年頭所感(日本冷凍空調工業会/日本フルードパワー工業会/日本ベアリング工業会/日本工作機械輸入協会)
「省エネに関する日本の技術力・製品は世界のトップ水準」
●日本冷凍空調工業会 会長 有馬秀俊
年頭にあたり謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
旧年中は、皆様より当工業会に対し格別なるご指導、ご鞭撻、ご支援を賜り、心より厚く御礼申し上げます。本年も宜しくお願い申し上げます。
平成22年を振り返って
平成22年の世界経済を振り返りますと、中国・インド・ブラジルなどBRICsを中心とした新興国や資源国が力強い経済成長を遂げる一方、日米欧の先進国ではギリシャ財政危機に端を発した欧州の金融不安が世界的に影響したことや年末には欧州の財政不安が再燃したこともあり、世界全体として本格的な経済回復基調に至りませんでした。
日本経済においては7月から急激な対ドル円高基調となり、11月1日には15年ぶりに80円21銭の最高値を付け、年末でも80円台前半の円高水準という大変厳しい年となりました。こうした円高基調や、世界的な経済危機の影響による需要の低迷、またレアアースを始めとした資源の価格高騰等は、産業界に大きな影響を与えました。
こうした環境下、当工業会におきましては、昨夏の猛暑及び政府のエコポイント政策によりエアコン需要は、前年度を大幅に上回る成績を上げることができました。エコポイント制度の付与ポイントが半減する12月を目前にした11月の駆け込み需要により暖房シーズンのエアコンも大幅に需要が喚起され、生産体制の増強が継続しております。
以上の状況の中、上半期の生産・出荷額は前年を上回る実績となりました。
具体的には、上半期の生産額は9,171億円(前年比107.8%)
同じく出荷額は 1兆235億円(前年比109.3%)
となりました。
国内における製品別出荷状況を当工業会の自主統計ベースで見ますと、は家庭用エアコンが515万台(115.8%)、業務用エアコンが37万台(112.4%)、家庭用ヒートポンプ給湯機が27万3千台(111.6%)、カーエアコンが245万5千台(119.9%)と二桁の伸びとなっています。
また冷凍冷蔵ユニットが1万7千台(103.2%)、冷凍・冷蔵ショーケースが13万3千台(104.0%)と堅調に推移しましたが、ガスエンジンヒートポンプエアコンは7千台(82.9%)と苦戦をしました。
輸出につきましては、1,811億円、(123.2%)となり、全体的には経済危機の影響を大きく受けたものの、堅調に推移しました。
平成23年を迎えるにあたって
平成23年の世界経済は、新興国の経済成長に牽引される形での海外需要の回復等を背景に景気持ち直しが期待される一方、朝鮮半島の政治的な不安定、欧州の財政不安の再燃、米国の景気の先行き不透明感が市場を揺さぶる要因としてクローズアップしています。日本国内においては世界経済とリンクする円高基調による生産拠点の空洞化の懸念、エコポイント制度の終了等、景気を下押しするリスクの存在にも留意する必要があります。
当工業会においても今後の動向を慎重に見守りながら事業運営を推進することが必要であると考えています。
当工業会では近年冷媒をめぐる様々な課題が顕在化しています。
これらの課題を踏まえ、23年度は当工業会としては以下の3点を重点施策にしていきます。
Ⅰ.温暖化影響をめぐる冷媒問題の適切な対応
Ⅱ.事業のグローバル化対応
Ⅲ.性能検査にかかわる新財団の設立
Ⅰ.温暖化影響をめぐる冷媒問題の適切な対応
日本はオゾン層保護のためのHCFCの転換は世界に先がけてほぼ終了しましたが、HFCの大気排出による地球温暖化問題が大きな課題としてクローズアップされてきました。
昨年11月メキシコのカンクンで開催された気候変動枠組み条約COP16>におけるポスト京都議定書の延長の動きや国内における法規制等によっては当工業界の事業は、大きく影響を受けることは必至であり、必要に応じて業界としての主張を各方面に働きかけて参ります。
具体的には、下記に示した項目について取組んで行きます。
(1)冷媒漏洩対策と低GWP冷媒の検討
「HFCの責任ある使用原則」の精神に則り、行政の協力を得ながら、使用時の冷媒漏洩を削減し、整備時・廃棄時の冷媒回収の向上を図ります。
一昨年より始めた「冷媒の見える化」を継続推進し、ユーザーへの周知活動を幅広く行うことによって、回収量向上に向けた実行性ある具体的取組を引き続き推進していきます。
