操舵角と操舵力)をタイヤへ伝え、ステアリングシステムにはドライバーの体格や好みに合わせて、ハンドルの高さや前後の位置を調節出来る機能がある。

一方、衝突の際には、ステアリングコラム自体が前後に縮むことでドライバーへの衝撃を緩和する。さらには、エアバッグはシートベルトとともに乗員を保護し、衝突の際には、乗員は膨らんだエアバッグに衝突することで、頭部や胸部がハンドルなどに直接衝突することを防ぐ。このため、ステアリングコラムは、上下に動かず、エアバッグが作動する際の大きな衝撃を支えることが求められる。

従来のステアリングコラム用固定機構は、複数の鋼板を重ね合せて摩擦により保持する多板式が広く使われているが、この方式では、鋼板の隙間が充分に取れないため、ハンドル位置調整の際、複数の鋼板が摺動し、スムーズに動かせない場合がある。また、摩擦力が不安定なこと、更には充分な固定力を得るためには多くの鋼板が必要となることや部品点数と重量が増えることも課題となっている。
製品の特長と効果は以下のとおり。

(1)ハンドル位置固定力を従来比26%向上
受け手のギアの表面に微小な歯を供えたくさび(ウェッジ)を噛み込ませることで、ハンドル位置固定力を従来品比26%向上させた。この結果、ステアリングコラムが固定され、エアバッグが作動する際の大きな衝撃を支え、乗員の安全性を向上した。 

(2)スムーズなハンドル位置の調整 
くさびと受け手のギアが接触せず、ハンドル位置をスムーズに調節できます。また、微小な歯の噛み合いで、ハンドル位置を固定するため、細かに調整出来、ドライバーの快適性を向上した。

(3)部品点数削減
従来の固定機構に比べて部品点数が7割少なく、組立工程が簡素化でき、生産性を向上した。

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