アマダがファイバーレーザ発振器量産体制確立へ ~複合マシンを含む、次世代型新商品も投入~
アマダ(社長=岡本満夫氏)は、世界的に受注が増加しているファイバーレーザマシンの発振器量産体制を確立するため、富士宮事業所(静岡県富士宮市)・組立工場(第5工
場)内に清浄環境内で個別にクリーン度を維持できる大規模な「クリーンルーム」を新設した。
「クリーンルーム」の稼働による、レーザ発振器の最大生産能力は月産40 台(8ブース×5回/月)。従来の2.5 倍の供給体制が完成します。投資額は約4億円、設備総面積は1,208 ㎡。
同社の2013年度のレーザ全体の販売台数は約1,000台で、前年と比較して10%以上増加している。今後は複合マシンを含むレーザマシンの需要は2倍以上に拡大すると見ており、そのうちファイバーレーザ搭載機は30%以上を占めると予測している。同社ではファイバーレーザ発振器の生産台数は、2013 年度の14 台/月に対し、2014 年度は26 台/月、2015 年以降も急速に拡大すると見込んでいる。
アマダにおけるファイバーレーザのこれまでの経緯
■2011 年 世界で初めて、機械メーカーとしてファイバーレーザ発振器を開発し、自社製発振器を搭載した「FOL-3015AJ」を発表。
■2012 年 世界最大の工作機械見本市「Euro BLECH(ドイツ)」にて、工程統合マシン シートセンター「LASBEND-AJ」、ファイバーレーザマシン「FLC-3015AJ」、複合マシン「FLCP-2515AJ(当時名称)」を発表。
■2013 年 アマダ・ソリューションセンター(伊勢原本社)で開催されたイベント「AMADA
Innovation Fair Global 2013(AIFG2013)」において、シートセンター「LASBEND-AJ」、
「FLC-3015AJ」を発表。
■2013 年 アメリカ「FABTECH2013」にて、2kW の出力で板厚25mmまでの切断を可能にした最新ファイバーレーザマシン「ENSIS-3015AJ」を発表、同時に新型ファイバーレーザマシン「LCG-AJ」発表。ファイバーレーザ発振器を搭載した商品は、2011 年「FOL-3015AJ」をフラッグシップマシンとしてスタートしてから、順調に市場拡大。このファイバーレーザ発振器の供給・保守にグローバルで対応するために、同社では3つの指針で発振器の供給体制を確立している。
①富士宮事業所にグローバルの基幹となるファイバーレーザ発振器供給体制を構築。
②同時にファイバーレーザ発振器の需要拡大に応じたサービス体制の強化。
③次のステップとして、欧米へのファイバーレーザ発振器供給体制を用意。
新設する「クリーンルーム」は、全部で14 ブース。このうちファイバーレーザ関係が、生産用8ブース、開発用2ブース、保守用1ブースの11 ブース。
開発用ブースでは、今後さらに進化していく光技術を見据えた、次世代発振器の開発を行う。また保守用ブースは「クリーンルーム」内に設置された高クリーン度の「クリーンブース」で、顧客にに納入されたファイバーレーザ発振器内の「光エンジン」のメンテナンス、オーバーホールなどの保守を行う。また、ファイバーレーザ発振器自体の開発も第2世代へとバージョンアップし、小型化によりビルトインが可能になると同時に光の品質も向上。低出力で高い加工品質を実現することも可能になった。
今後は、現在の2kW、4kW に続き、6kW の発振器の生産も行う予定であり、日進月歩のレーザ技術を常に最新技術により追求しながら、次世代発振器の開発を継続していく。
今回は富士宮事業所において、ファイバーレーザ発振器の供給・保守体制の基本システムを確立し「お客さまの工場の加工を停めることのないサービス」を構築するとしており、次のステップでは、欧米向け供給拠点として米国現地子会社ブレア工場内に、前述しました基本システムをベースとした同様のファイバーレーザ発振器の供給・保守体制が構築されることが計画されている。ファイバーレーザのグローバル展開により、今後増加する需要に応じた「適地適量生産」の供給体制を国内外に構築し、自社製ファイバーレーザ発振器のメリットを生かした、敏速できめ細かい保守体制も整備していくとしている。
●設備情報●
・設備投資金額 : 4億円
・面積 : 総面積 1,208 ㎡
クリーンルーム 608 ㎡(16m×38m)
組立エリア 600 ㎡(24.5m× 24.5m)
・生産能力 : 月産40 台
・クリーンルーム内設定
①ファイバーレーザ生産用:8ブース
②ファイバーレーザ開発用:2ブース
③ファイバーレーザ保守用:1ブース
④光学室:1ブース
⑤CO2 用:2ブース