年頭所感(日本工具工業会/超硬工具協会/日本工作機械輸入協会)

「地球環境を考える」
●日本工具工業会 理事長 堀 功

みなさま明けましておめでとうございます。ご家族共々すばらしい2014年の新年を迎えられたことと思います。

昨年は年初からアベノミクスが経済に与えた影響が非常に大きく、過度な円高の是正により輸出環境も好転し、大幅に業績が好転された企業が多かったのではないでしょうか。

工具工業会はどうかと振り返りますと、2013年3月に工具工業会の生産・出荷は底を打ち、4月以降は順調に生産・出荷が回復してきています。平成25年度末の生産額も1,000億円を超える見通しで明るい話題と言えるでしょう。

さて、年頭所感につきものなのは2013年のニュースの振り返りです。まずは昨年5月13日~16日まで超硬工具協会との協業により、日本で初めての「世界切削工具会議」を開催し世界22カ国から240名を超える参加がありました。

「おもてなし」の精神をいかんなく発揮し成功裏に終えることが出来ました。世界各地から参集した同業の方々と有意義な会話、新たな出会いがあったものと思います。このような大きな会議を主催する力があることを各国代表に実感してもらうことで、世界における日本の工具メーカーのプレゼンスは必ずや向上するものと思います。

また、昨年は天候不順が続き大雨洪水そして大型台風が大量発生しました。
山口、島根、京都、山形、伊豆大島と被災された方々は大変お気の毒なことだとお見舞い申し上げます。また、フィリピンを襲った風速90m/秒の台風は想像を絶する被害をもたらしました。

気象学者は、地球温暖化の進展が海洋温度を押し上げ、大量の水蒸気が上昇気流に乗って大型台風が多発し、また、局地的な大雨をもたらしていると報告しています。確かに、昨年夏の気温の高さは尋常では無く、昔学校では日本は温帯に属すると習いましたが、もはや亜熱帯ではないかと思う次第です。ヒートアイランド現象の進展で、東京の気温は既に100年前の沖縄の温度であるとの報告もあり、まさに亜熱帯になっています。

増え続ける自動車が排出するCO2の増加、増え続ける自動車の生産活動がもたらすエネルギーの消費増など、まさに、我々人類の生産活動の増大が異常気象の元凶を作り出しているのかもしれません。

私達工具工業会では、以前より環境委員会を設置し、毎年環境に対する取り組み、特に、排出CO2の削減、廃棄物の削減を強力に推し進めるとともに、会員相互の啓蒙活動を行っています。

私達が製造している切削工具は、生産活動を支える重要な要素技術であり、加工時間の短縮、工程の短縮、長寿命な工具などで加工エネルギーの減少に向け各企業が切磋琢磨しています。

日本は世界の中でも省エネが最も進んだ国家であり、加工技術の分野からも日本の技術で世界貢献ができると思っています。CO2排出を縮減し地球温暖化にストップを掛けるべく、本年も世の中の役に立ちたいと考えています。また、CO2削減を事業のドメインとして考えることで、商品開発の考え方も変化し、新たなビジネスモデルを構築するチャンスが訪れるのではないかとも思います。

私達日本工具工業会の取り組みは世界の中においては小さな一歩かもしれませんが、小さな一歩を世界規模で始めれば、それが大きな前進につながるものと信じています。

今年は午年です。午(馬)の視野は350°と前も後ろも見通せると言われています。我々人間は全方位で見通すことは困難ですが、少しでも馬の持つ視野の広さを持ち、今年を頑張ることをお誓い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

「『淡々と』の心でモノづくり、人づくりを」
●超硬工具協会 理事長 増田照彦

今年は「淡々と」生きたいものだ、と願っています。

「淡」白で、「淡」色で、「淡」水魚はあわい。「淡麗」だってビールではなく発泡酒。「交淡如水」は欲望が薄いさまを表しています。

でも、ようく漢字を眺めますと、火が重なって炎がめらめらしています。そして海、池、河、波、湖、沼、沢、渚など「さんずい」は水。つまり、意気軒昂、意欲十分の内なる熱情と水を打ったような冷静さが同居しています。どんなときでも平常心。どんなときでも感情に流されない。どんなときでも執着心がない。おれがおれがの我がない。水と火とくると、いわゆる神々の世界にも通じる。
 
