2012年数値制御(NC)工作機械生産実績等調査
日本工作機械工業会がこのほど2012年数値制御(NC)工作機械生産実績等調査をまとめた。
調査要領
調査目的:数値制御(NC)工作機械に関する統計資料を補完し、その普及状況などを把握することを目的とする。
調査時点:2013年2月。
調査機関:2012年(1~12月)実績。
調査対象:会員企業に調査票の提出を依頼し、NC工作機械の生産実績等のあった78社を集計。
生産機種別メーカ数
2012年にNC工作機械の生産実績があった会員及び2013年に生産を計画している会員は、新規入会により前年比で1社増加し、計78社となった。
機種別メーカ数をみると、「マシニングセンタ」が36社と最も多く、調査対象の半数近くの会員が生産している。次いで「NC研削盤」30社、「NC旋盤」27社、「NC専用機」21社の順となっている。
前年からの増減をみると、「その他のNC工作機械」が3社増、「NC中ぐり盤」が2社増、「NC歯車機械」及び「NCレーザ加工機」はそれぞれ1社増となった。1方、「マシニングセンタ」及び「NCフライス盤」は2社減、「NC研削盤」及び「NC専用機」は1社減少となった。その結果、全機種合計の延数は、前年を2社上回った。
生産・出荷
(1)生産
12年の生産台数は55,740台で、前年比△2.5%となったが、金額ベースでは同+3.1%の9,862億円と、3年連続で前年比増加となった。なお、経済産業省「生産動態統計調査」の2012年NC工作機械生産高は1兆1,520億円で、同調査と同様に3年連続増加した。
(2)出荷
12年の出荷台数は55,428台(前年比△1.0%)で若干の減少となったが、金額ベースでは1兆72億円(同+4.5%)と3年連続で増加し、4年ぶりに1兆円台を回復した。
(3)機種別生産状況
12年の機種別生産状況(金額ベース)を伸び率順にみると、「NCレーザ加工機」同+56.1%、「NC専用機」同+50.5%、「ターニングセンタ」同+18.2%、「NC研削盤」同+17.1%、「NC中ぐり盤」同+12.7%、「NC放電加工機」同8.7%、「NC旋盤(立)」同+1.3%、「マシニングセンタ(横)」同+0.2%となった。
一方で前年実績を下回った機種を減少率順にみると、「その他のNC工作機械」同△42.2%、「マシニングセンタ(その他)」同△17.5%、「NC歯車機械」同△7.8、「NCフライス盤」同△6.4%、「NC旋盤(横)」同△2.7%、「マシニングセンタ(立)」同△2.1%となった。
出荷状況の分析
(1)制御系識別の動向
12年の総出荷台数(55,428台)を制御形式別にみると、「位置決め制御」が前年比+41.0%の3,661台(構成比6.6%)、「直線切削制御」が同+30.5%の4,663台(8.4%)、「輪郭切削制御」が同△5.5%の47,104台(同85.0%)となった。
制御軸数別では、「2軸」が同+16.5%の15,579台(構成比28.1%)、5軸が同+2.8%の4,160台(同7.5%)と増加した一方で、「1軸」が前年比△29.6%の626台(同1.1%)、「3軸」が同△3.7%の14,008台(同25.3%、「4軸」が同△7.7%の19,292台(同34.8%)、「6軸以上」が同△21.8%の1,763台(同3.2%)と減少した。
(2)販売形態別・国内ユーザ規模別の動向
12年の国内出荷をユーザ規模別のウエイトでみると、「大企業向け」は44.3%、「中小企業向け」は54.2%となり、大企業向けの割合が前年から1.7ポイント上昇した。また「中小企業向け」のうち「従業員30人以下の小規模企業向け」のウエイトは18.7%と5年連続で2割に満たなかったものの、前年から4.3ポイント上昇しており、リーマンショック以前の水準に戻りつつある。官公庁等向けにあたる「その他」は1.5%と前年を0.1%ポイント上回った。
出荷額の販売形態別比率は、「国内向け」が直接販売23.3%・間接販売76.7%、「海外向け」が直接販売36.1%・間接販売63.9%の割合となった。次に国内ユーザ規模別にみると、「大企業向け」が直接販売31.0%・間接販売69.0%。「中小企業向け」が直接販売17.4%・間接販売83.6%となった。大企業向けは中小企業向けに比べて直接販売の比率が高く、中小企業向けは間接販売の割合が高いという従来の傾向が続いているが、大企業向けの直接販売の比率は2,009年の41.7%から3年連続で低下している。
(3)業種別の動向
