金型生産技術に関するニーズが満載! 「INTERMOLD2013」をレポートする

「INTERMOLD2013」が4月17日(水)~4月20日(土)のあいだ、東京ビッグサイトで華々しく開催された。今回は、前回を上回る規模のもと、金型生産技術に関するニーズに応える各メーカー製品に多くの来場者が魅了された。
加工工程短縮にみる経済効果はもちろんのこと、製造現場の課題解決に向けた各社の意気込みが見てとれた。記者が見た「INTERMOLD2013」をレポートする。
(愛知産業、イワタツール、オーエスジー、大阪機工、ダイジェット工業、大昭和精機、ナガセインテグレックス、日進工具、日立ツール、ブルームLMT、牧野フライス製作所、三菱マテリアル、森精機製作所、安田工業、ユキワ精工、碌々産業)

「注目の『ハームレ』のほか5軸治具も経済効果抜群」愛知産業

今回はハームレ社「C30」が展示されていた。このCシリーズには多くの保護機構を備えている。スピンドルに対応する“衝突吸収ブッシュ”はクラッシュ時のZ方向の衝撃をこのブッシュが変形することによって吸収する。また、ハームレの大きな特長といえば人造一体型フレームの採用だが、剛性が高く、温度変化が少ない、振動・共振しにくいといった基本要素が得られ、高い精度を実現している。なお、「C30」の横に展示してあった5軸の治具は、3mmしか掴みシロがないのが特長で、廃材が少なくて済む優れた造りとなっている。

「高硬度用穴開け工具『トグロンハードドリル』が好評」イワタツール

イワタツールは人気の「トグロンハードドリル」を展示。金型メーカーから“焼き入れ鋼の深穴ができる工具が欲しい”との要望から生まれた工具である。中でも同シリーズのロングドリルは世界初、焼入れ鋼に20D以上の貫通穴加工を実現している。真円度・円筒度・面素度が非常に優れており、この工具で金型のイジェクターピンなどの穴加工も下穴無しで一発加工が実現できる。工程短縮により納期の短縮が期待できる工具だ。

「生産性向上を目指す金型メーカーに『PHXシリーズ』で貢献」オーエスジー

生産性向上を目指す金型メーカーに保有設備の能力をフルに使って更なるコストダウンと短納期を実現してもらいたい・・・そんな思いを前面に押し出し展開していたオーエスジーは、「Phoenixシリーズ」を展示。「Phoenixディープフィーダーブルノーズシリーズ」は、従来品ハイフィーダーブルノーズ(PHX-CRT)の3次元ネガ形状に、ディープフィーダーボールシリーズのThermolysis効果をプラス。究極のブルノーズでびびりやすい深い部位の加工や難削材加工により高能率を実現している。

「ベストセラー機を一新した『VM/Rシリーズ』に注目」大阪機工

OKKの注目マシンは「VM/Rシリーズ」。ベストセラー機を一新、本体剛性と主軸剛性を高め、切削性能をさらにアップさせた。各送り案内面は精度と剛性に優れた角形すべりガイドを踏襲。一般部品加工からチタン加工などの難削材部品の加工まで対応している。展示してある「VMR53R」は、重切削・高精度加工を可能にし、優れた操作性を追求し、また厚肉リブとダイヤゴナルリブ(三角リブ構造)の組合せにより重切削での剛性を維持している。

「高硬度材の加工に貢献!」ダイジェット工業

高硬度材の直彫り加工用工具をメインに展示をしていたダイジェット工業。「QMマックス用ミラーチップYPHW10形」は、高硬度材の高能率かつ高精度な底面・側面仕上げ加工を追及したチップで、硬度60HRCのワークの側面仕上げ加工に切削速度160m/min、加工面粗度Rz=0.6μmの高速・高精度加工を実現している。また、「QMミル用ハードチップEOHW06形」も超多刃仕様により究極の高速加工を実現する工具として注目を集めていた。

「画期的! 先端穴から給油する油圧チャック式ホルダ!」大昭和精機

 
BIGの愛称で知られる大昭和精機は今回、他にはないハイドロチャックに先端穴から給油できるジェットスルータイプを展示していた。干渉対策を極めたスリムなボディは高精度5軸加工機による機械回り、ワーク干渉等の問題を解決し、刃具寿命アップに大きく繋がる最適な造りになっている。振れ精度、4d先端3μm以下であることも特長だ。レンチ1本で簡単チャッキングも嬉しい。完全密封構造で油漏れの心配もない。

「ナガセの最高傑作! 超精密成形平面研削盤『SGC630α』ナガセインテグレックス

今回のナガセインテグレックスは、“新しいナガセの顔”とも言える最高傑作と噂の超精密成形平面研削盤『SGC630α』が展示されており注目を集めていた。このマシンのコンセプトは「妥協なき精度の追求。従来とは次元の異なる超鏡面、超形状創成加工を可能にするマシンだ。サブミクロンの形状精度で、中から順大型ワークの超平面・平行加工が可能であり、ナノマシン並のNC指令追従性能を実現している。

