日本フルードパワー工業会(会長=宮内壽一会長氏)は、1月12日午後3時より都内の東京プリンスホテルで新年賀詞交歓会を開催した。
冒頭、宮内会長が参会者にお礼の言葉を述べたあと、「昨年の我が国経済環境をみてみますと、中国やインドなどの新興諸国の経済環境の好転に伴い、我が国の製造業界に旺盛な外需の需要をもたらし、多くの業界で受注がみられました。一方、国内をみますと、エコカー補助金やエコカー減税、さらにはエコポイント導入などによる内需拡大策を背景に市場は明るさを取り戻し、景気は堅調に推移しました。わたしども業界動向に関しましても一昨年代の需要業界の回復に支えられ出荷動向は回復基調に入り、こうした状況を反映して、この四半期は連続してプラス成長を遂げました。また、株式市場も昨年9月期の中間決算では、多くの企業が増益傾向を示すなど経済環境は明るさに包まれていましたが、その後は外需を支える為替がドルやユーロに対して急騰しております。加えてエコカー補助金の廃止やエコポイントの縮減、これらの内需拡大策の終了に伴う反動減もみられます。また、12月の日銀短観も景気の足踏み状態を指摘するなど景況感は厳しい状態にあるといっても過言ではありません。このため、日銀は金融緩和策の導入に踏み切りました。政府におきましても足踏み状態にある景気を下支えする補正予算を成立させ、新成長戦略や公共投資などによるGDP押し上げ効果による経済環境の好転を図っておりますが、その持続力には不安も感じられます。一方、海外の米国の超金融緩和策による新興諸国のバブルの誘発懸念もあります。また、EUの金融不安、財政不安、これらの問題もあり、内外の経済環境は厳しいものが予想され、このため、先に成立しました補正予算の円滑な執行や平成23年度の予算の年度内の成立に加え、法人税率引き下げなどの早期実施など適切な経済運営政策を望んでおります。先行きの不透明感は依然として残ります。今後の景気の推移には国内外にも慎重に対応する必要があると考えております。このように本年も先行き不透明感に包まれた中での始動となりますが、本年7月にフルードパワー業界にとって、3年ぶりとなる第23回油圧空気圧国際見本市を開催いたします。フルードパワーは我が国のものづくりを支える商品を提供する大きな役割を担っており、最新の技術や新製品をぜひ展示したいと思います。また、今回も水圧コーナーを設けまして動く水圧技術を目玉に展示をしたいと考え、準備を進めております。一方、急速に進展する我が国経済のグローバル化はフルードパワー工業会にもその対応を求めており、海外マーケットへの対応や高い地球温暖化対策の目標値の設定から省エネ技術の提供は喫緊の課題があります。会員各社の一層の対応をお願いする次第であります。フルードパワー産業はものづくりを支える重要な産業であり、今後とも成長が期待されております。こうした中で、業界としては、健全な競争と協調の中でともに発展していくことが望まれております」
乗り越えなければくぐり抜けていくしかない
続いて、来賓を代表して長尾正彦経済産業省大臣官房審議官が、「しっかりこの業界の皆さま方の課題を解決するための尽力をあげて行かなければならないと思っているところですので、一層の叱咤をお願いできればと思っております。やはり、皆様方を含めて製造業、ものづくりが日本の屋台骨だと思っております。産学官の皆さま方がお集まりですが、英知を結集して技術開発に辿りついたそこから先の実用化に苦慮されている等の話をよく聞きます。研究開発やマーケティングへの取り組みも大変だと思いますが、ここが正念場だと感じますので、ご邁進していただければと思っております。政府といたしましては、皆様方の事業環境やビジネス環境の障害にならないような環境を整備しなければならないということで、法人税の5%の実効税率を盛り込むことができました。貿易の関係ですと、経済連携、TPPに拍車をかけていかなければならない。イコールフッテングのためには当たり前に動いていかなければならないと考えています。このような環境の中にはフルードパワーの皆様方のビジネスチャンスもある。たとえば農業の再生が叫ばれておりますが、この分野でも油空圧が貢献されています。また、海外需要の取り込みに関してですが、それぞれの単体では技術力が優れているのですが、これに総合力が加わりますと諸外国とコスト競争力でも負けないと言われています。現に原発では効果が出てきております。今、私どもの大畠大臣(注:1月13日現在)も中東に行っておりますが、この関係の仕事でもガンガン営業をしているところです。これも海外需要の取り込みが皆様方のパイをさらに大きくするわけですので、われわれも官民一体となって応援する次第です」と述べた。