12年の出荷先(金額ベース)は『内需』が3,622億円で前年比+12.2%と2年連続で増加したが、リーマンショック前のピークである2007年と比べると、以前6割弱の水準に留まっている。『輸出』については、6450億円(同+0.6%)と微増し、3年連続の増加となった。輸出比率は64.0%と前年に比べ2.5ポイント低下した。
さらに『内需』向け出荷先を主要業種別にみると『一般機械向け』が同+2.9%、『自動車向け』は+25.8%とそれぞれ2年連続増加、『航空機・造船・輸送用機械向け』は同6.2%と2年ぶりの増加となったが、『電気・精密向け』は同△0.2%と3年ぶりに減少した。全11業種でみると『電気機械』以外の10業種が増加した。
次に、出荷総額に占めるウエイト(金額ベース)を主要業種でみると、『一般機械向け』13.8%(前年ウエイト火+2.0ポイント)『自動車向け』11.4%(同+3.2ポイント)『電気・精密向け』4.4%(同△0.3ポイント)『航空機・造船・輸送機械向け』1.1%(同△1.2ポイント)となった。
(4)機種別の動向
12年の出荷額について、主要業種別に機種構成ウエイトをみると、『一般機械向け』は「マシニングセンタ」41.4%(立て形20.0%・その他21.4%)、「NC旋盤」26.4%(立て形3.6%・横形21.3%・ターニングセンタ1.5%)、「NC研削盤」12.3%となった。『自動車向け』は「NC旋盤」40.4%(立て形2.1%・横形38.3%・ターニングセンタ0.1%)、「マシニングセンタ」28.0%、(立て形10.0%・横形16.9%・その他1.2%)「NC研削盤」9.7%となった。『電気・精密向け』は「NC旋盤」が40.5%(立て形0.8%・横形38.6%・ターニングセンタ1.0%)、「NC研削盤」21.9%、「マシニングセンタ」20.3%(立て形12.8%・横形6.0%・その他1.6%)となった。
続いて、『輸出』総額に占める機種構成ウエイトをみると、「マシニングセンタ」が40.1%(立て形14.6%・横形21.8%・その他3.7%)と高い割合を占め、続いて「NC旋盤」30.9%(立て形2.4%・横形28.0%・ターニングセンタ0.5%)、「NC研削盤」9.2%となり、『輸出』全体の7割以上を「マシニングセンタ」と「NC旋盤」で占めた。
12年需要業種別出荷実績のうち、ウエイトが高い「NC旋盤(横)」、「マシニングセンタ(横)」、「マシニングセンタ(立)」、「NC研削盤」、「NC専用機」の5機種を業種別にみると、「NC旋盤(横)」は『輸出』が60.2%と最もウエイトが高く、次いで『一般機械向け』19.5%、『自動車向け』9.3%となった。「マシニングセンタ(横)」は、『輸出』が75.6%と大半を占め、『自動車向け』10.4%、『一般機械向け』9.9%と続く。「マシニングセンタ(立)」では『輸出』63.4%、『一般機械向け』18.7%、『自動車向け』77%、「NC研削盤」は『輸出』59.5%、『一般機械向け』17.0%、『自動車向け』11.2%、「NC専用機」は『輸出』79.3%、『自動車向け』17.1%、『金属製品』1.5%の順になった。
(参考)―2012年の工作機械受注の状況
2012年の工作機械受注は、総額で1兆2,124億円(前年比△8.6%)、NC工作機械に限ると1兆1,822億円(△8.4%)となり、いずれも3年ぶりに前年実績を下回ったが、2年連続で1兆円台を維持した。
内需は、国内景気の低迷及び海外移転等が影響し、前年比△10.9%の3,758億円に留まった。主要業種別にみると、一般機械向けが同△15.3%(1,601億円)、自動車向けが同△4.7%(1,165億円)、電気・精密向けが同△22.4%(360億円)と減少したが、航空機・造船・輸送用機械向けが同39.0%(190億円)と増加した。
一方、外需は、前年比△7.5%の8,366億円と3年振りの前年割れとなったが、2011年(9,046億円)、2007年(8,636億円)に次ぐ市場3番目の高水準となった。
主要3極の状況をみると、アジアでは、東アジアは年後半に中国が減少し前年比△8.4%(3,480億円)、その他アジアが同△0.1%(1,256億円)となり、アジア計では同△6.3%(4,736億円)ながら、昨年に次ぐ史上2番目となる高水準の受注額となった。
欧州は、同△26.2%(1,157億円)と3年ぶりに前年割れとなった。2007年のピーク時(2,769億円)対比では41.8%と長引く円高や債務危機問題により年間を通じて弱い動きが続いた。
北米は、エネルギー、自動車、航空機など、広い業種で堅調に推移し、同+5.5%(2,340億円)と3極の中で唯一前年比増加となった。