平成 24 事業年度 マザック高度生産システム研究助成者発表並びにマザック高度生産システム優秀論文賞表彰式を開く

マザック財団(理事長=棚橋祐治氏)は、平成24 事業年度マザック高度生産システム研究助成の対象23 件、若手研究者の優秀論文を表彰する顕彰事業のマザック高度生産システム優秀論文賞14 件、国際会議援助の対象3 件を併せて決定し、5 月24 日、ヤマザキマザック美濃加茂製作所内・ワールドテクノロジーセンタ(岐阜県美濃加茂市)にて研究助成者の発表と優秀論文対象者への表彰式を行った。

マザック財団は、ヤマザキマザックの基金拠出を受けて1981 年(昭和56 年)8 月に設立された研究助成財団。設立目的は、機械の生産において工作機械を中心とした高度生産システムに係わる研究開発、利用等に関する援助及び助成を行うとともに、国際的技術交流を通じて機械の生産技術の高度化を図り、わが国及び世界の機械産業の発展に寄与すること、高度生産システムの振興である。

設立時の名称は「高度生産システム振興財団」だったが、その後1998 年に現在の名称である「マザック財団」に改称した。また、2012 年4 月1 日には公益財団法人への移行が認可され、今後も広く世界の産業界の生産技術の高度化に貢献しいくとして、設立以来これまで32 年間、継続して積極的な援助・助成活動を続けている。

平成24 事業年度の研究助成および論文表彰の内容

同財団は、高度生産システムに係わる、生産技術・機械要素・情報通信技術・制御技術・工作機械・ロボットなど周辺機器の新技術開発に取組んでいる国内、海外の個人及び大学、研究機関に対して援助・助成を行っている。平成24 事業年度においてもこれらの多岐に亘る研究助成の申請や論文が寄せられた。最近は外国籍で日本の大学や研究機関所属の研究者からの申請も増えてきており、また、若手研究者の応募もあり、製造技術研究に携わる技術者の若返り及び国際化の傾向がみられ、「大変心強く感じられた」としている。
今回の研究助成ならびに論文表彰の内容は、いずれも生産性や加工精度を大幅に向上させる新技術として高く評価された。

1) 研究助成
研究助成は、応募総数34 件の中から23 件を選定しました。

(代表例)
熊本大学先進マグネシウム国際研究センター 教授 峠 睦
<論文のテーマ>
『UV アシスト研磨によるダイヤモンド工具切れ刃の鋭利化と切削性能評価』
<内容>
紫外線照射援用超精密研磨法(略して、UV アシスト研磨)は、ダイヤモンド基板、SiC 基板の無ひずみ研磨に成功、高く評価されている。
この技術を多結晶ダイヤモンド製工具等の切れ刃の鋭利化に利用して、従来にないシャープな刃先を作成することに成功している。この技術をより多方面へ応用。
① アルミマグネシウム合金(Al-Mg 合金)
② 炭素繊維強化プラスチック(CFPR)
③ シリンダブロック材用アルミ鋳造合金(ADC12)等の加工に適用すれば、加工品位を大幅に向上し、生産性を大きく改善できることが期待される研究技術である。

2) 論文表彰
論文表彰は2002 年より継続。
今回、応募総数16 件の中から優秀論文14 件を選定した。

(代表例)
金沢大学理工研究域機械工学系 助教 岡田 将人
<論文のテーマ>
『傾斜機能材料を用いた切削工具の開発 – 層角度制御による耐欠損効果の検討 -』
<内容>
高能率金属加工を実現するための切削工具材料特性とし、直接切りくず仕上げ面と接する表層部は、高い高温硬度が一方内部に向うに従い、靭性に富む材料組成とする傾斜機能材料が優れた特性を示すことが実証されている。
その特性をより高める為に、傾斜材料の層角度を切削抵抗の作用方向に対して垂直にすることにより、大幅に工具寿命を改善できることをコンピュータシミュレーション及び実切削により実証した工業的価値の高い研究である。

3) 国際会議援助
本年は4 件の申請に対して3 件の援助を行った。この分野でもマザック財団が高く評価され、年々期待が高まっている。

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