2010年(暦年)工作機械受注実績の概要

日本工作機械工業会が発表した2010年(暦年)の工作機械受注実績は以下のとおり。

1.受注額
・概要

2010暦年の工作機械受注額は、前年比+137.6%の9786億円で、3年ぶりにプラスに転じる結果となった。うちNC機は、9342億円(同138.0%)で受注総額同様3年ぶりのプラスとなった。内訳をみると、内需は3075億円で同+92.6%となり5年ぶりプラス、外需は6711億円で同+166.1%と3年ぶりプラスとなった。

月次の受注状況をみると、09年末から、中国を中心としたアジア地域で回復を示し、当年4月には受注総額が800億円台に達した。その後、欧州・北米も緩やかながら回復を続け、内需もJIMTOF以降持ち直しの動きを見せるなど、12月には単月で1000億円に迫る988億円にまで回復してきている。

・内需の動向

内需は前年比+92.6%の3075億円と、90年バブル崩壊期の受注額(94年:3155億円)を下回るなど、受注額は極めて低調にとどまった。伸び率を業種別にみると前11業種のうち、「官公需・学校」を除く全ての業種が前年を上回るものとなった。主な業種では、一般機械向けが同+82.2%(1256億円)、自動車向けが同+163.9%(894億円)、電気・精密向けが同+101.9%(407億円)、航空・造船・輸送用機械向けは同25.6%(140億円)となっている。

月次の受注状況は、年央に弱含みな動きも見られたが、10月末のJIMTOFの開催を景気として、11月以降300億円台に乗せるなど、増加傾向を示す状況となっている。

・外需の動向

外需は前年比+166.1%の6711億円で、アジアの著しい伸長により史上4番目の受注水準を記録するまでに回復した。

主要3極の状況をみると、アジアでは、東アジアが前年比+200.2%(3203億円)、その他アジアが同+182.6%(885億円)となり、アジア計では同+196.2%(4088億円)と史上最高額を記録した。国別にみると、東アジアでは中国が11月に単月で史上最高額(277億円)を記録し、電気機械、自動車、一般機械などの業種で旺盛な受注がみられ同190.4%(2530億円)となり、台湾(同261.6%)、韓国(同+241.8%)も高い伸びを示した。その他アジアでは、年前半にアセアン地域でIT関連、自動車などで受注が増加し、タイ(同278.9%)、その他(同+130.0%)などは堅調増と言えるまでになっている。一方、インド(同+205.1%)は回復傾向にあるものの、2008年水準(325億円)を下回り、他のアジア諸国に比べ緩やかな動きとなった。

欧州は、ユーロ安を拝啓に輸出関連企業の投資などが比較的好調に推移してきているが、主要3極の中では、回復の足取りが最も緩慢となり、欧州系は前年比+127.2%(1061億円)とピーク時(07年:2769億円)の4割以下にとどまった。国別では、ドイツ(同+181.7%)や、うち中欧(同+206.0%)、その他西欧(同+331.2%)などは高い伸び率を示しているものの、総じてみれば低調な回復となった。

北米は年後半にかけて回復の足取りを速め、北米計は前年比+134.3%(1418億円)となった・北米の内訳をみると、アメリカは9月のIMTF効果による受注増のほか、自動車、エネルギー関連、航空機などの受注が増加傾向を示し同127.+%(1287億円)となり、メキシコ(同+550.9%)、カナダ(同+158.6%)も自動車、エネルギー関連で堅調に増加した。

次に、外需に占める各地域のシェアはアジア60.9%(前年比+6.2ポイント)、欧州15.8%(同△2.7ポイント)、北米21.1%(同△2.9ポイント)となり、アジアが大幅にその地位を拡大し、史上初めて6割を超えた。中でも中国の外需全体に占める割合は37.7%(前年比+3.2ポイント)にまで上昇した。

外需業種別に占める各地域のシェアは、一般機械向け(1855億円)はアジア52.0%、北米28.6%、欧州16.6%となり、アジアが5割強を占め、自動車向け(1810億円)ではアジア72.1%、北米17.0%、欧州8.3%となり、アジアが7割強を占めている。電気・精密向け(1755億円)はアジア86.6%、欧州6.8%、北米6.4%と9割弱をアジアが占めた。一方、航空・造船・輸送用機械(318億円)は北米45.3%、欧州31.8%、アジア20.4%となり、欧州と北米で8割弱を占める状況となった。

・受注にみる機種別の動向

受注額を機種別(含むNC)にみると、全11機種中9機種が前年比+となった。主な機種では、機種別比率の4割強を占めるマシニングセンタが前年比+149.6%、3割を占める旋盤が同+134.1%となった。それ以外では、歯車機会(同+247.6%)、研削盤(同+179.0%)、FMS計(同+177.0%)、放電加工機(同+142.5%)、専用機(同+120.5%)が前年比で2倍以上の伸びを示している。

2.販売額

販売額は前年比+42.6%の8513億円で3年ぶりにプラスとなり、うちNC工作機械も同41.4%の8147億円と3年ぶりの+となった。

機種別(含むNC機)にみると、全11機種中7機種が前年比プラスを示し、主な機種では販売額全体の4割強を占めるマシニングセンタが同66.6%、3割を占める旋盤も同+50.7%となった。

3.受注残高

2010年末の受注残高は、前年比+32.9%の5084億円となった。当該年末の受注高を直近3カ月(10年10~12月期)の販売額平均で覗いた「受注残待ち月数」は6.4カ月で前年末に比べ2.7カ月減少した。これは、旺盛な外需を背景に稼働率を上げるなどの結果と考えられる。また、NC工作機械の受注残高は同+35.2%の47894億円となった。

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