昨年秋には冷媒漏洩対策のためのガイドラインを制定し公表しましたがこれらの具体的な実現に努めていきたいと思います。
現在HFCに代わることができる理想的な冷媒の開発は実現していませんが
HCFC、HFC代替として様々な新冷媒が提案されています。
何れも、温暖化影響の大きさ、安全性、性能面で課題が多くあります。工業会としてはこれらを総合的に検討し、将来に向けた代替技術の可能性を積極的に追及していきます。
(2)ヒートポンプ機器・省エネ機器の開発と普及拡大
ヒートポンプの性能は既に実用上の限界に近づきつつありますが、さらなる省エネを進めるためには新しい概念やシステムの開発が必要であり、業界あげて開発に取り組んでいきたいと思います。
また我が国の冷媒転換の経験を生かし、発展途上国におけるHCFCからの転換等について協力して参ります。
ヒートポンプ技術は温暖化防止の重要な技術の一つですので、これらの国際的な普及拡大にも力を入れていきたいと思います。
Ⅱ.事業のグローバル化対応
一昨年の世界的な経済危機の影響を受けてから冷凍空調機器の需要は完全に回復したとは言いがたい状況ですが、長期的に見ると、経済成長が旺盛なアジアを中心に世界市場の拡大が期待でき、2020年の冷凍空調世界市場は現在の2倍の規模にもなると予測されます。冷凍空調分野は、我が国の産業として有望な成長株であります。
特に省エネに関する日本の技術力・製品は世界のトップ水準にあり、環境対応もあいまって世界各国のニーズに十分応えられると思います。ヒートポンプ技術で世界の先端を走る日本の業界は世界市場で大きな存在感を示すことが可能です。
冷凍空調事業のグローバル化が進んでいるため、今後ますます国際的な連携が重要と考えています。欧州等の各種規制の強化や各国の規格等の制定に対していち早く適切な対応が必要であり、欧州事務所での活動をさらに拡大していきたいと思います。また各国の工業会と連携した運営をすることで事業の継続的・安定的な発展に寄与して行くとともに、環境問題についても、「モントリオール議定書締約国会合 公開作業部会」や「ICARHMA(冷凍空調工業会国際評議会)」や「日中韓工業会会合」などの参加メンバーとの交流を通して、国際的な連携、貢献を図って参ります。
Ⅲ.性能検査にかかわる新財団の設立
当工業会の検査検定事業は第三者的機関による製品性能保証という役割を担っており、30年以上の歴史があります。その間、市場の拡大と製品性能の向上等に果たした役割は大きなものが有ると考えています。
昨年度は4月にパッケージ・GHPの新試験設備が竣工し、23年度よりGHPも本格的に検定制度導入をおこないます。更にはヒートポンプ給湯機の検定制度の構築とそれに伴う新設備導入を計画しています。
また、冷凍空調機器の性能評価の一層の透明性・公平性に配慮することが、社会的に強く要請されている状況を鑑み、性能検査を行う新財団法人を今年4月に設立予定です。新財団法人は、当工業会から業務委託を受けて性能評価及び認証を行う第三者機関となります。この新財団法人は公平且正確な性能情報を提供し、我が国の冷凍空調産業の発展と国民生活の向上に貢献していくことを目的として活動をして行きます。
新財団法人の海外活動としては昨年に引き続き中国やベトナムの新興国に対する性能評価基準策定評価方法等の積極的な支援を行っていくと共に、欧米の性能検査機関とも将来の相互認証の実現に向けた交流を行って参ります。
「HVAC&R JAPAN 2012展」の開催準備
平成24年2月14日から4日間東京ビッグサイトにおいて第37回冷凍・空調・暖房展が開催されます。今年は開催準備の年となります。
本HVAC展では「あらゆる温度の未来が見える」をキーワードとし、当工業会の取扱製品が、あらゆる温度帯に対応できることや世界をリードする日本の高度な技術及びその技術力を背景とする新製品を発表・展示することで、世界に類をみない展示会を目指しています。
展示と同時に基調講演、企画セミナー、施設見学並びに当工業会の情報発信コーナー等の併催行事の実施により来場者数を増やし、出展者と来場者の新たな交流の場とすべく企画検討して準備してまいります。関係企業の積極的な御参加を期待しています。
今後の業界の活動方針について
我が国の基幹産業のひとつでもあります冷凍空調工業会の生産品は、ヒートポンプ技術を核に家庭から業務用における様々な生活環境の快適さを実現するとともに、食品の流通・保存に係わる冷凍冷蔵やカーエアコン分野、先端医療現場まで我々の生活には無くてはならないものであります。
