ライフスタイルの多様化

人々のライフスタイルも多様になった。
少子高齢化に収入の低下、はたまた失業の恐怖、病気への不安などなど、人は悩みがつきない。

少しでも安定した生活を送りたい・・・と誰もが願うだろうし、当たり前の欲求であるが、安定した生活には安定した収入が必要というもの。少しでも生活を豊かなものにしたいのは、若者だろうが高齢者だろうが男性だろうが女性だろうが中性だろうが、みんな一緒の欲求だと思う。

ところがどういうわけか、最近、ニュースをみていて日本は本当に先進国なのか? と疑わしいと思うことが度々ある。

最近、ものづくりに女性の活用を! みたいな流れが目につくけれど、どうも議論が女性の苦労話にばかり視点がいってしまう。そりゃあ、私も女性なので、その苦労はよく分かっているつもりだ。過去にもオンナはすっこんでろ! みたいなことがあったり、イヤラシイ写真を堂々と見せつけたりする人もいた。なんとなく、そういう発想は中高年の発想だ、と思いやすいが、ところがどっこい、そういう環境下で育成されると、そういう発想を若くても持つものだ。まぁ、こういう類いはすでに時代の遅れをとっているので、ここでは省くことにする。

さて、話を元に戻す。
私がなにを言いたいかというと、女性の活用を! と言っているわりには、ニュースをみても議論の内容がパッとしないということ。すでに女性の活用は当たり前になっているというのに。

ここで注目して欲しいことがある。
女性の多くは出産を経験する。つまり働けない期間が出てくるが、仕事が好きでたまらない、あるいは、少しでも豊かな生活が送りたいなど、働く動機が当たり前にあることは、なにも特別なことじゃない。今度は、同じ、働きたくてもフルタイムで働けない事情のある、たとえば、介護の必要な家族がいる方はどうだろう。働きたくても働けない事情があるのはなにも女性に限ったことではない。人にはそれぞれ働く理由があるのだ。

独り身の女性も男性も家庭を持つ方も、それぞれ生活環境は様々なわけであり、どんな人でも生活するためには収入がいる。収入を得るためには働かなくてはいけないし、働く土壌であるわが国では少子高齢化などの社会問題もあり、様々な観点からみても日本は労働力が必要だといえるだろう。

さて、その一方、雇用する側もいろいろ悩ましいところがある。

最近取材したイワタツールさんの場合、ちょうど妊娠・出産を経験した女性や高齢者の従業員(最高79才・最近リタイアした)の話も経営者から聞くことができた。そこで感じたことは権利と義務がとてもバランスよく保たれていたということだ。権利ばかり主張して義務を放棄する社員が増加すると、会社は間違いなく傾くだろう。

働く女性は当たり前に増えている。最近はパワハラ、セクハラ、マタハラ(マタニティーハラスメント)、中高年イジメ、などなどいろんな問題がある。いまさら、女性の活用をどうするか、なんて、そもそも時代遅れのナンセンスな発想だと思う。性の観点から物事を捉えるより、“適性”を重要視したほうがいいと感じる。

製造業はサービス産業と違い、いろんな人々が働ける土壌がある。
今、議論しなければならないことは、“性別や年齢を理由に余計な先入観など抱く必要もない風土をどうやってつくるか”―――だろう。
いろんな人々が社会を構成しているのだから。

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