「マテリアルフローの循環型体制の確立を」 超硬工具

超硬工具協会(理事長=倉阪克秀氏)は、1月13日午前11時30分より都内の銀行倶楽部で新年賀詞交歓会並びに超硬工具協会賞表彰式を開催した。



倉阪克秀理事長
倉阪克秀理事長
賀詞会に先立ち倉阪理事長がお礼の言葉を述べたあと、「昨年を振り返りますと、中国を中心とした新興国の内需拡大で成長路線が見えました。また欧米におきましては回復を見込んでいます。国内におかれましては、エコに関する効果があり、回復基調と認識しています。2010年度につきましては、昨年の秋に2800億円という見通しを出しました。幸い年度内に上積みして達成できるのではないかと見通しています。07度は3572億円で最高でしたが、その翌年度が2800億円、2010度はほぼこの数字と同じだということで、07年度に比較しまして約78%台の金額ベースになっております。刃先交換チップの10月11月の実績を見ますと110%になっており、輸出割合でみますと中国を含めた東アジアの割合が増加しています。最近の日本製造は閉塞感があるというのが皆様方の認識だと思いますが、そういった中でどうしても縮みがちである一方、日本国内製造業をしっかり守ろうという雰囲気が出てきました。今後、日本の製造業はさらにコアな技術を高めて、これが強い製品を生み出し、強い生産技術をさらにスパイラルアップしていく。それが世界に通じるような形につくりあげていく。これをグローバル展開する市場にもっていく。そして製造・販売のネットワークにつなげていくのが今後の方向だと感じています。超硬工具協会も大半のメンバーがかかわりある切削工具は様々な試作開発の方法として優れており、今後の将来は明るくなると確信しています。タングステンの原料であるレアメタルが昨年末に高騰しましたが、資源確保するのは重要なことであり、マテリアルフローの循環型体制の確立を早急に解決していかなければならないと感じています」と挨拶をした。


世界最高水準のモノを日本でつくるために

藤木俊光経済産業省製造産業局産業機械課長
藤木俊光経済産業省製造産業局産業機械課長
来賓を代表して藤木俊光経済産業省製造産業局産業機械課長が、「日本経済、世界経済がさらに一歩上を目指して大きく飛躍する第一歩の年にしたいという思いでいます。過去2年間は厳しい経済環境でしたが、その中で技術を磨く、人材を育成するという力を蓄えてらっしゃったと確信しております。その力を前向きに発揮できる年になるよう期待してやみません。昨年、産業構造ビジョン、成長戦略ということで、いろんな政策を打ち出しましたが、今年はそれらを実現していく年。さしあたっては法人実効税率を5%下げる、中小企業軽減税率を3%下げるという、法人税の減税が固まりましたので、ぜひ実現させたい。もうひとつはFTA、TPP等、世界の潮流からすでにやや遅れているわけですが、これも産業界の皆さま方の知恵をお借りしながら前向きに解決し、農業の再生を図りながら同時に自由貿易を進めていく。こういったWINWINの解決を図るためにもわれわれもさらに汗をかかなければならないと思っています。今後、グローバルマーケットの中で勝っていくために何をしたらいいのか課題は多々あります。技術開発の問題もあります。今、この日本においてモノをつくるという意味をもう一度確確認し、日本でモノをつくるということが世界最高水準の効率性と世界最高水準の品質を確保するために必要であり、そのために必要な投資を国内でやる、そのために人を育てるんだと、そのために何をしたらいいのか、私どもも知恵を絞って考えますし、官民一体となって実現していきたい」と述べた。


良き思い出として大事にしたい

中村裕元協会監事
中村裕元協会監事
超硬工具協会賞受賞者を代表して中村裕元協会監事が謝辞を述べた。中村氏はこの中で、「表彰されるのは初めての経験です。東邦金属に異動して間もない平成9年、会員企業の企業に対する代表者としてなにもこの業界を分からなかった世界に身を置くことになりまことに変化が大きく厳しい13年間でありましたが、皆様のご支援とご協力によりまして楽しく務めさせていただくことができました。この間、平成15年から4年間は微力ながら監事の大役を務めさせていただくことになりまして、当時、新公益法人会計基準の内容に対するご提言、また生悦住賞、新庄賞の運営等に対する提言等をさせていただきましたことが本日の受賞に繋がったものと良き思い出として大事にさせていただきたいと思っております」と述べた。



木下徳彦副理事長の乾杯の発声で和やかな歓談が始まり、宴もたけなわのころ散会した。

平成22年度超硬工具協会賞


業界功労賞

・中村裕氏 元協会監事(東邦金属相談役、前取締役社長)

技術功績賞

・「マジックドリルDRX型」の開発  京セラ
・複合材用ドリル「頃ドリル854および856」の開発  サンドビック
・刃先交換式ドリル「SumiDrill WDX型」の開発  住友電工ハードメタル
・鋼高速旋削用CVD材種「エースコートAC810P」の開発  住友電工ハードメタル
・高能率高精度加工対応「フィニッシュジェットミル」の開発  ダイジェット工業
・鋼・ステンレス鋼加工用材種「AH725」の開発  タンガロイ
・窒化珪素工具新材種「SX6」の開発  日本特殊陶業
・超高能率加工用エンドミル「エポックミルスシリーズ」の開発  日立ツール
・ミーリング加工用「厚膜PVDコーティングJS」の開発  日立ツール
・サポート装置付アングルヘッドの開発  富士精工
・フジロイポーラス合金工具の開発  冨士ダイス
・マルチクーラントホール付エンドミル「CoolStar」の開発  三菱マテリアル

作業・事務・生産技術等の改善賞

・S10000運動  住友電工ハードメタル
・形状測定冶具の考案による検査効率の向上  ダイジェット工業
・コーティング工程における作業改善による品質歩留向上  日本特殊陶業
・タングステン粉還元工程の改善  日本新金属
・窒素添加サーメット研削用ダイヤ砥石の低消耗化  冨士ダイス
・空調設備改善による環境負荷で威厳と省エネ化  三菱マテリアル
・超硬の研削スクラップの有効活用について  矢野金属  

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