また、ヒートポンプ技術の効率向上と用途の拡大は、世界的な課題の温暖化防止対策の大きな力になりうるものであり、更なる市場拡大と環境に配慮した高効率機器の開発や普及にも積極的に取り組んで行きます。また、機器の製造に大きく影響を及ぼすレアアース等の資材調達に関する問題は行政機関とも連携をとりながら、適切に対応するつもりです。
一方、これらの優れた商品を消費者の皆様に安心してご使用頂けるように、製品安全に係わる設計品質の更なる向上や、分かりやすい適切な性能表示の改善などに努めてまいります。
そして、長年培ってきた技術を活かし当工業会が今後とも発展し続け、社会から信頼される機関としての評価を高めるため、より一層の透明性や情報提供等へなお一層の努力を続けてまいりたいと存じます。また、世界的に認知される工業会を目指し、国際的な連携も深めて行きたいと考えております。
皆様方の尚一層のご支援と、関係省庁、関係団体、会員各社そして報道機関の皆様のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
「“省エネ技術”の提供は喫緊の課題」
日本フルードパワー工業会 会長 宮内壽一
新年明けましておめでとうございます。
平成23年の年頭に当たり一言ご挨拶を申し上げます。
昨年のわが国を取り巻く経済環境を見ますと、リーマン・ショック後のG7やG20参加諸国による緊急経済対策の実施によりアジアとりわけ中国やインド等を中心とする新興諸国の経済環境に明るさが戻り景気は回復基調で推移しました。こうした経済環境の好転はわが国の製造業界に旺盛な外需の需要をもたらし、一昨年後半からは多くの業界で外需を主体とした受注の急回復が見られました。一方国内を見ますと、エコカー補助金やエコカー減税さらにはエコポイント制度の導入等内需拡大策を背景に市場は明るさを取り戻し景気は全体的に堅調に推移してきたといえましょう。こうした状況を反映して7-9期までの実質GDPは4四半期連続してプラス成長を遂げましたし、株式市場も昨年9月の中間決算では多くの企業が増益傾向を示す等経済環境は明るさに包まれておりました。
しかしながらここにきて外需を支える為替の「円相場」がドルやユーロに対し急騰しており、加えてエコカー補助金の廃止やエコポイント制度の縮減等内需拡大策の終了に伴う反動減が見込まれる等景況感は厳しい状況にあるといえます。このため日銀は一段の金融緩和策の導入に踏み切りましたし、また、足踏み状態にある景気を下支えする補正予算が成立し、新成長戦略、公共投資等によりGDPを押し上げる効果があり、経済状況も好転すると思いますが、その持続力には不安も感じられます。一方、海外も米国の超金融緩和策は新興国のバブルの誘発懸念等を抱えており、また、EUの財政・金融不安等の問題もあり、内外の経済環境は厳しいものが予想され、先行きの不透明感の払拭までには至っておらず、今後の景気の推移には国内外とも慎重に対応する必要があると考えております。
ところで、私どもの業界動向ですが、昨年11月に5年振りにISOの国際会議を開催し成功裏に終了しました。また、一昨年来の需要業界の回復に支えられ出荷動向は回復基調に入りましたが、ここにきて一部に鈍化傾向も見られること等から円滑な補正予算の執行や平成23年度予算の年度内成立等適切な経済政策の実施が望まれるところです。
本年は、私どもフルードパワー業界にとつて3年振りとなります「第23回油圧・空気圧国際見本市(IFPEX2011)」が7月に開催されます。フルードパワー機器は、わが国の「モノづくり」を支える機能商品を提供する大きな役目を担っており、最新の技術や新製品を展示したいと考えております。また、今回も「水圧コーナー」を設置し、「駆動する水圧技術」を目玉に展示を予定しております。一方、急速に進展するわが国経済のグローバル化は、フルードパワー業界にもその対応を求めており、海外マーケットへの展開や高い地球温暖化対策目標の設定等から「省エネ技術」の提供は喫緊の課題です。会員各社の一層の対応をお願いする次第です。フルードパワー業界は「モノづくり」を支える重要な産業でありますし、今後とも大きな成長が期待されております。こうしたなかで業界としては、健全な競争と協調のなかで共に発展してゆくことが望まれます。
各需要業界の皆様方には更なるご支援、ご鞭撻をお願い申し上げ新年のご挨拶とさせていただきます。
「日本経済の発展に貢献できるよう挑戦を続ける」
●日本ベアリング工業会 会長 本間博夫