「究極の微細加工のための工具を展開」日進工具

サンプル品も多数展示していた日進工具はレンズ形状に鏡面加工をしたものなど、新しい技術を展示。超硬合金への仕上げ加工で名のレベルの面粗さを実現した「PCDボールエンドミル」は、安定した加工面を得るためのユニークな工具デザイン。3次元仕上げ加工において名のレベルの面粗さを得られ、磨きレスが可能となっている。R0.05~R1全10サイズが揃っている。

「他にはないインサートタイプの4枚刃!」日立ツール

日立ツールは刃先交換式4枚刃ボールエンドミル「アルファボールプレシジョンマルチフルート」を展示。珍しいインサートタイプの4枚刃だが、これは同社が独自のインサート固定方式を考案し、仕上げ用刃先交換式ボールエンドミルの4枚刃化を実現したもので、最新・最高速マシンに対応した工具だ。従来品比、加工能率は2倍、寿命は3倍以上、同一切削送りはvfの場合、寿命は5~6倍となる。

「劣悪な環境下で最高の測定精度を保証」ブルームLMT

ブルームLMTは、ハイテクレーザーシステム「Laser Control NT」を展示していた。この製品は、劣悪な環境下で最高の測定精度を保証するもので、安定したワーク加工品質の確保、最小限の設備停止時間の実現に貢献している。工具段取り時間の削減、無人化運転、不良品質の低減などに効果が高く、次世代レーザー計測技術が詰まったシステムである。

「大物金型の高速高精度加工に『MCC2013VG』」牧野フライス製作所

牧野フライス製作所のブースで一番目を引いたのは、大きな横型マシニングセンタ「MCC2013VG」。 このマシンは大物金型の高速高精度加工に必要な機能を標準装備している。頑丈な多リブ構造と、段取り作業を削減し、短い工具での加工が可能なインデックステーブルが魅力的なマシンだ。精密に研磨された本体と一体の案内面は高い精度と剛性を確保している。

「MSplusエンドミルシリーズはアイテム増!」三菱マテリアル

三菱マテリアルは「MSplusエンドミルシリーズ」にロングネック232アイテム、ボールエンドミル計292アイテムを豊富に取り揃えて展示。(Al,Ti,Cr)N積層コーティングが幅広い被削材で優れた耐摩耗性を発揮する工具として注目を集めていた。金型の抜き勾配など外周切れ刃まで使用する場合、表面粗さが良好である。



「非加工時間を短縮するゼロチップマシン『NVX5100Ⅱ/40』」森精機製作所

画期的なゼロチップマシン「NVX5100Ⅱ/40」を展示していた森精機製作所。ゼロチップとはグラファイトやCFRPなどの加工時に発生する大量の粉塵を回収する装置のことで、ドライ加工にのみ対応可能となる。これにより機内の清掃時間を大幅に削減でき、非加工時間の短縮、保守性向上を実現するもので作業者の健康被害の予防を図ることができる。回収したドライな粉塵は再利用及び廃棄が容易になる。

「微細加工分野をターゲットにした『YMC 430VER.Ⅱ』」安田工業

“医療機器”、“IT関連”、“小型精密金型”に代表される微細加工分野をターゲットに開発したマシン「YMC 430VER.Ⅱ」を展示した安田工業。今回は特別に桜の絵がマシンに描かれており、ひときわ注目を浴びていた。全軸リニアモータ駆動により、高速・微細運動においても高い形状精度を実現。徹底した熱対策により、長時間にわたる高精度加工が可能であり、また振動対策により加工面性状を向上している。

「加工現場の経済性を高める『グリーンGチャック』」ユキワ精工

ユキワ精工はグッドデザイン賞2012 グッドデザイン・ものづくりデザイン賞受賞 中小企業長官賞を受賞した「グリーンG1チャック」が展示されていた。外観の美しさはもちろんのこと、高速・重切削時に発生するびびり振動を抑制する内部に振動減衰機構を設けることで工具への負担が大幅に軽減している。加工の高速・高速度化、高精度化、高能率化を追求し、加工現場の経済性を高めるうえ、廃棄物排出低減に貢献することができ、環境面にも配慮した製品だ。

「人気の『MEGA S』で極小径微細加工領域を切り開く」碌々産業

碌々産業の人気マシン「MEGA S」。このマシンの特長は門型構造のキーポイントである“コラム一体ほこら式クロスレール”を一体化した基本構造を採用していることだ。カテナリ曲線で中央部の剛性をアップしたクロスレール、コラムが上下左右ほぼ4正方形をした低重心構造によりクラス最高水準の剛性と減衰性を実現した。また、テーブル作業面高さを750mmに設定し、加工視認性と作業操作性の両立を徹底解析するなど、毎日の作業負担を大きく軽減するとして評価が高いマシンである。

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