ナガセインテグレックス 3年ぶりの内覧会はなにもかもがパワーアップ! 「NANO SOLUTION FAIR 2014」をレポートする! 

ナガセインテグレックス(社長=長瀬幸泰氏)が、7月16日(水)~19日(土)の4日間、「NANO SOLUTION FAIR 2014」を開催した。今回は3年ぶりに開催された内覧会で、「製品も技術も人も工場も前回より大きく進化しています。史上最高の完成度をぜひご覧いただきたい」と長瀬社長も自信たっぷり。同社の超精密機械は、導入される企業においても“秘密マシン”とする場合が多く、なかなか見ることができないことで知られているが、普段は拝見することが許されない精密組立棟も今回は特別開放していた。常に「前進と継続」をし続けるナガセの魅力が詰まった「NANO SOLUTION FAIR 2014」を取材した。

顧客のニーズに合わせた“体験型”のプライベート内覧会

ナガセインテグレックスの強みは、一台一台受注生産によりつくられていることが挙げられる。既製品にはない独自性溢れる超精密マシンを生み出す同社の顧客は95%以上が日本企業ということもあって、内覧会も実にユニーク。顧客のニーズをリサーチしたうえで、顧客の「知りたい」ことのツボを押さえ、そこにストーリー性を持たせる。そのため、内覧会は完全予約制をとっている。より深く顧客の要望に合致したナガセのマシンづくりを見学することができる展開である。

期間中、岐阜駅と本社間の無料シャトルバスが1時間ごとに運行している。ゆらりゆられて会場に到着すると、長瀬社長自らお出迎え。バスを降りる来場者にあいさつをしていた。
受付を済ませ、中に入る。配られた会場マップをみると、道順が詳細に書いてある。こういう細かな心配りが嬉しい。

協賛メーカーがズラリと並ぶ
協賛メーカーがズラリと並ぶ
開催期間中、同社の超精密加工をじっくり感じる体験型セミナー&ガイドは、ユーザーニーズに合わせて、①平面研削・形状創成(平面研削盤とプロセスイノベーションの具体的事例)、②高速パンチ加工・細溝加工(サブミクロン精度のパンチ・細溝の高能率生産プロセスの実証)、③ヘリカル・歯車研削(ヘリカルギア/セレーションギア加工機の開発と加工実例、④長物加工・真直測定(世界最高精度の長物加工と真直度測定技術)、⑤ロータリーマルチ研削(超精密ロータリ複合研削盤による精密部品加工)、⑥微細加工ナノ加工>(6軸微細加工機と自由曲面加工等の先進的微細加工事例)、⑦難削材料ウェハ研削・割断(Sicウェハ等の平坦化、裏面研削、割断加工等の最新プロセス、⑧革新的大物加工(超精密門型研削盤による一つ上の大物加工と生産革新)の8コース、合計23本のツアーを実施し、ワークの紹介もあった。

記者は、自由見学を希望し、会場内を歩いた。来場者も興味津々の様子が伺える。機械の説明を熱心に聞く人、質問をする人。来場者の設備投資意欲の高まりを知ることができた。写真を撮る場所が限られているが、今回、マシンのデザインが変わったとともに、精度や機能も繊細でありながら大胆に向上しているのも見所だった。

生産革新を実現するマシンづくりを見た

営業マンも説明に力が入る
営業マンも説明に力が入る
A棟の中に「きさげ室」があった。ナガセは“クセがない機械”として評価されているが、そのベースにあるのはきさげと摺合わせだ。ベテラン技能者たちの徹底的な歪みの除去がここで行われている。たとえメーターサイズの大物部品を連結した超大型機であっても圧倒的な真直運動の特性を発揮することが出来る精度は、人の手と知恵でつくられていることが分かる。

ズラリと並ぶ協力メーカーをとおりテクニカルセンターを見学。ここは常時十数台が設置された超精密加工機を用いて日々、顧客からの加工課題に取り組んでいるゾーンでもある。
カタログが欲しいという来場者が続出し、同社の営業マンも説明に力が入っているのが分かる。

今回の内覧会は、生産性の大胆な向上が大きな見所でもあるが、「ハイレシプロ成形研削盤SHSD-80α」はテーブル反転回数が毎分1000から2000反転まで向上していた。従来は2台必要だったものが1台で済むことを意味する。また、一部だが、今秋開催のJIMTOF2014に向けて開発が進む次期主力製品も公開していた。

同社営業次長の長尾昌浩氏は、展示会の手応えを「お客様が見学しやすいようにと注力しました。今回、実は製造部の業務はそのままでした。生産を止めない前提で普段の生産現場の中に営業が入り込んだ形です。今年はJIMTOFの開催年ですが、お客様に“こういうマシンを出すよ”というコンセプトを前もって出した方がいいのかな、という考え方もあって、事前にアピールをさせてもらいました。今回、現場で活躍される皆様の製造プロセスの変化にお応えできるよう、従来になかった数多くの専用研削盤を展示することもでき、好評をいただいております」とコメント。

照明に照らされた加工品の数々は見る人を驚かせてくれる。
照明に照らされた加工品の数々は見る人を驚かせてくれる。
山口政男執行役員最高技術顧問が「カタログにない機械の話」をテーマに特別セミナーを開いていた。同社では、「独自の加工プロセスの構築」は差別化の第一歩であるという考え方から、新しいマシン開発とその効果について説明があった。記者が特に心に残った言葉は、「技能の技術化」だ。どんな高度な技術も、いつかは時代と共に陳腐化する。特別な能力を持つ機械の底力とはなにか――など、ハッとさせられる内容だった。

長瀬社長は帰り際に、「弊社の顧客は95%が日本企業です。日本人の手によって何をつくるかを共に考えていきたい、そういう思いを込めた展示会でもあるのです。加工長からいえば、80ミリ~2メートル、加工単位も0.1ミクロンから1ナノまであるわけですから、その幅の中で今回、ありとあらゆる要素技術を見ていただきました。共にお客様と“日本でなにをつくり、世界に対してなにを発信するか”を考えていきたい。これがナガセインテグレックスの願いです」と話してくれた。

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JIMTOF2024