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
わが国経済は、リーマンショック以来回復過程を辿ってきましたが、直近の動向をみると、設備投資に持ち直しの動きがみられる一方、輸出、生産が弱含んできており、雇用も厳しい状況にあり、景気は足踏み状態であります。
このような経済情勢の中、先行きについては、新興国での回復などがあるものの、円高やデフレの影響など懸念材料も多く、依然として不透明といわざるを得ない状況です。
一方、ベアリング産業の動向をみますと、昨年の1月から10月までの生産額は前年比40%以上の高い伸び率を記録しました。月別の実績についても、10か月間連続で前年実績を大きく上回り続けております。しかしながら、これはリーマンショック後の大幅な落ち込みの反動増としての性格が強いものと考えられます。
平成22年度の生産額見通しは、6,200億円から6,500億円、前年度比2割弱の増加としています。上述の先行き動向を勘案しますと、年度後半(昨年10月~今年3月)は依然厳しい環境下にありますが、この目標を達成し、更には少しでもピーク時の実績に近づけるよう、本年も踏ん張り、ベアリング産業が引き続き拡大していけるよう、努力してまいりたいと存じます。
昨今の世界的規模での経済構造の変化を受けて、経済環境はめまぐるしく変動しています。こうした時代に、ベアリング産業が着実に発展を遂げていくためには、経営全般にわたる改革を推進することが不可欠であります。業界各社は、このための弛まぬ努力を続け、「ものづくり」の根幹をなす重要な機械要素産業として、需要業界のニーズに適切かつ迅速に応えてきていると思います。
当工業会としては、こうした業界各社の努力を念頭におきつつ、業界の発展と地位向上のため、ひいては社会貢献のため、今年もさまざまな取組みを行ってまいります。特に次のような取組みを推進していきたいと考えております。
まず、国際関係では、世界ベアリング協会(WBA)と当工業会独自での偽造品対策に関する取組みです。
WBAにおいては、偽造品対策や環境保護の分野でのグローバルな視点からの協力に引き続き努力してまいります。
これとは別に、当工業会が従来から独自に取組んでいる偽造品対策については、昨年から、上海ジェトロのIPG(知的財産権研究グループ)内に設置した、ベアリング・ワーキンググループによる取組みに重点を置いております。これにより、一層、効率的かつ迅速な取組みができるようになってきており、今年もこうした政府機関や他団体との連携事業に力を入れることで、更なる成果を挙げていきたいと考えております。
他方、米国との間の通商問題については、一昨年、WTOにおいて、米国が実施している計算方式である「ゼロイング」は廃止すべきとの決定がなされています。これに基づき、現在、WTO上の手続きについて、経済産業省はじめ日本政府が対応を進めてきておられます。我々としては、これに最大限協力してまいります。こうした対応が実を結び、WTOの決定に基づき米国が一刻も早くゼロイングを完全に廃止することを願っております。
ISOの関係では、現在、TC4(転がり軸受専門委員会)の組織再編について議論が行われており、新たなTC4組織において、日本がSC(分科委員会)の幹事国を担当するという提案が動いています。今までの日本の、そして当工業会のISOにおける貢献が高く評価された結果といえます。実現の運びとなれば、日本としてはベアリング分野での初めての幹事国就任となり、画期的なこととなります。これは、日本にとって有意義な活動を推進し、国際貢献を果たすために、大きな意味を持つこととなります。今年もこうした動きに適確に対応していく所存です。
また、喫緊の課題である地球環境対策では、当工業会は従来から日本経団連の環境自主行動計画に参画し、産業界の一翼として責任を果たすべく積極的に取組み、京都議定書の目標達成に向けて努力を続けております。今年も引き続き地球温暖化対策等の目標達成に向けて、業界全体で努力してまいります。また、来たるポスト京都議定書に向けても検討を深めてまいります。
更に、中小会員企業に対しては、「中小企業若手経営者の会」を軸として、政府の施策を迅速に情報提供するとともに、これに対する会員の疑問点や要望をリアルタイムで経済産業省に連絡し、会員による施策活用の円滑化を図ってまいりました。引き続き、中小企業経営にとって有意義な情報の提供や意見交換の場を設けて、皆様のご努力を支援してまいりたいと考えております。