茶道の世界では、味の甘い・苦い・渋いを偏味と呼ぶらしい。人間もまだまだ甘い(若い)ところから成長して、渋さが出て一人前となります。そしてその偏味の渋さを突き抜けた無の味が、なんとも言えない至極の味であり、そのことを「淡」と呼ぶそうです。淡白な味はいつまでも好まれますし、本当の美味しさは淡い味の中にある、と。

ほうら、だんだん「淡」のファンになってきましたでしょう?

そんな『淡々と』の心でモノづくり、人づくりを、協会でも会社でも個人でも目指す年にしませんか。

平成25年度の超硬工具協会の改正需要見通しは通期で3000億円を見込みました。対前年8.8%増と縁起のいい数字が並びます。当協会で3000億円を超えたのは2005年~2007年の3年だけ。輸出の好調と自動車関連好調に支えられて、久々の3000億円超。それでもピークの2007年と比べればまだまだ84%。そんなときにも『淡々と』。

超硬工具の主原料であるタングステン(APT)は2005年くらいまでは100ドル程度でした。それが一気に3倍の価格に。その後、高値安定になり、2010年秋には再び高騰し5倍圏まで。その後、やや軟弱になったり強めになったりで、不安定。基本的に中国の価格支配にあることから、やりきれなさがつのります。そんなときに資源循環型社会の推進のためにもスクラップのリサイクル活動で解決できるかもと『淡々と』。

自動車、航空機、エネルギー分野、インフラ整備による輸送網の拡大などで工具の需要は今後、中長期的にも拡大します。世界市場に販路を展開するグループ、見事なマーケティングでニッチリッチを謳歌するグループ、価格勝負のグループなど切磋琢磨が熾烈に続くでしょう。そんなときに日本の巧の技を活かした先進技術開発、カスタマイズ化と標準化、そして自らの競争力を信じて『淡々と』。

本年は会員各社の成果発表の場としてJIMTOFが開催されます。

人は心で生きるもの 舞いたる衣に 光浴びつつ

さあ、新たな一年に向けて淡々と歩きだしましょう。

「力強い内需が盛り上がることを期待」
●日本工作機械輸入協会 会長 千葉雄三

平成26年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は、当協会の事業活動にご支援・ご協力を賜りまして誠に有難うございました。

昨年は政府による相次ぐ景気対策、株高、超円高の是正等、私共を取り巻く情勢は著しく改善された1年でありました。しかしながら工作機械業界全般の受注及び販売の実績は業界の期待に届くものではありませんでした。これには種々の要因があると思いますが、私共輸入工作機械及び機器に携わる者にとっての最大の関心事であります内需に関しては、需要者に依然として設備投資に対する懐疑観があった為と私は考えております。即ち、需要者は継続した成長に対し未だ不安感を持っていたということではないでしょうか。

しかし、日本工作機械工業会殿の統計をお借りして言うならば、昨年後半以来内需は増加傾向にあります。これをもって、需要家の投資マインドが強い方向に転化したと言い切れるのかどうかは議論のあるところでしょうが、私としましては是非そうであって欲しいと願わずにはいられません。また、これも尚早であるかも知れませんが、年初から東京オリンピック2020に向けた力強い内需が盛り上がることも切に期待しているところです。今秋のJIMTOF2014が起爆剤になればとの思いもあります。

今年は、9月8日(月)から13日(土)まで、米国、シカゴにて「IMTS2014 」が開催されます。 当協会では今年も恒例の輸入促進ミッションを派遣いたします。新しい工作機械の需要分野とされるエネルギー・医療・環境対応・航空宇宙関連産業における加工方式に対応した、優秀な工作機械が多数展示されております。多数の皆様のご参加をお待ちしております。

最後に皆様にとって、今年が最良の年となりますように祈念いたしまして新年のご挨拶とさせていただきます。

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