日本ベアリング工業会は、今年も、こうした多方面にわたる取組みを強化し、各課題の解決に向けて、積極的に活動してまいります。
現在、世界経済は大きな地殻変動にみまわれており、とりわけ近年、中国などの新興国が目覚ましい経済発展を遂げております。こうした新興国の産業は、日本の「ものづくり産業」にとっては、大きなチャンスであると同時に、新たな競争相手にもなっております。
こうした中、「ものづくり」の分野を広く支えるベアリング産業の担う役割はますます大きなものとなってきていると思います。ベアリング産業として、日本経済の発展に貢献できるよう挑戦を続けるとともに、日本の「ものづくり産業」の拡大のため一層の努力を続けていく所存ですので、関係各位の引き続いてのご指導・ご支援を心からお願い申し上げます。
最後になりましたが、本年の皆様方のご多幸を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
「円高基調は輸入工作機械にとって絶好の追い風」
●日本工作機械輸入協会 会長 千葉雄三
平成23年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は、当協会の事業活動にご支援・ご協力を賜りまして誠に有難うございました。
平成22年の日本の工作機械業界はリーマン・ショックによる世界的不況から、大幅な急回復を継続しました。
日工会の発表によれば、昨年11月の工作機械受注額は前年同月比で約2倍となる967億円に達し、年初に予想した年間受注額6,000億円を大幅に上回る9,500億円程度になったようです。また、70%近くにまで拡大した外需だけでなく、内需にも回復傾向が出てきたと報告されています。
国産工作機械の受注が急回復した反面、輸入工作機械の統計数値にはまだ受注回復の兆しはありません。
昨年1年間のドライエッチングマシンを除く切削型工作機械の輸入額は、1月から10月までの輸入通関金額累計から予測して、前年比約4.4%増の300億円程度になったと思われ、過去最高であった平成18年の輸入額770億円から61.0%減少したことになります。
もちろん、通関申請による統計数値をベースにしており、輸入工作機械の場合、受注から通関申請までが長期間になることから、実際の受注回復が統計数値に反映されるまでのタイムラグを考慮する必要があります。
一方で、測定機器・コンポーネント機器・工具・ホルダー等の周辺機器の受注は、順調に回復しました。
昨年の9月には、米国シカゴで開催された「米国国際製造技術展IMTS2010」へ、例年のように輸入促進ミッションを派遣し、各国の工作機械工業会およびメーカーとの交流を図ってきました。
10月には「JIMTOF2010」が開催され、当協会の会員企業が世界中から最先端の技術と優れた品質の工作機械と周辺機器を出展いたしました。
今年は、9月19日から「EMOハノーバ2011」が開催されます。主催者の発表では昨年12月現在での出展企業は1,200社を超えて、リーマン・ショックの影響から急速に回復しつつある工作機械の需要環境を安定的にするチャンスにしたいと期待されています。
今年も恒例の輸入促進ミッションを派遣して、最新技術を活用した工作機械と周辺機器を発掘することにしていますので、多数の皆様にご参加いただきたいと思っております。
平成21年には、日本が27年間続けていた工作機械生産高世界一の座から、中国、ドイツに次いで3位に転落しました。 一方、輸出高では、日本はドイツに次いで2位ですが、輸入高では世界17位となっています。
輸出高1位のドイツは輸入高でも3位で、日本と比べてバランスがよろしいと思われます。
最近の円高基調は我々の輸入工作機械にとっては絶好の追い風となります。
今後とも工作機械の輸入拡大を図ることによってバランスのとれた業界の発展に寄与し、日本のものづくりに貢献できるように努力していきたいと考えておりますので、相変わりませぬご支援を賜りたくよろしくお願い申し上げます。
厳しさの続く市場環境において、当協会は新しい工作機械の需要分野とされるエネルギー・医療・環境対応・航空宇宙関連産業における加工方式に対応した、優秀な輸入工作機械と周辺機器を発掘してその導入を図ると同時に、海外メーカーと一体になったサービス体制を構築することによって、各ユーザーが安心して輸入工作機械を使用できるように努力していく所存です。
最後に当協会の会員各位ならびに業界関係者の皆様にとって、今年が最良の年となりますように祈念して新年のご挨拶とさせていただきます。